感染症の感染経路となる動物

まずは、動物介在活動を行う前に動物が清潔であるか、動物が食物に触れる機会がないか、動物のもっているノミやシラミがいないか、動物が感染症にかかっていないかなどを検査した後でヒトと触れ合わせることが重要だと考えることが必要となる。
  • 感性経路となってしまう動物
    感染症を起こす感染微生物等は、動物を介して感染する可能性がある。ダニや昆虫を介して感染するものと、ペット(イヌやネコ、鳥など)や家畜(ウシやヒツジなど)から感染するものがある。
    • 腸炎サルモネラ菌
      サルモネラ菌の中に含まれる腸炎菌で、腸炎を起こし下痢、腹痛、発熱などの症状が出る。サルモネラ菌は細長い棒状をした腸内細菌の一群で、チフス菌やパラチフス菌なども含まれる。サルモネラ菌はネズミをはじめとする哺乳類動物、鳥、ヘビなどに多く寄生し、食品の汚染から感染することが最も多い。
    • ペスト菌
      法定伝染病の一つである急性感染症のペストを起こす病原体。ペストは感染したネズミから吸血したノミによって感染する。悪寒を伴う高熱があり、皮膚・リンパ腺・肺などに変化が現れ、心臓・運動・神経障害を起こす。予防接種は2000年現在行われていない。
    • リケッチア
      細菌とウイルスの中間の大きさをもつ微生物で、生きた細胞内でしか増殖しない。発疹チフス・つつがむし病などの病原体になるものもある。発疹チフスはシラミが媒介し、発熱・頭痛・四肢痛を訴え、皮膚に出血斑をもった特有の発疹を生じる急性の感染症。つつがむし病はツツガムシによって感染する日本・東南アジアにみられる風土病で、感染後1週間前後で刺されたところが化膿し、高熱・発疹・筋肉痛などの症状が起き、放置すれば死亡することもある。つつがむし病にはテトラサイクリンかクロラムフェニコールが有効。
    • クラミジア
      クラミジア=トラコマチスを病原体とするクラミジア感染症は日本で最も多く見られる性感染症で、尿道や女性の場合は子宮頸管に炎症を起こす。放置すると不妊症、新生児の肺炎、結膜炎などの原因になる。
    • トキソプラズマ
      トキソプラズマ症を起こす原生動物胞子虫類の、ある種のトキソプラズマ。多くは胎児感染で、けいれん・水痘症・高熱などを伴い、生後数週間で死亡する。
  • 蚊が媒介する病原体
    • 日本脳炎ウイルス
      法定伝染病の一つで日本脳炎という流行性脳炎を起こすウイルス。コガタアカイエカなどによって媒介され、多くは夏季に発生する。発熱・嘔吐・頭痛・意識混濁などの症状を示す。死亡率は約20%で、治っても脳障害が残ることがある。予防接種が有効で、2000年現在は東南アジアで多数発生している。
    • 黄熱ウイルス
      黄熱病という熱帯性感染症を起こすウイルス。ネッタイシマカが媒介。黄熱病は経過の短い急性熱病で、中南米やアフリカに見られ、外来者がかかると30〜40%が死亡する。予防にはワクチン接種が有効。
    • マラリア原虫
      感染症のマラリアを起こす原生動物で、分裂増殖の周期に一致して発作的な発熱を繰り返す。病原虫がハマダラカによりヒトに移り、熱帯地方に多い。免疫ができて一定期間は発作を起こさなくなるが、再発しやすい。病原虫の種類によって、三日熱、四日熱、熱帯熱などの型がある。
  • その他の病原微生物
    リステリア菌、ボレリア、ブルセラ、レプトスピラなどが病原微生物として挙げられる。
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