虐殺者の作り方


                               中宮 崇


フジモリ大統領を「残忍な虐殺者」として我々に印象づけようとする朝日の謀略!


 最近朝日が元気だ。元気にならざるを得ない理由があるのだ。本誌で暴いてきたように、朝日新聞はペルー人質事件中、様々な嘘とデマを流して我々市民を騙してきた。その陰険かつ犯罪的な行為から我々市民の目をそらすためにも、ぜひともフジモリ大統領を極悪人としてわれわれに印象づける必要があるのだ。

 朝日新聞だけでなく、その手先である週刊朝日も、悪事に荷担している。朝日はその持てる力のすべてを投入して、市民を標的とした一大マインドコントロール・キャンペーンを行っている。


処刑者フジモリ


 朝日は事件解決直後から、「手を挙げたゲリラを、突入部隊員が撃ち殺した」とか、「捕らえたゲリラを全員壁に向かって立たせて後ろから銃で撃ち処刑した」などという、目撃者のはっきりしない未確認情報を垂れ流している。そんなことを誰から聞いたのか、言えるものなら言ってみればよいのだが、いつものように「数人の人質によると」などというわけのわからない書き方をしてごまかしている。

 週刊朝日の5/9号ではさらにひどく、


   「投降したゲリラにトドメを刺した

         特殊部隊の攻防」


などというとんでもない題名の記事を書いている。はっきりした証言もなしによくこのような断定調の記事を書けるものだ。

 そもそも本誌でも何度も言っているように、MRTAは「ゲリラ」などではなくただの金目当ての「誘拐業者」に過ぎなかったのだが、朝日はデマを訂正する気はないようだ。東大出身のエリートを大量に採用しているのであるし、そんなことがわからないはずがないのであるから、意図的に嘘を流しているのであろう。

 もし本当に突入部隊員が、投降後のMRTAメンバーを処刑したという事実があるのなら、それは大問題であろう。しかし、さも確信ありげに書き立てている朝日は、何ら証拠を示してはくれない。これでは、憶測に基づいたデマを垂れ流しているのだと思われても仕方がないであろう。

 さらにごていねいにも、「ある関係者筋」の話によると「一人も生かしておくな」との命令が突入隊員に対して出されたのだそうだ。その「関係者筋」とやらを、明かせるものなら明かしてみたまえ。実際には「関係者筋」など存在しない、ただのインチキ記事なのではないか?

 このように朝日は、何ら根拠のない(少なくとも、根拠が明らかでない)未確認怪情報を垂れ流す事によって、自分たちが事件中に犯してきた数多くの犯罪的行為を覆い隠そうとしている。


誘拐者フジモリ


 今回の突入作戦においてペルー当局が、公邸に通じる地下トンネルをいくつも掘っていた事が明らかとなっているが、それに関して朝日が5月3日の朝刊にこんな記事を載せた。


   「リマ事件で駆り出され、解決後も連絡なし…

      トンネル掘った作業員どこへ」


「労組筋」によると、突入用のトンネル掘りに駆り出された「と見られる」民間の作業員24人が、未だに連絡が取れないのだそうだ。

 「労組筋」?相変わらずであるが、いったい誰の事だ。なぜ名前を明かさない?「と見られる」とはなんだ?もっとはっきりした取材ができないのか?そんな怪しい未確認情報を流すだけなら、スポーツ新聞だってできる。

 要するに朝日は、このなんだかわからない、そもそも今回の事件と関係があるのかどうかさえ怪しい「失踪事件」を利用して、「フジモリが、トンネルを掘らせた作業員の口を封じるために彼らを消したのだ」というストーリーを暗に読者に印象づけようとしているのだ。オウムやナチスなども良く使った、典型的なマインドコントロールの手法である。

 朝日はどうやら、麻原やゲッペルスの忠実な後継者であるらしい。そんなやつらに、「人権」だの「民主主義」などを語って(騙って?)は欲しくないものだ。

 さらに朝日は自分たちの流すデマだけでは、フジモリを悪者に仕立て上げるのは不十分だと考えたらしく、例の「投書作戦」を開始した。その手口については本誌4/28号の記事


   「ゲームの達人」のイカサマ手口


でも明らかにしたとおりであるが、今回も小学生から主婦、アルバイトと、フツーのサラリーマン以外のありとあらゆる人間を動員して、「フジモリは虐殺者」というような調子の投書ばかりを選び出して載せている。

 中でもたまげたのは4月29日朝刊の「声」欄に載った、23歳アルバイトによる


   「ペルー事件の背景考えよう」


なる投書。要するに「日本人があまりにも現地でひどいことをしていたから、MRTAにうらまれて狙われたのだ」という内容。アルバイトも良いが、少しは勉強してから物を書いて欲しいものだ。だれか彼に、『言志人』を紹介してあげていただきたい。

 彼の言うような事が全くのでたらめであるという事は本誌でも何度か書いてきた通りである。東大出のお坊ちゃま集団である朝日新聞が、そんなこともわからないはずがないのだ。馬鹿な一読者のトンデモ投書を利用して、全くのでたらめを流して自らの責任を回避するこのような行為は、いつもの事ながら見事としか言いようがない。

 今回の事件において見られる朝日の「汚い手」は、戦前戦後一貫して行われてきた事であり、今更取りたてて問題にするような事ではないかもしれない。それほど彼らの悪事は日常化し、我々の生活の一部となってしまっている。

 しかし、このようないびつな「日常」をいつまでも続けさせるわけにはいかない。誰かがどこかで断ち切らなければ、この国に正義が実現される事は永遠にないであろう。

 フジモリ氏は聖人などではないし、救世主でもない。しかし同時に、「虐殺者」でもない。我々をたぶらかして「フジモリ=虐殺者」というレッテルを作りだそうとしている朝日にこそ、「ファシスト」というレッテルでもプレゼントしてさし上げなくてはならないだろう。


                                なかみや たかし・本誌編集委員


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