嘘つき『朝日』の大冒険−3

―――優しいゲリラ、危険な政府―――


                             中宮 崇


朝日がばらまく、「ゲリラは人間的、ペルー政府は残虐」という大嘘!


 別記事「虐殺者の作り方」でも書いたように、朝日は「フジモリは残虐な虐殺者」だという印象を与えるようなマインドコントロールを、我々市民に対し行っている。ところがそれだけでは不十分だと思ったのか、なんと「ゲリラは人間的で、結構いい奴等だった」などというとんでもないプロパガンダまで行っているのである。

 なぜ朝日はそこまで犯人たちに肩入れをするのか?多分、朝日の内部にMRTAのシンパでもいるのであろう。そうでも考えなければ、ここまで異常なでたらめ報道を行う理由が見付からない。


「犯人は我々を撃たなかった」というデマ


 特殊部隊が大使公邸内に突入した際、犯人たちは人質を撃ち殺す機会があったにもかかわらずそれをしなかったのだそうだ。当然であろう。人質を撃ってしまって弾が切れてしまったら、弾ごめをしているときに突入してくる兵士たちに撃たれてしまうかもしれないのだから。それに、無抵抗の人質を撃ち殺すなどという事をしたら、自分たちが捕まった時に極刑を免れる事ができなくなる。つまり、たとえ犯人たちが人質を撃ち殺さなかったとしても、その理由は自らの命がかわいかったからにすぎないというふうに考えるのが普通ではないか?。

 ところが朝日は、「犯人たちが人質を撃たなかったのは、彼らが人質たちに親密な感情を抱いてしまっていたからだ」などというろくでもない大嘘を繰り返し垂れ流している。

 だいたい、実際のところは犯人たちはちゃんと、人質を撃っているのだ。たまたま狙いが外れたために、人質の命が奪われる事がなかったというだけの事だ。突入の状況を解説する番組をきちんと見ていればわかる事なのであるが、朝日は故意に、そのことを読者に対して隠している。また、犯行グループのリーダー、セルパは、「非常時には人質を撃ち殺せ」との命令を出していた事もわかっている。朝日はこれらをことごとく取るに足らない情報であるかのように扱い、市民を騙そうとしている。

 朝日が「犯人は人質を撃たなかった」と主張する記事は、4月25日朝刊と4月26日朝刊に載った。

 25日の記事は囚われていたペルー農相の証言に基づいたものであり、26日の記事は同じく囚われていたペルー情報局のメンバーの証言を元にしている。

 前者の記事を少し引用してみよう。


   「身を守るために伏せていた農相に、震えながら自動小銃
    を向け、引き金に指をかけた。しかし、思い悩んでいる様
    子を見せ、そのまま部屋から出ていった。」


 フツーの読者なら、これを読んだら「思い悩んでいる様子」という文から、「人を殺すような残酷な真似をすることにはためらいがあったのだ」と感じるであろう。巧妙にも朝日は、そこまではっきりとは書かずに、読者が朝日に都合の良いこのような推測をしてくれるように実にうまい書き方をしている。オウムも使った、典型的なマインドコントロールの手法だ。

 たとえ犯人が「思い悩んでいる様子」であったとしても、前述のように「弾がもったいない」と思ったからかもしれないし、「自分が捕まったときに責任を問われるかも」という気持ちがあったのかもしれないのだ。ところが朝日は、そのような可能性を完全に否定するような書き方をして、読者を洗脳している。

 だいたい、朝日は故意に隠しているが、犯人が農相を撃たなかったのは、すぐそばまで特殊部隊が迫ってきていたからなのだ。農相がいた部屋には窓があり、そこから人質たちが順番に脱出していた。そしてその窓のそばで兵士が人質を護衛していた。

 犯人は農相を撃つよりもそっちの兵士と脱出しつつある人質を撃つ方が重要であると考えたのだ。実際、農相を撃たなかった犯人は振り向きざまに、窓から脱出しつつある人質を撃って負傷させているし、それを護衛していた兵士をも撃って殺している。

 つまり、朝日が扱った部分は、一連の事件のAパートだけなのだ。Bパートでは同じ犯人は人質を傷つけた上に兵士を撃ち殺しているのだが、朝日は都合の悪いBパート部分を故意に隠匿し、「犯人はいい奴だったのだ」という全くとんでもない事実とは正反対の印象を与えるような犯罪的な情報操作を行っているのだ。これはもう、詐欺である。


「テロリストよりも、フジモリの方が危険」


 朝日を始めとする馬鹿メディアが、事件中に人質たちの情報を顔写真付きで垂れ流していた事は、別記事でも扱った通りである。抗議を申し入れた筆者に対して朝日新聞は、「人質の名前を公開しても、テロリストからは安全である」という、常識はずれの戯言を持って応じた。

 ところがその同じ朝日が今度は、「名前を公表すると、人質がペルー当局に命を狙われる」というろくでもない、全く開いた口がふさがらないような事を平気で言っている。

 「降伏した犯人を兵士が撃ち殺した」という類の怪情報を流す朝日は、一度もその証言者の名前を公表していない。いつも、「数人の人質によると」などという書き方をしてごまかしている。本当にそんな証言をしていた人質がいたのか怪しいものであるが、いたとして、なぜ名前を明らかにしないのか。その理由がこれなのである。

 筆者は、「人質の名前を明らかにすると、テロリストからもペルー当局からも狙われる可能性があるから危ない」という考えを持っている。ところが朝日は、「人質の名前を明らかにしてもテロリストからは狙われる事は全然ないが、ペルー当局から狙われる可能性がある」などと、全く持って実に都合の良い信仰を持っているのである。なぜこのようなダブルスタンダード的な考え方ができるのか?恐らく、「テロリストはいい奴、フジモリは極悪人」という自分たちが流した嘘に、自分たち自身が犯されてしまっているのであろう。


 事件のほんの一部分だけを自分たちの都合の良いように取り上げて読者を騙す朝日。いつもの事ではあるが、相変わらず全く市民を馬鹿にしている。しかし、我々市民はもはや、今までのようには騙されはしない。

 朝日にとっては、権力者は常に悪で、それに立ち向かう者はたとえ市民の命を脅かすテロリストであろうが善なのだ。だからこそこのような悪質な情報操作を平気でやってしまうのだ。

 しかし我々市民にとって、今もっとも危険な悪、それは、彼ら「嘘つき朝日」である。


                                なかみや たかし・本誌編集委員


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