切り売りされる真実(その1)
中宮 崇
「商売のために」おこなわれる自虐史観的詐欺行為の実態!
本誌の「ダーク・サイドへの誘い」のコーナーでも紹介している、「日本の戦争責任資料センター」という、「自虐史観派」の中心的立場を占める詐欺師組合がある。連中の嘘つき具合は、本誌でも何度も暴いてきた通りであり、今更繰り返す必要もあるまい。
当然、その頭目たる人間は、詐欺師の親玉でもあるわけだ。そして、その親玉が、事務局長の上杉聡(うえすぎ さとし)である。今回は、彼の詐欺師としての手口を中心に見てゆく事にしよう。
彼は、本誌5/19号でもその犯罪性を指摘した、テレビ朝日「朝まで生テレビ」(1月31日放送)にも登場し、その人間としての品性の下劣さをおおいにあらわに(そして無残に敗北)していたのであるが、その放映直後、同じテレ朝の「サンデー・プロジェクト」において、今度は「自由主義史観」の中心人物である、藤岡信勝東京大学教授と、一対一で渡り合う機会を得た。藤岡も、こんな下らん人間の相手をさせられて、さぞかし迷惑であった事であろう。
上杉のような詐欺師連中の手口については、以前にも暴いたが、放送の折にも、また同じ手口を使用すると言う、全く芸のないことをやって平気な顔をしていた。
藤岡は冒頭で、教科書が「自虐的」である例の一つとして、女性が裸で、日本兵と思われる男に刀で乳房をえぐられていると言う、なんとも正視に堪えない拷問絵図を示した。驚くべき事にこれは、小学生の教科書に掲載されているのである。
しかも、実はこの絵は、中国共産党軍によるプロパガンダのための絵であり、描かれている内容は事実ではないのだ。こんな(実は虚偽の)絵を見せられたら、普通の小学生は、「日本人って残酷な事をしたんだな」と思うことであろう。
ところが常識に欠ける上杉は、実に詐欺師にふさわしい言い逃れをする。実は先ほどの絵の下には、目立たないほど小さな文字で、「日本軍の残虐さを批判する壁画」という説明書きがある。上杉はこれをもって、「この絵が事実だなんて、誰も言っていない。事実だと受け取る小学生がいるはずが無い」などと平気で言う。
お気付きの方もおられるかもしれないが、この手口は、生命保険の勧誘員がよく使う手口である。顧客にろくに説明もせずにおいて契約させ、後で客から契約内容についてクレームがくると、「ほら、契約書のここ、この部分に、ちゃんと書いてあるでしょ?読んでおかなかったあなたが悪いのですよ」と言い逃れする訳である。つなみに、この手口は当然、保険勧誘員だけではなく、詐欺師によっても多用される。
また、上杉は上記の発言から、「嘘でもなんでも教科書に載せてよい」と考えている事になる。何しろ、「この絵が事実だなんて、誰も言っていない」などと、平気で言っているわけだから。
しかしいくら詐欺師でも、そう露骨では「顧客」の信頼を勝ち得ない。彼はそのあたりのことをきちんとわきまえており、自分たち「自虐史観派」の詐欺行為を正当化する言い訳を別に、ちゃんと用意している。先ほどの絵に関しては、以下のような言い逃れを用意している。こう言うのである。
あの絵は、日中戦争当時、中国人がどのように日本を見て
いたのかを示すものであり、それを教えるために載せられて
いるものだ。
こんな阿呆な論理が通るとしたら、例えば私は上杉の事を、悪魔だと思っているわけであるが、そのイメージをそのまま絵にして書籍に掲載しても構わないと言う事になる。少なくともそういうことをされても上杉は、「名誉毀損だ」とか「中傷だ」とか思うことはないのであろう。心が広いと言うか、鈍感と言うか何と言うか…。
また彼は、藤岡に「こんな絵が載せられていることが、常識で考えて、良いことだと思っているのですか?」と質問されたのに、それをはぐらかしている。「教科書には、戦争の記述は16ページしか書かれていない」などと、その場ではすぐには気付かないが、後から良く考えると「は〜?」と思わざるを得ない逃げよう。さすが詐欺師、手口が鮮やかである。
藤岡は今度は、「16ページしか」の部分を追求。
藤岡:教科書全体は、何ページですか?
上杉:300ページです
藤岡:古代から現代まで扱っている教科書で、16ページと
はむしろ多いのでは有りませんか?
上杉:まあ、それは認識の差だと思います。それとね…
量的な比較を求める藤岡の発言を、「認識の差」の一言でかたづけている。「16ページしか書かれていない」と、分量についての問題を最初に提起したのは上杉の方である。なのに彼は、例えば諸外国の教科書における近代の戦争が記述されている分量などの比較をすることなく、相手の質問に対して「認識の差」で済ませているのである。これが、「我々は学術的な研究を常日頃行っている」(彼らが学術的研究など一つも行っていないと言う事は、以前本誌でも暴いたが)などとのたまっている連中の姿なのだ。学者としてはもちろんの事、人間としても失格であろう。
大体、たとえ上杉の言うように「16ページしか書かれていない」としても、嘘でもなんでも教科書に載せてよいということにはならないはずだ。しかし藤岡は、上杉の詐欺口上に丸め込まれてしまったのか、ついにこの事を追求する事はなかった。詐欺師の面目向上である。
その詐欺師上杉、視聴者を騙す手をまだ用意していた。今度は「ドイツの教科書」の例を挙げて、「ドイツでは、40ページも書いている(日本では16ページしか書いていないのにもかかわらず)」と言う。何も知らない人が聞いたら、詐欺師のこの言葉に騙されてしまうであろうが、上杉は実は、下のような事を言っているのと同じなのである。
ドイツの学校で使っている地図(帖)には、愛知県は1ペー
ジしか載っていないが、日本の小学校が使っている(図書
室などに置いてある精密)地図(帖)には、愛知県は20
ページ分載っている。
そもそも同列に比較することがおかしい二つのものを並べて、比べているのである。両方とも同じ「地図」だから、カッコの部分を省いて聞かされると、「へ〜、そんなもんか」と騙されてしまう。
上杉は「ドイツの歴史教科書には40ページも載っている」などというが、これは視聴者を騙そうとする意図から出た、極めて悪質な詐欺行為だ。彼が示した書籍は、日本の「歴史教科書」とは全く違う。言ってみれば、近代だけを扱っている「副読本」なのだ。古代から現代まで扱っている日本の歴史教科書と、近代史しか扱っていないドイツの歴史副読本とを比較して見せると言う明らかな詐欺。連中の卑劣な手口の一端が、これである。
そして、以前指摘したように、これは連中のような詐欺師のいつもの手なのであるが、尋ねられた事とは直接何の関係も無い事を長々としゃべりたて、討論の時間を奪うとともに、相手や視聴者を煙に巻くのである。あまりにもひどいので、司会の田原総一郎がたまりかねて口をはさみ、話を中断させて藤岡に振る場面もあった。意味の無い話を長々とするのが好きなのであれば、毎日一人でお経でも唱えていればよいのに。
更に、司会によって発言権が藤岡に移ったにもかかわらず、上杉は絶えず茶々を入れ、相手の発言を妨害し、あわよくば発言権を奪おうと虎視耽々と狙っている。
討論の途中で上杉はこう言った。
(子供たちは)これからアジアに出ていって商売するわけで
すよ。アジアの常識を知らないで、どうやって相手と話がで
きますか?
連中の詐欺行為がまた一つ。「アジアの常識」など言っているが、「日本人は、女性の乳房を切り取ると言う、残虐な民族だ」というのが、「アジアの常識」なのか?
そしてこの発言で分かったのは、連中は結局、日本の大企業の手先として、「企業戦士」を大量生産することを目的として詐欺行為を働いていると言う事だ。何しろ、自虐教育は「アジアで商売するために必要」なのだそうだから。それならそれでかまわないが、最低限、自分たちを「絶対的正義」であると信じ込む事だけは止めたらいかがであろうか。
なかみや たかし・本誌編集委員