脱ゴー宣裁判に行ってきた!(2)


                            中宮 崇


え!?来ちゃったの!?


 いきなりであるが、前回とんでもないミスをしていました。東京地裁が最高裁と同じ建物にあるなどと書いてしまいましたが、正しくは最高裁でなくて高裁。最高裁はまた別のところにあるそうです。初めての傍聴で、かなり舞い上がっていたのかもしれません(笑)。

 さて…

 さとしが来た!上杉聡「日本の戦争責任資料センター」事務局長にして、関西大学文学部講師、そして今回の裁判の発端となった『脱ゴーマニズム宣言』(東方出版)の著者。目の前に置いてみると、垂れぎみのお目目と口髭あご髭がなかなかにキュートなオッサンである。

 私も何度かこの週刊言志人で批判した、モノホンの上杉聡。結構軽い乗りのおじさまらしい。すかさず松沢呉一ら支援者としばし歓談。狭い控え室に響き渡る、おじさん達の笑い声。

 端で聞いていると、どうやら先ほど私のスキンヘッドに恐れおののいていた女の子達は、松沢が講師を務めるジャーナリスト専門学校の教え子達らしい。松沢〜、オイシイ仕事しておるのう!

 そうこうしているうちに、開廷まであとわずかに迫る。「もう法廷に入れるそうですから、行ってみましょう」。誘うさとりん。途端に、控え室の椅子に座っていた30人ほどの男女が、彼にぞろぞろと付いて行く。ん!?こいつら全員支援者なのか?よしりん派は一人もおらんのか!?

 ひとまず控え室前の廊下に全員溜まる。外で待っていた人たちも含めて、いまや総勢40人以上。堂々たる支援団体御一行様である。

 慌てて席を立って付いてきた私が彼らを観察していると、隣りに何だか見覚えのある濃い顔の髭オヤジが立っている。昨年1月の悪名高き、従軍慰安婦の回の朝生で、「一般視聴者」騙って参加し、「右派人脈」について嘘をばらまき、ごくフツーの若者にすぎない「日本ちゃちゃちゃクラブ」のラーメン屋二郎氏について中傷記事を書いていた男、出版労組の総元締め俵義文。そう、あの男にそっくり。

 しかし、どうもあの朝生の時に見た顔よりも、つやつやして生きが良く見え、微妙に違うような気もし、彼だという確信を持つことが出来なかった。

 隣りにたたずむ髭オヤジに疑惑の視線を投げかけていると、小冊子を押し付けられた。さすがにサヨクさんたちのやることは手際が良い。

 表にでかでかと、ゴーマニズム宣言のSAPIO誌11/26号掲載第55章「広義のすりかえ論者への鎮魂の章」をまるごとぱくっているこの冊子、少し目を通しただけでも、なかなかに面白いことが沢山書いてある。

 なにしろ、さとりんが事務局長をつとめる「日本の戦争責任資料センター」が全面的にバックアップしているのであるから、その組織力と動員力は、相当な物があるであろう。「裁判を楽しむ会」(以下、「楽しむ会」などというもの設立を、全国的に呼びかけていたほどである。

 その「楽しむ会」、冊子によると、代表はあの俵義文だという。と言うことは、隣りに立っている髭男はやはる、「あの」俵義文本人なのか。おひおひ、こんな嘘つきの常習犯をトップに据えて大丈夫なのか?敵ながら、少々心配になる。

 「さ、入りましょう」と言うさとりんに付いて、ぞろぞろ法廷へ。ん?既に先客が何人かいるようだが…。よしりん派か?しかしそれにしては、いささかお年を召した紳士ばかりだが…。

 どうも予定が遅れているらしく、まだ別の裁判をやっている。なんだ、「よしりん派」どころか、「脱ゴー宣裁判」の傍聴者でさえないのか。

 一番前の被告席側のところに空き席があったので、そこに腰を落ち着けると、なんと上杉さとりんが付いてきて、私の左隣りに座るではないか!「ここで彼の立派な髭をおもいっきりわしづかみにしてやったら、法廷は一体どうなるであろう?」などとよからぬ妄想にふけりつつ、右隣りに目をやると、先ほどから、いやに私を付け回しているように見える巨漢がそこに。ひょっとして、マークされているのであろうか?

 と思っていたら、その男、席を立って向こうに行ってしまった。そういえば、昨日は歯を磨いていなかったがまさか、口が臭っていたのか!?サヨクへの意外な対抗手段発見。

 しかし、あちこち見回しても、よしりん側の人間が見当たらない。トッキーは一体どこに!?本当に裁判出来るのか?

 遅れていた前の裁判が終わり、いよいよ「脱ゴー宣裁判」が開廷。隣りに座っていたさとりんが、被告席に向かう。おい、原告はどうした!

 原告のさとりんと弁護士が席につこうとすると、原告席に後ろの扉が開き、3人の男たちが入廷してくる。ふ〜、どうやらちゃんと、裁判は成立するようだ。

 さて、トッキー、トッキー、どの男がトッキー?ん?よしりんだ〜。よっしり〜ん。何?よしりん?げげー!小林よしのり本人が登場!?


                つづく…


                               なかみや たかし・本紙編集委員


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