暴走レポート−2
『インパクション』のインチキ・ショー
中宮 崇
市民運動系のオピニオン誌『インパクション』は洗脳バイブルの決定版だ!
女性週刊誌『インパクション』
今回取り上げるのは、市民運動系の人間がずらっと編集委員に名を連ねているオピニオン誌、『インパクション』(インパクト出版会)。この隔月間誌は、第102号において従軍慰安婦問題を特集した。
ある市民運動系メーリング・リストに流された宣伝文句によると、「強制連行あった派」による「従軍慰安婦問題」の決定版なのだそうだ。確かに、「強制連行あった派」の品性の下劣さと知性の欠如を確認できるという意味では「決定版」と言える。
内容は全くひどいもので、ほとんどただのスキャンダル誌である。「強制連行無かった派」を攻撃するに、筋道の通った論理によってではなく、誹謗中傷、スキャンダリズムをもってしている。例えば、「最近では「キリストの幕屋」は藤岡氏(筆者注:「無かった派」の中心人物)たちの集会には必ず出席しているようだ」とか、「この会(筆者注:「無かった派」による会)の賛同者に右翼政治家たちが名をつらねている」など。
論理で勝てないものだからこのようにある事ない事書きたてて少しでも巻き返そうとしているのだろうが、見苦しい限りである。
挿し絵もひどい。「強制連行無かった派」の人間たちを醜悪に書く事だけでは飽き足らず、ハイル・ヒットラーのポーズをとらせて(それどころか実際、「ハイル・ヒットラー」と発言させている)みたり、ヒットラーとならべて描いてみたりと、まあオピニオン誌と言うよりは女性週刊誌ののりである。あまりにも痛々しくて、涙さえ誘われてしまうほど重症だ。
デマの『インパクション』
この程度のインチキ本は、「強制連行あった派」からいくらでも出されている。取りたてて目くじらを立てるようなものではない。ところがこのスキャンダル誌は、単なる下劣なスキャンダル誌としての枠を超えた許されざるべき悪質な情報操作を行っている。それが、
「右派勢力の教科書攻撃に関する年表」
なる27ページにも及ぶ膨大な年表である。
こんな膨大なものを一所懸命に作っているというだけでも精神病理学の分析対象としての資格十分であるのだが、その中にとんでもないデマが含まれている。
本誌の今週号の記事「嘘つき朝日の大冒険」でも取り上げた、「柳美里脅迫事件」。これを『インパクション』はなんと、朝日の洗脳作戦そのままに「右派勢力の教科書攻撃」として年表に載せているのである。
「嘘つき朝日」でも書いたように、「柳美里脅迫事件」は右翼による犯行とは考えにくいし、そもそも被害者の柳氏自身が「犯人は右翼だ」などとは考えていない。むしろ朝日新聞や市民運動、人権派による攻撃ではないかと考えているようである。
それを『インパクション』はなんと、「右派による教科書攻撃」として年表に載せたのだ。だいたい「柳事件」のどこが教科書問題と関連しているのか教えて欲しい。あ、エセ市民運動や嘘つきメディアが盛んにデマを垂れ流して我々市民を騙そうとしているという点では関連しているか。
このように、「市民派」、「人権派」を名乗る雑誌のほとんどは、実は朝日新聞の紙面をそのまま鵜呑みにしてデマでもなんでも信じ込んでしまうようなマインドコントロール大好き人間たちの溜まり場にすぎなくなっている。
本誌はそのような「エセ市民派」に成り下がることなく、「ホンモノの市民派」としての立場を維持してゆきたいと考える。
なかみや たかし・本誌編集委員