馬耳東風


                            中宮 崇


北の回し者によるダイアナ妃冒涜!


 NEWS23と言えば、本誌でも以前指摘したように、平気で嘘を垂れ流し、その上市民の声を平気で無視する極悪番組である。番組ではいつも「市民の声を聞け!」などと偉そうに言っているくせに。もっとも、他人に言うようなことを自分自身では守れないのは、この手の極悪人どもの共通の性癖ではある。

 連日嘘を垂れ流し、市民を騙そうとしている、筑紫哲也に率いられたNEWS23であるが、今日(9/9)のNEWS23の狂いようは、常日頃のそれの遥かに上を行っていた。

 先週号記事「死の商人たち」において私は、ダイアナ妃の葬儀における、スペンサー伯のスピーチについて紹介した。彼はその中で、姉であるダイアナ妃に対するマスコミの横暴を厳しく批判した。聴衆は、彼の素直な怒りの発露に対して、万雷の拍手を贈ったものである。

 ところがNEWS23は何と、このマスコミ批判の感動的なスピーチを、「王室批判のスピーチ」として紹介した。マスコミ批判部分については、何ら触れることなく。しかも、スピーチの映像に悪質な改竄を加え、あたかも聴衆が、スペンサー伯の王室批判発言に対して拍手を贈ったような映像をでっち上げた。驚くべき犯罪である。

 もっとも、「死の商人たち」でも指摘したように、日本の主要なマスコミは、スペンサー伯のマスコミ批判発言を、我々市民の耳に入れないように必死になっている。何しろ葬儀の中継において、スピーチ部分をばっさりと削除してしまうようなことさえ平気でやっていたのだから。

 次にNEWS23は、あたかもイギリス国民の間から自然に、王室に対する批判が沸き上がったかのような情報操作を行った。別記事でも書くが、イギリスで現在巻き起こっている王室批判は、自分たちへの批判をかわそうとするマスコミが、意図的に行った一連の卑劣な作戦の成果である。現に4日の朝には、なぜか偶然にも、各大衆紙が一斉に、王室批判の記事を大々的に掲載した。それまでにはそんな意見などほとんど聞かれなかったにもかかわらずである。

 NEWS23はそのような大衆紙の悪質な情報操作作戦に便乗し、しかも、4日の大衆紙の談合の事実にも全く触れることなく、「イギリス国民の間では、厳しい王室批判が巻き起こっている」などと報じた。NEWS23も、ダイアナ妃を冒涜する大衆紙の共犯である。

 さらに驚くべきことに筑紫は恥ずかしげも無く、「想像以上に王室批判が高まっているように見えます」などと言う。放火犯が、「想像以上に燃え広がっているように見えます」などと言っているようなものだ。厚顔無恥とはこのことだ。

 NEWS23の犯罪は、これにとどまらない。番組の定番コーナー「多事争論」において筑紫哲也は、北朝鮮問題についても犯罪的な妄言を口にして憚らない。その下らん戯れ言を、少し長いが引用してみよう。


   昨日まで戦っていたアメリカ側は、日本側にあの当時(終
   戦直後)大量の食糧を援助いたしました。そのことは日米関
   係の事を考えても、大きな記憶の遺産として残っている。そ
   れより何より、戦った相手に対する度量というものを示した
   ひとつの例だろうと思います。北朝鮮と日本との関係、必
   ずしもこちらにとってすっきりしないものがたくさんありますけ
   れども、しかし本当に統計というのはよくわからない。わから
   ないとすれば、本当にある程度、緊急の援助が必要だと国
   連が認定しているわけですから、度量を示す番かもしれま
   せん。


 まず、都合の良いときだけ「国連」さまを持ち出してくるのは、筑紫のような破綻者に共通する病理である。この病に罹患した患者は、日本を貶めるような場合や中国、北朝鮮を擁護するような場合には都合良く国連を持ち出すが、北朝鮮や中国を批難するような国連決議については完全に無視する。また、ペルーで昨年発生した日本大使公邸人質事件においても、凶悪な犯人を批難する国連の委員会の決議があったのであるが、誘拐犯を応援するNEWS23は、そのようなことも見事に黙殺している。そして、PKOの派遣などについてもこの手の病人は当然、国連を持ち出すことはないのである。

 そもそも、NEWS23はあきれたことに、北朝鮮の食料難の本質的な原因を、何ら報道したことがない。北の民衆が飢えに苦しんでいる原因は、筑紫がかつていた朝日新聞が「天国」、「楽園」とまで大嘘言って称賛していた、金一家の独裁体制による経済の非効率が主因である。卑劣なる筑紫は、そのことについて完全に口をつぐんでいる。

 また、アメリカによる日本への援助と、北朝鮮への日本の援助とを同列に扱っているところが度し難い。筑紫のような卑劣漢は意図的に無視しているが、日本は今までにも、北朝鮮に対して大量の食料の援助を行ってきたのだ。いや、食料だけではない。原子力発電所や重油などの援助に必要な資金も提供してきた。貿易の代金を踏み倒されても黙って耐えてきた。なのに今年もまた、学習能力のない独裁国家北朝鮮は、「食い物をよこせ!」と脅迫する。

 NEWS23は北朝鮮の回し者なのであろうか?北朝鮮の困窮の根本的な原因について目を背けつつ、毎年のように「援助せよ!」などとだけわめいているのでは、そういうことになろう。だいたい、拉致されている自国民のことを放っておいて、何が「度量」か。筑紫にとっては、不当に連れ去られた日本の少女よりも、北朝鮮の独裁者の方が大切なのであろう。

 そもそも日本はアメリカから食料を援助してもらう際、「米帝の施しなど要らない」とか、「アメリカは、原爆投下のお詫びとして日本に食料を援助したがっている」などとは言わなかった。ところが北朝鮮は、未だにそれに類することを、日本に対して言っているのである。これもNEWS23が意図的に無視していることであるが。


 以前本誌では、筑紫哲也があちこちでばらまいていた嘘に対して、その意図を問いただす公開質問状を、多くの方々から頂いた署名とともに送った。しかし、普段は偉そうに「市民の声を聞け!」などと言っている筑紫は、この市民の疑問を完全に黙殺した。この手の連中の下らなさは、この一件だけでも十分お分かりであろう。

 筑紫は「多事争論」などという詐欺的な題を使うのは、早いところ止めた方が良い。彼のコーナーにもっともふさわしい題、それは、「馬耳東風」であろう。


                              なかみや たかし・本誌編集委員


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