嘘つき『朝日』の大冒険−1
―――人質の夕飯を食い物にした男達―――
中宮 崇
「新聞に書いてあることは正しい」などと思っているあなた。早いところそんな迷信は捨てて、真の文明人になりましょう!天下の朝日新聞だけでも、こんなに嘘だらけ。
1月7日(現地時間)にペルー大使公邸で発生した、テレビ朝日系広島ホームテレビの人見記者による「カミカゼ取材」には、数多くの賛否両論が存在する。それについてはまた別の機会に書くとして、ここではこの「珍事」に関する朝日新聞社の嘘にまみれた汚れた記事をたたっ斬る。
さて、自分の手柄のために人質たちの夕食を一食フイにしてしまった人見記者であるが、彼が「カミカゼ取材」にもかかわらず「生きて」出てきた直後、せっかくのビデオテープをペルー当局に押収されてしまった。
朝日新聞はこの件を、「悪逆なフジモリ政権による、検閲等による言論弾圧」というふうに位置づけることをかなり早い段階で決定していたらしい。10日朝刊には既に、
「取材した資料返還せぬ方針 ペルー国家警察」
なんて記事を一面に載せている。つまりペルー当局が「カミカゼ記者の取材したテープなんて返して上げませんよ〜」と言ったと報じたのである。
承知の通り、これは大嘘である。後にテープは未編集のオリジナルがちゃ〜んと返還されている。嘘つき新聞のいつもの手であるが、情報源を明らかにせず「関係者筋によると」などという分けのわからない言い回しを使って、自分たちは何の責任もとらずに安心して嘘を流せるシステムを作り上げているのである。
このように読者を騙して自分たちに都合の良い世論を作り上げようとする犯罪行為は急激にエスカレートする。翌11日の夕刊では、
「没収ビデオ「検閲」検討 ペルー政府 一部削除して返還か」
などと、またもや怪しげな「関係筋」の情報を伝えている。しかも今回は、「返還か」などという書き方をして、二重に逃げ道を作っている。さすがに戦後一貫して国民をだまくらかしてきた天下の朝日、嘘つきのテクニックも一流である。
そもそも「関係者筋」が「検閲」などと言う言葉を使うなどとは考えられないのだが、わざわざそのような刺激的な言葉を意図的に紛れ込ませることによって、読者をうまいこと利用しようとしているのである。
さて、読者を馬鹿にするこのような態度は、13日にピークを迎える。ここまでくるとかえって感心さえしてしまうが、
「返却テープは検閲済み ペルー内務省筋 爆発物配置など削除」
と断定調になっている。またしても「関係者筋」などという得体の知れないものを情報源にしている。そもそも、なぜ名前を隠さなければならないのか理解不能だ。唯一の理由は、「本当は、朝日新聞が勝手に「関係者筋」なる人物をでっち上げた」というものぐらいしか考えられない。
嘘を垂れ流し続けた朝日であるが、この嘘つきキャンペーンも15日になってやっと終息する。その日の朝刊の見出しは
「返却ビデオにカットなし テレ朝系記者撮影」
というもの。今まで気合入れて垂れ流してきた大嘘が全部ひっくり返されてしまったわけであるが、そこは天下の朝日である。マスコミ屈指の給料を払って、取材は黒塗りのでかい自動車で乗り付ける朝日である。阪神大震災のどさくさに紛れて地元紙を駆逐して部数を伸ばした朝日である。謝罪の言葉も訂正の言葉もただの一言も見られない。そりゃあそうである。何しろ天下の「嘘つき朝日」なのであるから。
なかみや たかし・本誌編集委員