きのこ岩

 トルコの中央部付近、アナトリア高原上位置するカッパドキアは、 奇石や奇岩により形作られる独特の景色が展開される場所として有名です。 付近にあるエルジェス火山の火山活動によって生成された凝灰岩や溶岩の 層が数億年にわたって浸食され、柔らかい部分が削り取られ、堅い部分が 残った結果、これらの奇岩が形成されたのです。

 自然の力で生まれたこれらの岩をさらに奇異に見せているのは、岩に あけられている無数の穴の存在でしょう。それらの穴は住居や倉庫用として つくられたものだと想像できますが、なぜこのような穴があけられたのかを 考えてみると、空間を確保するためには建物を建てるより、穴をあける方が 手っ取り早かったからかもしれません。



 穴に近寄って観察してみると、多くの穴は現在は使われていないように 見えます。しかしカッパドキアでは穴を利用したホテルもあり、観光客は そういった洞窟ホテルに宿泊するという体験をすることができます。私の 印象では、洞窟ホテルは少々じめじめしていましたね。

 カッパドキアの奇岩の中には、きのこのような形をしたものも存在 します。岩の上部が堅くて浸食されにくいので、上部が残ったまま下部が 削り取られ、きのこのような形になったのでしょう。写真の一連の岩は 上部の黒っぽい地層と下部の白っぽい地層の境目がはっきりとしていて、 上部に比べて下部の地層が大きく削り取られていることが見てとれます。



 しかしカッパドキアには、こういった浸食ではなく、全く別の理由で 形成されたと思われるきのこ岩がありました。その例外的なきのこ岩は、 どう見ても小さい岩が大きい岩の上に人為的にのせられたとしか思えない 外観をしています。ではなぜ人為的にきのこ岩がつくられたのでしょうか。



 そのきのこ岩は観光バスも通れるような太い道路に面した場所にあり、 付近に駐車スペースが十分にあり、さらに土産屋も出店しているという ことが、理由を探るのに大きなヒントを与えてくれているように思います。

目撃場所:トルコ、カッパドキア
目撃日時:1992年4月