ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 28

神秘なる氷の世界、ヴェルフェン(オーストリア)

2005年5月22日(日)

中欧全体地図
行程マップ

[氷の洞窟]
オーストリアにもいくつか有名な洞窟があるが, その中でも一際人気が高い洞窟がWerfenにある. Tennengebirgeの岩壁中腹に開く穴, それがEisriesenwelt. あちこちの穴から進入する水が洞窟内部で凍結し, 様々な氷の像ができあがっているという氷の世界だ. ここの洞窟はこのような「氷穴」としては世界最大規模だそうで, これは見にいかなくてはとずっと思っていた.

[駅から遥かな道のり]
Werfenの駅を下りると, まずきょろきょろとバスを探す. 駅舎の前に20人乗り程度のマイクロバスが止まっていて, それに氷穴行きと書いてあったので, 早速乗車. 乗ったのは英語を話す2人組と私で3人だけ. 一度旧市街中心を回ってからSalzachの川沿いに戻ると駐車場があり, ここで再び停車. 何組か自家用車で来たらしい客がおり, 運転手と打ち合わせしていたが, どうせバスでも自家用車でも同じところまで上がれるせいか, ほとんどの組はバスは使わず自分の車で上がって行き, 一家族だけバスに乗車. ここから川を渡るとようやく急な上り坂になる. しばらく景色が見えたり林に入ったりしながらのろのろと上ってゆき, ようやく終点に到着. ここで標高約1000mだ.
ここからは1km程ゆるい上り坂を歩く. 斜面沿いに付けられた道は眺めが良く, 対岸のHagengebirgeやHochkönigなどの山並を眺めながらすたこら. お, 北側の谷間からだと前衛峰で見えないHochkönigの主稜線も見える. 途中親子連れを追い抜いたら子供が面白がって私の速歩きについて来ようとしたが, 無理無理, 私の上りペースにあわせようなんて(笑). 15分ほど歩くとロープウェイ駅に到着. 氷穴のあるTennengebirge中腹近くへあがるロープウェイは見上げるとかなり急だ. あまり一度に多くは乗れないため, 30分に一度の運行ながら, 行列にいる人が捌けるまでは連続で行ったりきたりするらしい. 6回ほど待って乗車し, 約4分で一気に1500mまで上る. 眼下のHohenwerfenのお城も一気に小さくなった.
ロープウェイ頂上駅付近は少し平坦になっており, ここにGasthausがある. その脇を抜け, 再び斜面に付けられた道を標高1600mの入口まで1km程歩く.
Eintritt Eisriesenwelt
上も下も岩壁だが, 道は良く整備されていて柵付, 危険はまあない. 11:30の見学ツアーに間に合わせるためにのろのろ歩く人々を追い抜いてスタコラさっさ. 間に合った! かろうじて(苦笑).
[ランプ片手に]
この時刻のEisriesenwelt(アイスリーゼンヴェルト)見学者のグループは約30人ほど. 時間にお兄さんが出てきて, まず「英語の人は前へ来てください. キミは? 」 思わずドイツ語OKです, と答えてしまった私はおばか. OKというほどOKでは断じてないぞ. しかも芸術とか歴史的なものならともかく, 自然科学なら英語の方が圧倒的に分かる. といっても後悔しても遅いが. しかし一瞬回りがどよめいたのは何故? いいじゃん東洋人がドイツ語理解したって.
入口で数人おきにランプを受け取る. これが結構重い. しかもなんで「火」なんだろうか? 入口の扉を開けると寒風がごおっっと噴き出し, いきなり火が消えた人数人. それくらいなら懐中電灯じゃいかんのかな? 中はかなり広く, いきなり氷面全開で, 見学通路用にずっと木道が組まれている. 一応防寒用に二枚羽織ればそれほど寒い訳ではない. ガイドの簡単な解説を受けていざ出発.
話に聞いていたとおり, いきなり木段を上りまくりである. 段そのものは別に普通なのだが, なにせ所々氷結していて滑る上に片手には重いランプ, 更に手袋がないと手すりが冷たい…. 思ったよりはるかに歩きづらかった. こんなことなら人にランプ持たせて自分は手ぶらの方がよかったか(苦笑).
[照明効果]
最初の広いドームの階段沿いにはところどころに巨大な氷柱が立っているが, なにせあまり明るくないランプではそれほど明るくならず, ガイドのお兄さんが解説の際につけるマグネシウム線(?)の明るい光が頼みである. やがてかなり上ってゆきようやく狭いところへ入ると, ハイライト(?)の「宮殿」とか「パイプオルガン」とかあるが, ガイドももう慣れたもので, ちょいちょい入っていっては適切なところに照明をつけて回ると, 内側から透き通った氷を抜けてくる光がすばらしい光景を浮かび上がらせる. おー! (笑) まるでクリスタルの芸術のような光景は, いや確かになかなか見応えがありますね. 見る側にとっては鍾乳石と氷の違いはここだから, やっぱり照らしてこそか. ちなみに内部は撮影禁止で, 私は律儀に入口でカメラをしまいこんだのだが, どこにも守らんやつはいるもので, あちこちで撮りまくる姿が数人. せめてフラッシュと電子音だけは止めてくれんかなあ. きわめて不快だ. 更にうちのグループのすぐ後に学生団体の特別グループが入り, これがあっという間に追いついてしまったために後ろでわいわいがやがやうるさいこと. 結局途中で抜かしてあっという間に先に行ってしまったが, せっかくの洞窟見学がちょっと残念.
1時間以上かけ, 約100m上ったところが終点. 一部おじいさんとか, だいぶお疲れのようで遅れまくっていた(苦笑). 帰りは多少ルートは違うものの基本的に似たようなルートをひたすら下りる.
[すたこら]
洞窟から出てくると, やっぱり外はまぶしい. 行きは大変でも帰りは楽な坂をすいすい下りてロープウェイの頂上駅へ戻る. 30分くらい時間があったので, ここのGasthausで昼飯にする. こんなところでも普通の値段で普通に食事が出てきてしまうところがヨーロッパなんだよな. さて, 13:30のロープウェイに乗ろうと, 会計をしていると…うしろでロープウェイが動き出した音が. どうせまた数往復するのだろうとステーションへ歩いていくと, そこはがらん…. なにい? この時間だけは1往復で終わってしまった? という訳で待ちぼうけ. やられた…. しかもみんなタイミング悪いというか, 間もなく人がぞろぞろ集まりだし, ステーション前に長蛇の列が出来る. 14時の運行は結局5分ほど繰り上げて始まったが, かなり多くの人が駅前で待たされる羽目になってたなあ(苦笑).
さて, 13:30のロープウェイに乗りたかったのは, 下りバスが14時だったから. 14時のロープウェイということはつまりこのバスに乗れないという訳で. バスを待って駐車場で1時間を潰すのはあまりにむなしいので, 下りは4キロ歩いて下りることにした. 駐車場脇のちょっと急な坂道を下りてぐるっと回ってゆく自動車道をショートカットし, 歩いてゆくと, あっという間にHohenwerfenの城が近づく. HagengebirgeやHochkönigの山をバックに上からみるお城はなかなか美しい. しばらくゆくと自動車道に合流し, 少し進むと再びショートカット道の標識があったので, こちらへ入る. やがて分岐があり, 微妙な向きの標識が. とりあえず直進すると…沢にぶつかって道が消えてしまった! しかたなく引き返し, 今度は折れる道に入ると…, 柵がある. 越えていいのかなあ? と思いつつも他にないので越えて歩いていくと, 緑の牧草地をバックに目の前にBurg Hohenwerfenが現れる. おーいい眺めだ. ラッキー.
Burg Hohenwerfen
更にしばらく歩いていくと下に道路が見えてきてほっとしたのもつかの間, 出口はやはり鉄条網付柵でふさがれており, さらにその前には牛さんがでーん…. どうやらやはり私有地に不法侵入してしまったらしい. こうなりゃもうさっさと退散するしかないかと, 斜面沿いのところに上り, 鉄条網を越えて2mジャンプして道路へ逃げ出したのであった. 何やってるんだか. 残りはもう良く分からんのでともかく車道沿いを歩くこと約10分, 無事Salzachの川へと到着したところで, 次の下りのためのバスが坂を上って行きました….
[Burg Hohenwerfenは再び上り]
さて, せっかく下りてきたところで, そのまま今度は対岸のBurg Hohenwerfenへ向かう. こちらは川から約100m程上った小山の上. もうさんざん上りまくった後だが, もうひと頑張りだ.
[鷹/鷲ショウ]
Burg Hohenwerfen(ホーエンヴェルフェン城)入口のゲートの, もう一つ奥にチケット売り場があり, そこで金を払って内部へ入る. ここのシステムは先日のSchloss Rosenburgと同じらしく, 中へ入ればその中のガイドツアーには自由に参加できるようだ. 中へ入ると, 庭ではまさに鷹/鷲飛行ショウの真っ最中であった. やっていることはほとんど一緒で, 主の回りを旋回したり, 腕に降りたり, 空中に投げ上げられたものをキャッチしたり. こちらもよく躾けられていて, 客の真上すれすれを高速で通過していく姿は実にカッコいい. その他Rosenburgでは見なかったが, こちらでは風乗りをしていた. 他に違うといえば, Rosenburgはバックがなだらかな森林地帯だが, こちらはTennengebirgeの岩山ということ. どちらもそれはそれで味があっていい.
[城見学もドイツ語で]
最後に16時の城内見学ツアーに参加. ここのお城は庭より更に一段上に城の建物があり, さらにひいこら坂道と階段を上ってツアースタート地点へ向かう. 今日はKinderfesta, つまり子供祭(?)とかで, やたら子供の姿が目だった. いかにもローカルな人しか来ないRosenburgとは違い, こちらはいろいろな国の人も訪れるらしく, 例の電話機型多言語ガイドもあったが, こういう歴史的なものはどうせ英語で聞いてもよほどしっかり聞かないと理解しきれないし, その分見学がおろそかになることが多く, それではあまり面白くないので, ドイツ語のガイドのお姉さんについて回ることにした.
こちらも11世紀, ルネッサンス期のお城だけに, Rosenburgとそこそこ良く似ているが, 大司教を閉じ込めていた牢など幾つか見所がある. 子供たちが騒ぐ中庭をぐるっと取り囲むように建つ建物をぐるっと一周し, 最後に鐘楼に上ると, 眼下にWerfenの町とSalzach沿いのPongauの谷間とHochkönigの岩壁が広がるが, 実にタイミングよくSalzach沿いの線路を走るSLの姿が. 今日だけの特別運転だ. これまた実にラッキー.
[鷹博物館]
ここはザルツブルク州の鷹飼育センターも兼ねているらしく, 便所に行こうと思ったら, それに並んで鷹博物館なるものもあり, いろいろ写真などが貼ってあった. 飼育の過程とか鷹の種類とかそんなのが多いが, それなりに見るものはある. 時間切れであまりのんびり見ている暇はなかったが.
入場は17時までだが, 17時半くらいまでうろうろし, 後は駅へと向かう. 今回は別にまだ終列車ではないので, もう一本後でもよかったということもあり, あまり急いでは行かなかったのだが, 幸か不幸か列車が4分遅れてきたため間に合ってしまい, タイミングよく(?)襲った夕立の中, 帰路についた.

Salzburgからも近くアクセスはいい場所でもあり, 一日ハイキングにはいいところだったかなと.


現地の行程

5/22 Werfen arr 10:13 -- --
dep 10:20 EisriesenweltLinie
バス
5.6Euro
(往復)
Parkplatz arr 10:45
dep 10:47 徒歩 ---
Talstation arr 10:57
dep 11:12 ロープウェイ 17.0Euro
(コンビT)
Bergstation arr 11:15
dep 11:15 徒歩 --
Eisriesenwelt入口 arr 11:25
Eisriesenwelt氷穴見学 11:30-12:45 (17Euro)
Eisriesenwelt入口 dep 12:50 徒歩 ---
Bergstation arr 13:00
昼食(Dr. Friedlich-Oedl Haus)
Bergstation dep 13:52 ロープウェイ (17Euro)
Talstation arr 13:56
dep 13:56 徒歩 ---
Parkplatz via 14:03
Salzach川橋梁 arr 14:57
dep 15:15
Burg Hohenwerfen入口 arr 15:30
Schloss Hohenwerfen見学 9.5Euro
Burg Hohenwerfen入口 dep 17:28 徒歩 --
Werfen Bahnhof arr 17:45
dep 17:45(4分遅延) -- --

参考


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