総会屋、朝日新聞
中宮 崇
朝日新聞は、実は総会屋に過ぎなかった!
今日は「絞り取られる脂(その2) 」をやる予定だったのであるが、朝日新聞という全国規模の総会屋の実態を垣間見る事のできる記事があったので、急遽それについて書く事にした。
問題の発端は、町長が襲われたり住民投票が行われたりと、最近何かと話題の御嵩町産業廃棄物処理場問題に関して、朝日新聞が6月24日朝刊に掲載した「天声人語」である。
その中では、産廃問題においてその建設を積極的に推進したとされる岐阜県がわの対応を批判し、最後には
県と梶原知事は、民主主義を勉強し直した方がいい。
と結んでいる。
これに対して、批判の対象とされた岐阜県の梶原知事と、岐阜県職員組合が抗議を申し入れ、そこから話が大きくなり、ついに本日(7/2)、朝日は紙面を私事にする暴挙に出、何とほとんどまるまる一面を用いて攻撃に出た。しかも、言論による攻撃ではなく、スキャンダリズムによる攻撃と言う、神戸小学生殺人事件の容疑者の中学生の写真を無修正で載せた『フォーカス』のごとき嫌悪すべき手を用いて。
「読んで分からないのか?馬鹿」
朝日新聞はこれまでにも、その嘘つき体質が災いして様々な団体や個人から抗議文や質問状を送り付けられてきた。しかし多くの場合、それらに誠実に答えようとしたことはない。完全に黙殺することも多いし、たとえ回答をしたとしても、その内容たるや全くひどいもので、彼らのエリート主義と読者蔑視の態度がにじみ出るものになっている。
今回の知事からの質問状への回答も、ご多分に漏れず全くひどいものであった。
例えば、以下の知事の質問に対する朝日の回答を見てみよう。
「民主主義を勉強し直す」ということは、具体的にどのような
事を意味するのか、教えてください。
実際私も、天声人語を何度読み返しても、彼ら朝日が一体、どういう勉強をしろと言いたいのか全く理解できなかった。単純に、何でもいいからかっこいい閉めの言葉としてくっつけただけなのであろうと思っていた。それならそれでいいし、「単なる言葉のあやです」とでも言えばいいのであるが、朝日のようなエリート様は、さすがにそんなことは言わない。
さて、朝日が何といったかと言うと、
本文で尽くしております。
ときたものだ。これだけ。他には何も無し。
具体的にどういう事を言っているのか読者として分からないから質問しているというのに、「ちゃんと書いてあるでしょ。もう一度読みなさいよ。分からないのはあんたが悪いのだよ」と言っているのだ。「自分が書いた記事を理解できない読者は馬鹿だ」とでも考えているのであろう。誠実さの一かけらも見られない、傲慢な態度である。
しかも別の紙面では、
「具体的に逐一反論 本社回答」
などという、全く噴飯もののタイトルを掲げている。このどこが「逐一具体的」なのだ?
何もこれは、今回に限った事ではない。朝日は以前、従軍慰安婦問題に関して出された質問状に対しても、「書いてあります」、「もう一度お読みください」、「本文の通りです」などという言葉を並べただけの、なんとも馬鹿にした「回答文」を送ってよこしている。
今回の回答は他の部分でも、朝日の読者蔑視に基づいた傲慢の限りが尽くされている。例えば、こんなことを言っている。
(今までの朝日新聞の記事を)当然、目を通されていること
と存じます。
あほか。「何を根拠にこのような事を書いたのか根拠を示せ」と問い詰められているのに、「どっかに既に書いてあるから、あんたら勝手に探しなさい。俺たちゃ知らないよ。書きっぱなしにして何が悪いの?」と言っているのだ。
また、「取材方法を明らかにせよ」という知事の質問に対して、「天声人語」の性質について以下のような事を言って、責任逃れをしようとしている。
「天声人語」はコラムです。新聞コラムとは報道記事ではな
く、評論、意見を核とするものであることをまずご理解いただ
きたいと思います。
冗談ではない。「コラムだから、根拠を明らかに出来ないようないい加減な事を言っても構わないのだ」とでも言うのか?
しかも、「天声人語」は朝日記事をもとにして書いてあると、この直後に言っている。ところがその朝日記事とやらは、これまでにも本誌でも何度も明らかにしてきたように、嘘と曲解を多分に含んだ極めて悪質なものである。そうした悪質な記事については全く棚に上げ、「これはただのコラムです。事実に基づかない事を書いても問題ありません。コラムは朝日記事を参考にして書いています。、もとの記事がいくら嘘や曲解にまみれたものであっても、知った事では有りません」と言っているのである。
朝日は読者を馬鹿にしている。「読んで分からないのか?馬鹿」と。
世界は朝日を中心に
朝日は、「自分たちの書いた文章は、全ての人間が全く同じように読み取ってくれる」と考えている。さすが東大出のエリート集団だけあって、よほど文章力に自信があるのか、「自分たちの記事を誤読する人間なんているはずはない」と考えているのだ。
これは朝日だけではなく、「人権派」、「市民運動」、「環境保護派」と言ったような連中の共通の病理であるらしく、自分たちの文章が誤解を与えるような書き方をしていても、「そんな誤解するのはおまえだけだ!」と強弁し、排除攻撃する。「世界は自分たちを中心にして回っている」とでも考えているのであろう。
今回の回答文の中にも、同じような症状を見て取る事ができる。自分たちの記事が誤読されるような事は全く有得ないといっている。
文章と言うものは、たとえどれだけ細心の注意を払って書いたとしても、誤読する読者は出てくる。先日の本誌の記事に対しても、その一部を誤読をされた読者がおられたが、それに対して本誌は、朝日のようにように「誤読する奴などいない。そんな阿呆はおまえだけだ」などとは言わなかった。誤解している点をきちんと指摘して反論した。
ところが、私のような一市民でさえわきまえているようなこんなことを、天下の朝日は全くわきまえず、傲慢にも「誤読するおまえが悪いのだ!」と言い捨てる。しかも、どう読んでも誤解されても仕方が無いような文章を(あるいは故意に)書いておいてである。
少し長くなるが、この件に関する知事と朝日のやり取りを引用してみよう。
当職(梶原知事)が平成8年(96年)11月19日の記者会見
で、今後(「この問題」に関して)コメントしないと言ったのは、
御嵩町における廃棄物処理場問題のことであり、このこと
は、記者会見の記録によって明らかであります。
しかるに、今回の論評はあたかも直前に書かれている環境
保全委員会の問題についてコメントしないと読みとれ、い
かにも環境保全委員会の問題は県にとって都合が悪いの
でコメントしないかのごとく受け取れる記述になっており、
このような正確さに欠ける文章表現をどう考えておられるの
か、見解を明らかにしてください。
これに対する朝日の回答。
「この問題」が「御嵩町における産業廃棄物処理場問題」で
あることは、明白です。…(略)…誤読の恐れはまったくな
いと考えます。
略した部分では、あまりにもオタク的で読者のほとんどには何のことだか分からないような言い訳を延々と行っているが、元の文章を読めば、どんな言い訳も全くむなしく聞こえてくる。これも少し長くなるが、「天声人語」の元の部分を引用しよう。
96年2月、県幹部と御嵩町の柳川善郎町長が会った。県
側の発言「廃棄物処理について県民の理解を得るため、県
環境保全協会の名前で、地元紙に150万円の全面広告を
打った」。町長「協会は初代理事長が梶原知事、副理事長
は県環境衛生部長と寿和工業の会長、その息子も理事だ。
業者を指導、監督する立場の県と、業者が一緒というのは
おかしくないか」
昨年秋、梶原知事は記者会見でこの問題に触れることを拒
否した。
私には、どう考えても、「この問題」は「県環境保全協会の問題」を指すようにしか読めない。とても「御嵩町における産業廃棄物処理場問題」を指しているようには見えない。
朝日は、私のような読者はそもそも、人間とは思っていないのであろう。「全ての人間は自分たちと同じように考えていなければいけない」と言うのでは、朝日はヒットラーも顔負けのファシストである。
総会屋朝日への利益供与
朝日は自分たちの悪質な行為をきちんと説明出来ないということをわきまえているらしく、以上のような(他にも馬鹿馬鹿しいことをたくさん言っているのであるが)読者を完全に馬鹿にした回答でお茶を濁した。しかも、さすがにこんな解答だけでは読者を納得させられないということにも気付いているらしく、スキャンダル攻撃をもって知事を攻撃する事にした。
今朝(7/2)の朝日新聞は、知事とのやり取りを掲載するとともに、「今まで岐阜県がとってくれていた朝日新聞が、急に購読中止にされた」などと言い立てている。
それによると、今まで県庁が毎日154部とってくれていた朝夕刊セットが、上層部からの指示によって(いつものごとく、匿名の証言をもとにしている)36部に減らされたのだそうだ。まさに激減と言ってよかろう。
これについて橘弘道朝日新聞社取締役広報担当は、「不当な公権力の行使」とまで言っている。そして本問題を一面をほとんど丸々使って扱った面の一番上には、
「天声人語を巡る岐阜県知事の抗議と購読削減」
などという表題をつけている。
別の面の記事でも、
「購読を大幅に削減」
と、どうも朝日は、購読を減らされる事が無ければ抗議を黙殺するつもりなのではなかったのかと疑わざるを得ないまでに、抗議への反論よりも「購読削減」という事実を書き立てる方に重きを置いているように見える。
気に入らないものを買うのを止める事が「不当な公権力の行使」だなどといちゃもんをつけられてはかなわない。気に入らない企業を公共事業の入札からはずした等と言う事とは次元が全く異なる。
そもそも、「県庁に急に大量に購読をキャンセルされた」と言う事は、裏を返せば「今まで大量に、県庁に朝日新聞を買ってもらっていた」ということであり、言ってみれば、「今まで朝日新聞は、県庁から大量の利益供与を受けていた」と言う事である。
最近問題になっている「総会屋」という人種は、「企業の株式総会をかき乱す!」と脅したり、逆に「総会が平穏に終わるように手を打ってやる」などと持ちかける事によって、企業から利益供与を受けようとうごめく族である。
直接金品を受け取ってはあまりにも露骨なので、大抵の総会屋は「機関紙」や「情報誌」を発行して、それを企業に法外な高値で売りつける事によって利益供与を受ける。
最近は世間がうるさくなったので、企業は総会屋の「情報誌」の購読中止を打ち出すところが増え、それに伴って総会屋による脅迫や殺人事件などが発生している。
朝日新聞の行為は、総会屋と一体どこが違うと言うのか?全く同じ事をしているではないか。今までとっていてくれていた新聞の購読を中止されたら攻撃するというのでは、殺人をしていないところを除いては総会屋と同じである。それに、「批難記事を書いたら購読を止められた」などと泣き言を言うのでは、マスコミとしての覚悟が足りなさ過ぎる。
大体、県庁が朝日新聞を購読中止(実際は削減にすぎないが)にしたからと言って、県職員が朝日新聞を自由に読めなくなったわけではない。依然として、自分の家で購読する事はできる。それとも朝日は、「俺達のようなすばらしに人間が書いている朝日新聞は、公費を用いて大量に買って、県庁職員全てに読ませるべきだ」とでも言いたいのであろうか?そうとしか考えられない。
読者からの質問に真剣に答えようとしない朝日。自分たちと同じように考える者以外は人間とは思っていない朝日。総会屋と同じような事を言って平然としているゴロツキ朝日。梶原知事は抗議文の中で朝日の事を
日本のマスコミを代表する貴社のような一流紙
などと言うが、単に発売部数が多いだけのこんな嘘つきスキャンダル誌を「一流紙」などと言ってしまっては、他の新聞に対してあまりにも失礼だ。日本の新聞なんて欧米のそれに比べればお粗末なものではあるが、いくらなんでも朝日ほどの嘘つきではないし、ファシスト集団でもない。
まあ、その手口や行動、考え方などを見れば、確かに朝日は、総会屋としては一流ではあるのであろう。
なかみや たかし・本誌編集委員