「地球連邦」への視座
中宮 崇
人類の未来のためには、「地球連邦」が必要である!
あまりにも恥ずかしくって、よっぽど親しい数人にしかまだ話した事はありませんが、私の夢は「地球統一」です。
と言っても、「天下統一」なんかと同じニュアンスでとらないでくださいね。「世界征服」とも違いますよ(笑)。まあ、まかり間違えればそういうことになってしまうかもしれませんが(笑)。具体的な計画(「人類補完計画世俗版」とでも呼んでください(笑))についてはまた次回述べるとして、本日は「どうして地球連邦が必要なのか?」ということを簡単に見てゆきましょう。
要するに、地球上の「300諸侯」もとい「300国家」を、「地球連邦」として一つの国家にしてしまおうというわけですな。様々な国際問題や環境問題、経済格差等の問題を(いっきにすべてとはいかないまでも)ある程度解消してゆくためには、今現在のような国家林立状態ではどうしても限界があるのではないでしょうか。
例えば、環境問題を例にとって見ましょう。日本は現在、世界的に見ても相当厳しい大気汚染規制がなされております(それでも最近は、ダイオキシン排出問題などの面での立ち後れも指摘されていますが)が、いくら日本国内での規制を強化しても、お隣の中国などでガンガン汚染物質をまき散らかされては、どうしようもないわけですね。気流に乗って、日本まで飛んできてしまう。現に、今日本国内の森林は、中国の大気汚染が原因と思われる酸性雨によって、立ち枯れの危機を迎えつつあります。
次に、国際経済の面についても見てみましょう。現代においては経済の国際化が著しく進み、もはや一国の力では経済をコントロールする事がほとんど不可能になってきています。例えば、先ほどの環境問題にも関連しますが、政府が日本国内の企業に「環境税」なんかを課して環境保全の原資にしようとするとしましょう。そうすると、たちまち企業は国外に逃げていってしまうわけですね。
同じ事は個人についても言える。例えば所得税。「金持ちからたくさん税金を巻き上げてしまえ!」と思って税金をうんと高くしても、金持ちはみんな税金の安い海外に逃げてしまって、結局、税収はもとより少なくなってしまうなんていう馬鹿な事も起きてしまう。つまり、「税金を徴収する」という、国家運営のためにどうしても必要な行為さえも、もはや国際的協調無しには立ち行かなくなってしまっているわけです。
ところがその「国際的協調」というのが曲者です。どうしてもルール違反をする者が出てきてしまうわけですね。「世界中の国家は「環境税」を導入しましょう!」という風に国連などで決めても、導入を拒否して利益を上げようとする国がどうしても出てくる。何しろ、そうすれば世界中から、「環境税」を払いたくないと思っている企業が押し寄せてくるでしょうから。それに、そのような違反行為を罰するような強制力を持つ機関もないわけですから、まさに「やり得」なわけです。
そういったような数々の不都合を解決するには様々な手段が存在するでしょう。しかし、「国際的協調」としてくくられるそれらの手段はいずれも、各国の利己的行動からいつでも簡単に壊れてしまうような、極めてもろく不安定なものだと思うのです。そこで、「地球連邦」という統一国家を成立させて、それらの問題の解決の役に立てようというわけです。「国際的協調」などというわかりにくく不安定なものよりも、ずっと安定的かつ分かりやすいでしょう?
さて問題は、どうやってその「地球連邦」を作り上げるかという事です。確かに「地球連邦」は「国際的協調」などというものより遥かに安定的ですから、一度出来てしまえば楽なのですが、その安定的なものを作り上げるまでの過程は、想像を絶する困難が伴うでしょう。そこで参考になるのが、幕末の坂本竜馬さんなのです。
江戸末期、土佐の国(現在の高知県)の下級武士に過ぎなかった坂本竜馬は、300諸侯をまとめあげて統一国家「日本」を作り上げるために、「海援隊」という一種の貿易会社を設立しました。この会社を仲立ちにして、互いに疑心暗鬼になっている全国の諸藩を「利」、つまり経済的利益をもってまとめ上げ、悪く言うと「儲け話でつって」、統一国家「日本」を作り上げるための「かすがい」とでも言うべき役割を担わせようとしたわけです。
私は、これは非常に示唆に富む先例だと思うのです。これを応用して、現代版「海援隊」を作ってしまおうというのが、私が考えているプランの大筋であります。「地球連邦」設立のための「ニュー海援隊」(仮称)、いかがでしょう?
坂本竜馬の話に限りませんが、幕末から明治にかけての時代は、現代に生きる我々が世界統一国家を作り上げようとするときに、非常に参考になると思います。
さて、坂本竜馬の「海援隊」は、黒船を用いた国際(武装)貿易会社という形でしたが、「ニュー海援隊」にとっての「黒船」や「貿易会社」はいったい何でしょう?それは当然、全てとは言わないまでも、ほとんどの国家にとって利益になるようなものでなくてはいけません。それについては次回に持ち越しましょう。
さて、ここまで読んできた方はもうお気づきかもしれませんが、私の考えには一つ、大きく欠落した部分があります。それは、「地球連邦の国家制度」についてです。
一応「連邦」などというふうに呼んではいますが、具体的には大統領制にするのか議院内閣制にするのか、言語は統一するのか今のまま行くのか、司法制度は陪審制にでもするのか、そういったようなことが全く示されてはいません。確かにそれらは重要だとは思いますが、私はそのような細かい事よりも、「統一国家を作り上げる」ということの方がよっぽど重要だと思っております。いったん統一国家が出来てしまえば、「国家制度」なんていうものはひとりでに出来てゆくものなのではないでしょうか?
今は幕末とは違います。世界中の相当数の人たちが、「民主制こそ最高の政体」と考えている時代です。「君主制にするか民主制にするか」などという議論が巻き起こるとは到底考えられません。せいぜい、「この民主制にするか、あの民主制にするか」といったようなことが議論されるに過ぎません。
まずは「地球連邦」を作り上げてしまう、細かい議論はその後で…、それで良いではありませんか?もっとも、今からそれらの事を議論しておいても何ら不利益にはなりませんから、そのようなことを論じ合うためのスペースを今週中にでも用意したいと思います。
さて、いよいよ明日は、「地球連邦」設立のための組織「ニュー海援隊」(仮称)の概略を説明させていただきましょう。
なかみや たかし・本誌編集委員