事件解決に寄せて

                            中宮 崇


4ヶ月以上にも渡った長い試練はようやく終わった。しかし我々は、日本の馬鹿メディアによって殺された3名の尊い命について忘れてはならない。


 本日4月23日、ペルー大使公邸人質事件がようやく解決されました。しかし不幸にも、人質1名、突入隊員2名の犠牲が出てしまいました。

 自らの犯罪的行為に無自覚な、メディアや一部の「人権派」知識人は、その責任がまるでフジモリ氏にあるような居直り発言を多数しております。それについては後日まとめてお伝えしますが、亡くなった人質の方の死因は、心不全だそうです。

 このことをとってみても、人質の皆さんの健康状態が極限まで悪化していた事実が明らかになったのです。それなのに先日、誘拐業者MRTAは、今まで認められていた医者の訪問を制限するという暴挙に出ていたのです。これは、フジモリ氏が突入の条件として上げていた「人質の生命の危険」を十分満たすものだといわざるをえません。

 人質の方を殺したのは、「平和解決」、「人命尊重」を空虚に連発することによって事件を長期化させた、日本に巣食う一部の「人権派」、「反政府派」、「市民派」を騙る、運動団体やマスメディアにあるといえます。

 また、人質の解放という崇高な目的のために殉職なされた2名の突入隊員、彼らを殺したのも、そのような団体、マスメディアです。

 つい最近、ペルー政府が公邸へのトンネルを掘削していたとの「スクープ」報道が乱舞しました。本当に掘っていたかどうかは今のところわかりませんが、この手の無神経な報道によって「トンネルによる奇襲」という、極めて有効かつ安全な手段が、「報道の自由」や「人命尊重」を騙る殺人者どもによって封じられてしまった事は紛れも無い事実です。

 「NEWS23」の有名キャスター筑紫哲也は、「トンネル疑惑」についてかつてこのように発言しました。


  「これが本当だとすると結構コワイ話しだよね。荒っぽい話

   だし、人質の安全とあれだけ言っていたのに」


トンネルを極秘のうちに掘削できれば、突入はもっと安全になった事は疑いようも無い事実です。結果的に筑紫を始めとするメディアは、突入の安全性を損なう事によって、2名の隊員の死に大いに荷担した事になるのです。

 今回の人質事件のような犯罪は、今後も繰り返される事になるでしょう。何しろ日本には、犯罪者を最大限擁護してくれる馬鹿メディアやエセ「人権派」にはこと欠かないからです。

 これから21世紀に向けて海外との関わりをよりいっそう増す事になる日本人は、自らの安全のためにも、そのような犯罪者達を叩き潰しておく必要があると言えます。

 事件解決を迎えた今、倫理も信念も持ち合わせない日本のメディアや「人権派」の連中が、事件解決を機会にペルーにおける深刻な人権状況への興味を急速に失ってゆく事は確実であります。アムネスティのような海外の「ホンモノの」人権派団体が指摘するように、無実の罪で投獄され劣悪な環境下で生命の危機にさらされている囚人のように、輝かしい経済回復の陰で泣かされている数多くの人たちが存在する事もまた事実として忘れてはいけない事なのです。

 そのような弱い立場の人々の存在をこれからも忘れることなく関心を持ち続け、ペルーがより理想的な社会となるための手助けを惜しまない事こそ、日本の馬鹿どもによって殺された3名の尊い命に報いる道であると信ずるものであります。

 最後になりましたが、日本という不甲斐ない国のために命を落とされた3名の方々のご冥福を、それぞれの空の下でお祈りいたしましょう。


                             なかみや たかし・本誌編集委員


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