『週金』を撃つ!−2
太田昌国はなぜ騙されるのか
太田のデマ記事に欠落する「羞恥心」と「常識レベルのバランス感覚」
中宮 崇
かつて、オウムに殺害された坂本弁護士を侮辱するデマ記事を載せた『週刊金曜日』。その時の教訓は何ら生かされていない。
テロリスト・シンパとしての太田
ペルー大使公邸人質事件の発生から既に4ヶ月。MRTAと称する自称「ゲリラ」どもが実は単なる誘拐業者にすぎないのだということは、徐々に誰の目にも明らかになりつつある。
しかし、未だに彼らの卑劣な行為を、「ペルーの深刻な社会状況を改善しようとする崇高な考えから出た行為」などと考えている低能な族が日本にあふれているという現実には、怒りを通り越して涙を誘われる。
そのような連中の溜まり場の一つとして上げられるのが、有名キャスター筑紫哲也などにより1992年に創刊された『週刊金曜日』なる雑誌である。
庶民から毎週525円も巻き上げるこのエリート雑誌は、今年の1/10号に以下のようなテロリストシンパのプロパガンダ記事を載せた。
『日本大使公邸はなぜ狙われたのか
マスコミのペルー事件報道に欠落する
「南北問題」と「国際感覚ゼロの経済援助」』
太田 昌国
実はこの太田昌国なる人物は、以前、世界中のテロリストや過激派の主張を垂れ流す『世界革命情報』なる雑誌を作っていたテロリストのシンパとでも言うべき人物である。
さすがに賢明なる市民はそのような犯罪的な雑誌の存在をいつまでも認めるはずが無く、『世界革命情報』はいまや過去の存在となってしまったのであるが、太田は無反省にも、今度は「市民派」を標榜する『週刊金曜日』において、再び市民をたぶらかそうと画策したのである。
猫と犬を結婚させるがごとき、超論理的アクロバット
太田のこの2ページほどのデマ記事の中で彼は、大使公邸が狙われた理由は2つあると主張したいようである。
1、天皇誕生日を「ナショナル・デー」として祝って、盛大なパーティーを開いたため
2、民衆を犠牲にした経済政策を推し進めるフジモリ政権を、日本が援助しているため
いずれもとんでもないデマである。
これは別のところでも書いたことであるが、MRTAが今回の事件を起こして理由は、「身の代金をせしめてカリブのリゾートで奥さんと一生安楽に過ごすため」である。「ゲリラ」などではなく単なる誘拐業者なのだから、至極まっとうな理由である。
それをまるで、MRTAが義賊であるかのようなこのようなデマを流すというのは、凶悪犯に肩入れする極めて悪質な犯罪的行為である。
太田が挙げる2つの理由は、いずれもそれ自体は日本が真剣に検討せねばならない事柄ではある。しかし、「それらの理由からMRTAが今回の事件を起こした」などと馬鹿なことをほざくのは、「M青年が少女を誘拐して強姦、殺害したのは、この国の資本主義が間違っているからなのだ」などと主張することぐらいに愚かなことである。
MRTAは大使公邸を襲って丸腰の市民を拉致監禁した。そして、ペルーには確かに深刻な社会問題が存在する。しかしこの二つは、互いに完全に独立しているものであって、両者を強引につなげて「MRTAが今回の事件を起こしたのは、ペルーに深刻な社会問題が存在するからだ」などとこじつけることは、犬と猫を強引に掛け合わせようとする遺伝子学者のごとき行為である。
デマゴーグ太田の末期症状
太田はこの駄文の中で、他にも数多くの嘘や世迷言を書き立てている。
まず、「南の民衆が「援助」を繰り返し批判の対象とする」などという嘘。日本の援助がそのような広範な批判の対象となっているというのは、エセ知識人や馬鹿メディアどもがいつも流しているデマである。詳しくは別の機会に書くが、太田のような馬鹿の言うことを聞いて入たら、ペルーは発電所や道路の代わりに、小さな井戸や給食センターばかり林立する永久貧困国となってしまうであろう。つまり太田のような人種は、ペルーの人たちのことを考えているようなふりをしつつ実は、ペルーをいつまでも貧困なままにしておこうとしている極悪人なのである。
次に、彼は今回の事件をなんと、「大使公邸占拠・捕虜作戦」などと呼んでいるのである。これほど馬鹿な呼び方が無いことは、別記事『メディア・テロリズムの恐怖』でも書いたが、拉致された人々は断じて「捕虜」などではなく「人質」であるのだし、第一「作戦」とは何たる言い方であろう。「作戦」とは、軍事組織がある目的を達成するために行う行動のことなのであって、今回のMRTAのような単なる犯罪者集団に対して使うべき言葉ではない。
太田が「捕虜」という言葉にこだわりを持っていることは、「捕虜とされた日本人商社員が言うように」などという言い回しや「日本人・日系人「人質」」などという書き方をわざわざしていることからも見て取れる。彼は確信犯であり、単なる無知からこのような馬鹿げたことを言っているわけではないようだ。このような人を人とも思わない悪質なテロリストのシンパがでかい顔して雑誌で嘘を書きたてることができるとは、日本の言論の自由は全く世界に誇ってしかるべきものである。
かつて太田は、社会主義に騙され、中国に騙され、北朝鮮に騙された。そして今、MRTAに騙されている太田は、一般市民をだまくらかす手助けをしているのである。
なかみや たかし・本誌編集委員