ゴロツキ『朝日』の大冒険−3


                            中宮 崇


「王室批判」をでっち上げる、卑劣なるマスコミの筆頭、朝日新聞!


 パパラッチの横暴によるダイアナ妃の死をきっかけに、マスコミに対する批判が巻き起こっている。人の死を前にしてなおも「報道の自由」を振りかざして保身を図る、マスコミの思い上がりは、この往生際の悪いハイエナどもに対する市民の怒りをさらに掻き立てるだけの結果に終わっている。

 正攻法で批判に対抗することが出来ないと悟ったマスコミは、薄汚い陰謀によって、批判の矛先をかわそうとした。それが、4日朝の愚劣なる横並び紙面を生み出した。

 この日、イギリスの各紙は、「なぜか偶然にも」一斉に足並みをそろえて、王室批判を開始した。「王室はダイアナ妃に冷たい」、「なぜ王室は、避暑地に篭りっきりなのか?」と。いや〜、実にすばらしい偶然である。イギリスの、大衆紙・高級紙を含むほぼ全紙が、「偶然にも」同じ日に突然、王室批判をしだしたのである。よほどおつむの弱い人間でない限り、その裏にある黒々としたものを感じ取らずにはいられないであろう。

 イギリス国民の、いや、全世界のプリンセスであった人物を死に追いやったマスコミは、自らの罪の重さを反省するどころか、薄汚い情報操作により王室をいけにえにすることに決めたのだ。ハイエナどもの肩を持つ日本のマスコミも、この卑劣なる陰謀に荷担している。

 実のところ、イギリス国民の間では王室批判なんぞ、ほとんど聞かれない。実際、ある高級紙の緊急調査によると、7割以上の国民が、王室を支持しているという。「市民による王室批判」なるものは、薄汚いマスコミどもがでっち上げた虚構にすぎない。3割の(その中のさらに一部の)声ばかりを、自分たちの都合の良いように大袈裟に改竄して報じるこの手の犯罪者たちの策謀に、我々は惑わされてはならない。

 今週号記事「馬耳東風」でも書いたように、日本でもっとも卑劣なマスコミの一つであるNEWS23なる番組は、何と映像を改竄するという、視聴者に対する裏切り行為をしてまで、王室批判幻想を作り上げる陰謀に荷担した。しかしこのような犯罪を行っているのは何も、NEWS23のような嘘つき番組だけではないのである。

 例えば朝日新聞。この連中もまた、犯罪者の一味である。まず、イギリス各紙による「4日の陰謀」の事実を、ほとんど読者に伝えてはいない。一方で日本経済新聞などは、5日の社会面ででかでかと、この卑劣なる陰謀について、きちんと報じている。

 そういう、重要な事実を読者に隠しておいて、あたかもイギリスで激しい王室批判が巻き起こっているような印象を与える、犯罪的な情報操作を行っているのである。

 重要な事を何一つ読者に伝えない朝日新聞もまた、NEWS23が行ったのと同じ犯罪的な情報操作を行っている。ダイアナ妃の葬儀において、凶悪なマスコミの横暴を弾劾した、ダイアナ妃の弟のスペンサー伯のスピーチを、その激烈なマスコミ批判の部分については何も触れずにおいて、「王室批判の献辞」などと、呆れたこじつけ報道を行ったのである。記事は、9日朝刊の社会面に掲載された。

 朝日は、スペンサー伯の以下の発言を強引に、「格式重視の王室に対する大胆な挑戦」として紹介している。


   義務と格式のみに縛られるのではなく、自由に歌えるよう
   なおおらかな環境を(二人の残された王子のために)つくる
   ために、血のつながった親族として何でもする。


 なるほど、ここだけ抜き出せば、確かに「王室批判」と読めないことはない。しかしスペンサー伯が同時に、パパラッチや大衆紙を批判していたことを考えれば、これはむしろ、「ハイエナのようなマスコミに対抗して、残された王子のために王室に協力する」という宣言として解釈するべきではないか?スペンサー伯の、「姉はマスコミに殺された」という発言や、パパラッチを葬儀から追い出したことを意図的に無視しようとしているマスコミの、これは重大な犯罪である。実際後日スペンサー家は、王室への全面的な協力を申し出ている。

 ところが卑劣なる朝日は、小賢しいことに、こういう批判が来た場合に備えて、きちんと逃げ道を用意している。

 まず、前出の9日の記事。これは「イギリス各紙は、こう書いている」という紹介記事の形式を取っており、「我々朝日は、イギリスのマスコミの論調を伝えただけだ」という言い訳が出来るようにしている。

 このように、他者の発言や論調を無責任に垂れ流し、後日、「あれは単に、一部の発言や論調を紹介しただけだ」と言って言い逃れするのは、朝日の伝統的な汚い手である。

 例えば現在問題になっている北朝鮮日本人妻問題。彼女らが北朝鮮に行った理由は、朝日が、「北朝鮮は天国」というイメージを広めたためだ。実際、今でも彼女らの中には、朝日のことを激しく憎悪している人たちがいる。長年の虐げられた生活のすえ、彼女たちの仲間の多くがひもじさに耐えかねて死んでいったのであるから当然である。

 ところが朝日は、自分たちの口では「北朝鮮は天国だ」などとはほとんど言わなかった。多くの場合、形の上では、北朝鮮べったりの政治家や文化人の発言を紹介していた「だけ」なのである。朝日の犯罪の手口は、ここ数十年、何ら変化していない。

 ところで、この嘘つき朝日、腐っても、日本一の新聞である。NEWS23のような、幼稚な犯罪は犯さない。上記以外にも、まだ逃げ口を用意している。

 その一つの例が、9日朝刊の記事、


   「大衆紙のダイアナさん報道
        現地日本人はこう見た」


なる記事。題名の通り、イギリス在住の日本人の、今回の事件に対する声を載せたものなのであるが、イギリス大衆紙を擁護するような意見ばかり(恐らく意図的に)並べている中に、片隅に小さく申し訳程度に一つだけ、こんな意見が見られた。


   「事故死以来、英国王室は冷たいという記事が大衆紙には
   よく出た。見ていて、自分たちに向けられた読者からの批判
   をかわすための論陣という気がした」


 いざというときのための、


   ほら!我々朝日新聞は9日の朝刊のここのところできちん
   と、「あれはイギリス大衆紙の卑劣な作戦だ」って報じてい
   た!


という、アリバイ工作以外の何物でもなかろう。「4日の陰謀」も報じずに、賢しい小細工だけには余念が無いものである。


 ダイアナ妃を死に追いやったマスコミの横暴、これは決して、我々にとっても他人事ではない。日本のマスコミは、ありとあらゆる汚い手を使って、「日本版ダイアナ妃殺し」に向けての布石を着々と用意している。そして朝日新聞は、そういう汚い手の数十年来の熟練した使い手であるのだ。
 スペンサー伯は言った。


   義務と格式のみに縛られるのではなく、自由に歌えるよう
   なおおらかな環境を(二人の残された王子のために)つくる
   ために、血のつながった親族として何でもする。


と。私は言おう。


   朝日のようなマスコミの、汚い伝統的な犯罪に縛られるので
   はなく、日本人が自由に歌えるようなおおらかな環境をつく
   るために、この国土に生まれた一市民として何でもする。


と。


                              なかみや たかし・本誌編集委員


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