ゴキブリうごめく日本の夜


                            中宮 崇


日本のマスコミは、視聴者蔑視を止めよ!


 朝日には、非人間がいる。そんな事は別に、今に始ったことではないのであるが、今回のダイアナ妃殺害事件においても、汚らわしき朝日の歴史の非人間録に、新たな非人間がまた一人加わった。

 テレビ朝日の看板ニュース番組、「ニュース・ステーション」の解説者である、この男の名前は記さない。名前を口に出すだけでも汚らわしい。

 彼の卑劣さについては今週号記事「電気ハイエナはダイアナの夢を見るか?」でも触れた。彼は、複数の男女が死に追いやられた事実を前にしてもなお、「報道の自由」を弁じたて、「(大衆紙を)読む側も問題だ」などと、マスコミの責任は棚に上げて我々市民に責任を擦り付ける。挙げ句の果ては、「おもちゃ(ダイアナ妃)を壊しては、何もならない」などと放言する始末。彼は、一人の女性の死を悼む心など持ってはいない。おもちゃを失ったことを嘆いているだけなのだ。

 ところがこの男、9月3日の放送でも性懲りも無く、更にろくでもない鬼畜発言を繰り返している。

 そもそもこの日は、ニュース・ステーションという番組自体が狂っていた。例えば、ダイアナ妃の恋人で、今回死亡したアルファイド氏。彼のことを、女性関係が激しいだの、父親は武器商人と関わりがあるだの、故国のエジプトでは評判が悪いだのと、さすがにダイアナ妃そのものを辱める勇気もないのか、代わりにその恋人を辱めていた。

 卑劣な朝日の意図は明白である。何とかして、マスコミの責任から我々市民の目を逸らせたいのだ。そのためなら、死者に鞭打つこともいとわない。

 さらに呆れたことにこの男は、自分たちの手元に殺人の権利を取っておきたい余り、運転手の血液からアルコールが検出されたことをやり玉にあげ、


   (アルファイド氏の父親が)息子の飲酒運転を止めることを
   していなかったとすれば、そのような父親にも責任がある。


などと、珍論を展開した。

 私は26年の人生の中で、おつむが弱くて人の心を持たない連中の様々な妄言を聞いてきたが、これほど他人を冒涜し、自らの不当な利益を擁護するだけのために発せられた恥言には、なかなかお目にかかれるものではない。

 そもそもこの鬼畜は、いかなる根拠で「息子の飲酒運転」などと平気で言えるのか?アルコールが検出されたのは運転手であって、アルファイド氏ではない。この朝日の回し者は、マスコミ防衛のためには、平気で嘘や情報操作を行うような卑劣漢なのである。

 だいたい、既に成人して一人前の事業家となっている男の親をつかまえて、「息子の飲酒運転を監視して叱り付ける義務がある」などと平気で考えることができるこの手の狂人の脳みその構造は、まったく常人の想像を絶する物がある。

 たとえアルファイド氏が未成年だったとしても、この鬼畜の主張は全く正当化されない。何故なら、以前日本で、警察に追いかけられていた暴走バイクが事故を起こし、のっていた高校生が死亡した際、その馬鹿親が警察の責任を問う発言をしていたのだが、それを擁護するコメントをしたという前歴があるからだ。

 何の罪もない人たちの乗った車を、私利私欲のみで追いかけて死に追い込んだハイエナどもの責任には目をつぶり、その一方で、法を犯す馬鹿高校生のバイクを捕まえようとした警察の責任は糾弾する。それどころか、高校生の馬鹿親には同情しても、アルファイド氏の親に対しては、まるで詐欺師のような手口で責任をでっち上げてまで攻撃する。所詮この男も、嘘つき朝日の人間なのだ。司会の久米宏が夏休みだからといって、「今週は俺の出番だ!」などと浮かれているのかもしれない。

 これは何も、この一人の鬼畜一人の特殊な性向ではない。テレビ朝日、朝日新聞両方の朝日グループ全体に共通する病癖である。現に朝日のワイドショー番組においても同様の発言は多数見られた。もっとも、さすがに情報操作の大御所朝日新聞は、「壮年の実業家の運転手の飲酒の責任は、彼の親にある」などという、こんなB級の幼稚な情報操作を行う勇気はなかったようだ。

 もしテレビ朝日が、この男の恥言に賛成していないのであれば、早いところ、こんな鬼畜は番組から追放するべきだ。何しろこの男のコメントの馬鹿さ加減は、高校生暴走事件の例を見ても分かるように、今に始ったことではないのであるから。

 なのに朝日は、未だに彼を解説者にすえ、毎日茶の間に妄言を垂れ流す手助けをしているのだ。これはもう、共犯である。いや、実は単なる共犯というだけではなく、この男は実行犯にすぎず、朝日が黒幕そのものなのかもしれない。
 ニュース・ステーション、NEWS23と、我が国の茶の間の夜を賑わすニュース番組は、ろくなものがない。情報操作だけでは飽き足らず、本誌でも何度も指摘しているように、平気で大嘘を垂れ流すことまでする。フジテレビの「ニュース・ジャパン」にいたっては、衛星中継さえもろくにさばけないど素人がアナウンサーを務めるという、論ずるに値しない状態。

 日本のマスコミが、我々にこの程度の番組しか提供しないのは、彼ら自身が市民のことを、この程度の低劣で悪質な番組で満足するような、レベルの低い奴等だと蔑視しているということを示している。そのような偏見を反映してか、ニュース番組は、年々悪質化するばかりだ。

 例えばフジテレビの「ザ・ヒューマン」なる、そもそも題名からして人を馬鹿にしたニュース番組。放送開始時間が、5時55分と、実に中途半端。これなども、視聴者を馬鹿にしている証拠である。6時よりもほんの少し早く始めるという小手先の詐欺まがいの行為だけで、視聴率をとろうとしているのだから。このような蔑視戦略は、テレビ朝日の「ぐっとイブニング」でも用いられている。

 また「ザ・ヒューマン」は、アナウンサーを始めとした出演者の質も、目を覆わんばかりだ。原稿読みさえもろくに出来ないのは日常茶飯事。コメンテーターは下らん戯れ言を、放送時間も無視して延々とまくしたて、レポーターは、見かけだけでおつむは空っぽ。これが日本のニュースの現状なのだ。


 我々市民を馬鹿にしたことを平気でやっている、日本のマスコミ。ニュース・ステーションの鬼畜解説者が、即刻責任を問われねばならないことはもちろんであるが、彼は一匹のゴキブリにすぎない。何しろ、ゴキブリ一匹を見たら、数十匹の仲間が他に隠れているそうであるから。


                              なかみや たかし・本誌編集委員


前のページへ