白いマッコウクジラ

白いマッコウクジラ
  • 白いマッコウクジラ?
    19世紀の文豪ハーマン・メルヴィル(アメリカ人)の小説、「モビー=ディック(白鯨)」の主人公になっている白いマッコウクジラは一般にもなじみ深いであろう。この小説では体全体が白く、並はずれた巨体を持ち、頭のいい凶暴なクジラとしてえがかれている。しかし、マッコウクジラの体色は歳をとるに連れだんだん白っぽくなっていく。全身が白くなってしまうものも少なくない。メルヴィルが主人公にしたのは歳をとって白くなったものではなく、体表に色素がないアルビノ個体(しろこ)のマッコウクジラなのである。
  • アルビノ個体
    宇宙から降り注ぐ放射線などの影響で、ハツカネズミやヒトは10万個体に一つの割合で突然変異が発生しているが、アルビノ個体(しろこ)とは正常な優性遺伝子が突然変異で色を失ったものであり、特徴として皮膚が新雪の積もったときのように真っ白く、瞳の色が赤い。目が赤いのは目の裏の血管が透けて見えるからである。ナミヘビ科のアオダイショウの白化型で通称「しろへび」といい山口県の岩国市では天然記念物として保護されている。また、シロネズミ、ニジマスのアルビノ個体なども発見されている。想像できない人のために例をあげておくと、実験用マウスとして使われる「しろハツカネズミ」やウサギでは家畜用の「はくしょくにほん種」などが、人為的に起こされた突然変異ではあるがアルビノ個体である。一般にアルビノ個体は体が弱いようだ。
  • 太平洋の白鯨
    メルヴィルの時代、クジラのアルビノ個体は確認されていなかったようだ。それ以降も長い間アルビノ個体は確認されていなかった。しかし、捕鯨の技術が進み、20世紀半ばに太平洋の熱帯の海で実在の白鯨が見つかったのだ。白いマッコウクジラはすぐに解体されたので実物を確認することは出来なかったらしいが、皮膚の標本を見ると皮膚は白くて色素を持たず、完全なアルビノ個体だったようだ

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