インヘラー

 海外旅行中に腹をこわし、持参した正露丸をのんでもさっぱり治らないのに、 現地の薬をのむと即座に治ってしまったという経験がしばしばあります。 なぜ現地の薬がよく効くのかを考えてみると、現地の薬は現地での腹痛に 適するように作られているからだということがひとつ考えられます。しかし 腹痛薬に限らず、一般的に日本の薬は副作用に気を使っているぶんだけ薬効も 弱くなっている一面があるのではないかと思っています。そのため薬効重視で 薬を探す場合、海外で思わぬ便利な薬に出会う場合があります。

 マレーシアでインヘラーという薬を見つけました。インヘラーを直訳 すると吸入器ですが、その名の通りこの薬は鼻に使用する外用薬で、 使うと鼻のとおりがよくなるというものです。慢性鼻炎で鼻の通りの 悪いことの多い私は、もしかしたらこの薬は非常に便利なのではないかと思い、 期待してこの薬を購入したのです。



 インヘラーの使い方ですが、まずキャップをはずし、容器の先端を鼻の穴に 軽く突っ込み、そして大きく息を吸い込むと、メンソール系の爽快感のある 香りが鼻の中に広がります。使用した感じがあまりに気持ちいいので、 購入当初は鼻の調子のよしあしにかかわらず、頻繁に使用していました。 多少の人目を気にしつつも。



 しかし、この薬や似たような薬が日本で売られているのを見たことが ありません。これだけ鼻がすっきりする薬なのだから、日本で売ったら 売れないことはないと思います。そう思うと、日本で売っていないのは、 日本で売るのにふさわしくない成分が含まれているからだという想像が つきますが、本当にそうなのでしょうか、

 そこでインヘラーについてインターネット等で簡単に調べてみました。 わかったことは、インヘラーにはエフェドリンという物質が含まれており、 過度に使用すると場合によっては幻覚があらわれたり、不整脈や心停止の おそれがあるとのことで、日本では医療用としての使用だけが認められている 物質のようです。国際オリンピック委員会が禁止する薬物リストにも エフェドリンは載っているようです。

 疑問なのは、インヘラー本体にはどこにもエフェドリンを含んでいるとは 書かれていないんですよね。本体に書かれている「Camphor」というのが カンフル剤を意味するので、これがエフェドリンに相当するのかも知れません。 もう一つ疑問なのは、果たしてインヘラーを使用した私がこのカンフル剤で 本当に興奮しているのかということです。自覚症状はまったくありませんが、 これは酔っぱらった人が「自分は酔っていない。」と自己主張しているような ものかも知れません。



購入場所:マレーシア、クアラルンプールの薬局
購入価格:1本4.1リンギット
購入日時:2000年7月8日