マッコウクジラ

- マッコウクジラ(Sperm Whale)
- ハクジラ亜目・マッコウクジラ科
- 学名:Physeter catodon(=Physeter macrocephalus)
- 英名及び別名:Sperm Whale,Great Sperm Whale,Cachalot
- 体重:オス60t・メス20t(オスがメスの3倍)(新生仔1t)
- 体長:オス14m・メス12m(新生仔3.5〜4.5m)
- 群れ(ポッド):1〜50頭(まれに150頭程度,数百頭)
- 歯クジラで一番大きな種である。体色は黒灰色であるが、歳をとるに従って白っぽくなる。特に頭の部分が白っぽくなるものが多い。背びれは山型で、その後ろから尾ひれに向かって中央部にいくつかの盛り上がりがある。頭部以外の表面はでこぼこしている。
- 抹香鯨?
マッコウクジラの中には腸の中にこぶ(瘤)ができるものがいる。この瘤を龍涎香(りゅうぜんこう)というのだが、これはむかしから香水の香りを長持ちさせる添加剤と高い価値のあるものだった。この龍涎香の粉を少々火の中に入れると、抹香に似た香りがするのである。「抹香(まっこう)」とは植物のモクレン科のシキミ(樒)の葉や皮を粉にして作った香のことである。このことから、抹香鯨(まっこうくじら)と呼ぶようになった。
- 体長の21倍
クジラの腸管は非常に長い。17メートルのマッコウクジラの腸管を調べてみたら、長さは365メートルもあったらしい。腸の長さが体長の21倍にもなっている。ナガスクジラは4倍、ザトウクジラは550倍でイルカは1000〜2000倍である。他のひげクジラはオキアミを餌にしているが、マッコウクジラは、体長10メートルにもなるダイオウイカを食べているからと考えられる。
- 龍涎香
中国の言い伝えでは龍の涎(よだれ)が固まったものだとある。これが名前の由来だ。腸にできる瘤(龍涎香)は、人のにぎりこぶしよりひとまわり大きいものから0.4トンにもなるものまでさまざまな大きさがあり、また色も琥珀色、暗褐色などがある。粘り気はないが、まつやにのようにやわらかいらしい。体外に出されると、だんだんと硬くなっていき、のちに石のようになる。マッコウクジラが海中で死んでからだがなくなってしまっても、この固まりは残り水面に浮いて漂っているらしく、まれに海岸に打ち上げられる。対外に出されてすぐの時は生臭いが、乾燥させると麝香(じゃこう=ジャコウジカからとった香料)に近いにおいがする。
- 脳油(のうゆ)
体の三分の一を占めている大きな頭をもっているが、その中には脳油がたっぷり詰まっている。マッコウクジラの頭部には脳油袋が入っており、これを取り出して破ると白いゾル状の液体が流れ出してきて、やがて固まる。脳油はマッコウクジラの体温33.5℃では液体状であるが、29℃以下では鑞状(ろうじょう)に固まる。この油をとるためにマッコウクジラはアメリカ式捕鯨の主対象とされた。むかしは高級ろうそくの原料として、そして、高級潤滑油(機会の接触面に塗って摩擦を少なくさせる油)となって自動車から宇宙ロケットにまで使われるようになった。
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