『週金』を撃つ!−3

われらだけの「言論の自由」

                           中宮 崇


「言論の自由」、それは全ての市民が持つ権利。しかし「市民運動」や「人権派」を騙る連中はその独占を企む!


 今回やり玉に挙げるのは、『週刊金曜日』3月14日号における反骨のジャーナリスト本多勝一によるコラム、「風速計」。テーマは「ファシスト」。

 この手の下らん連中の病理的な御都合主義がよく現れている文章であるので取り上げる。

 彼の意図は実に簡単で、要するに従軍慰安婦問題において旧軍人や「自由主義史観」の人間に物を言わせるな、口を封じてしまえというのが論旨である。これこそまさにファシストであると思うのだが、彼らのような言論弾圧者の共通の病理として、「自分こそ正義である」と固く信じ込んでいるという特徴があるため、多分ウルトラマンや仮面ライダー気取りで悪の秘密結社でも叩き潰している気で居るのだろう。実は彼ら自身こそ我々市民を傷つける「悪の秘密結社」なのであるが。

 ところでこのコラム中、本多はこう言っている。



   「ナチの幹部を有罪とした連合軍側は間違っていた」と主

    張する人と、ナチの犯罪を厳しく糾弾する人とが、マスコ

    ミだの”一流大学”だのを舞台に、対等の立場で討論なり

    論争なりをするとき、トクをするのは前者である。ばかば

    かしい主張が半分公認されるようなものだ。



これほど露骨な言論弾圧宣言を、私は聞いたことがない。では聞こう。「MRTAという単なる誘拐業者を対等の政治集団として扱い、その主張とシンパの妄言を垂れ流している『週金』は、あのような「テロリスト」でさえないただの犯罪者のプロパガンダを公認していることにはならないのか?」。事件終結とともに明らかとなってきた『週金』記事の嘘を、彼らは謝罪する気があるのか?

 だいたい『週金』はオウムによる坂本弁護士殺害事件において、「坂本弁護士を拉致したのは国鉄当局である」などと寝ぼけた大嘘を言う馬鹿学者に、「対等の立場」で言論の場を提供していたのではないか?死者を冒涜するこのような人を人とも思わないような、市民に対する犯罪行為を、いったいいつまで続けるのか?『週金』編集長でもある本多は、あの嘘記事の責任を取ったのか?



 いわゆる「市民運動」や「人権派」を騙り、言論の自由を標榜している連中の本心は、このコラムに見られるように、「自分たちの気に入らない言論は、自分たちの独善的な判断基準のみで実力行使してでも圧殺してしまえ」というものなのである。つまり、「言論の自由は自分たちだけに許されているのだ」と固く信じているのである。

 だいたい、このコラムはなんとも市民を馬鹿にしている。我々市民が、討論を公平に正しく判断ができないとでもいいたいのか?間違った主張にたぶらかされやすいとでもいうのか?正しく筋道の通った論を展開してくれるのなら、誰でも何が正しく何が間違っているか判断できるはずである。

 本多は、討論によって相手を言い負かす自信が無いのであろう。そりゃあそうだ。本多のような連中の間違った主張や嘘の主張を、我々市民が鵜呑みにするはずがないのだから。

 本多は更に、自分たちの気に入らない連中の主張を、「屁理屈」と切り捨てる。奇妙なことにこの「屁理屈」という言葉は、彼が忌み嫌うところの封建主義的家族制度における理不尽な父親が、子どもや妻の正論を封じるために一番よく使用した言葉なのではないか?実は本多は、民主主義の仮面をかぶった封建主義オヤジなのではないか?



 最近ではよく知られていることであるが、本多勝一は変装の名人である。かつらやサングラスを上手に使ってうまいこと、「右翼」団体の攻撃を日夜かわしているそうである。

 ところがどうやら、変装しているのは顔だけではないらしい。彼が「思想における変装の名人」としての名声を得ることになるのは、そう遠いことではないかもしれない。


                                 なかみや たかし・本誌編集委員


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