平成15年2月10日 文京春日郵便局局留/東京都渋谷区桜丘14-10-311 VAWW-NETジャパン/アジア女性資料センター御中 東京都千代田区一番町25 株式会社宝島社 4局別冊宝島第3編集部 編集長 井野良介 回答書  2003年2月3日に着信した貴団対からの『別冊宝島Real043 まれに 見るバカ女』に対する「抗議文」に対して回答します。 「抗議文」の内容は、@同特集全般に対する抗議 A中宮崇氏執筆記事「松 井やより〜『現代の魔女狩り裁判』の罪と罰」の即時撤回、以上の2点に分 かれますが、いずれの指摘もその趣旨が理解できません。  まず@についてですが、「抗議文」では、小誌の特集が「形を変えた女性 に対する暴力」「出版セクシャル・ハラスメント」と誹謗中傷されています。 しかし、どう読めばこのような言葉が出るのか、まったくもって理解に苦し みます。  同特集は、女流政治家・知識人・文化人に対する批評を目的としたもので あります。取り上げたのは、いずれも社会的に影響力が強く、その言動がと きに厳しく精査されるべき対象の人々ばかりです。なかでも、「女性(性、 問題)」を隠れ蓑に、己の無責任な言動に対する批判から免れてきた面々に は、厳しく批判を浴びせています。こうした視点の批評集はこれまでになく、 同特集号は、読者の反響も好意的であり、女性読者からも根強く支持されて います。  さて、こうした出版物のどこが「暴力」なのでしょうか。「女性」あるい は「弱者」の立場を狡猾に利用し、無責任な言動をメディアで垂れ流す面々 に批判を浴びせることの、いったいどこが「セクハラ」なのでしょうか。 「抗議文」の内容からは、同特集号を「暴力」「セクハラ」と断じる根拠が まったく伝わってきません。 よって、貴団体の「抗議文」は、誌面を精読して書かれたものとは到底思え ません。  また、Aについてですが、一部、記述の詳細さを欠いた点は認めますが (詳しくは中宮氏の「抗議文」参照)、この点について、記事の撤回や謝罪 文の公表など、貴団体の要求に応じる理由がいっさい見当たりません。 なぜなら、記事は松井やより氏個人について書かれたものであり、松井氏の 遺族でもなく、一民間団体にしかすぎない貴団体の「要求」は、不特定多数 の読者から寄せられる「意見」と同等のものだからです。貴重な「ご意見」 としては承りますが、なぜ当事者でもない一民間団体の要求に応じなければ ならないのか、その理由がまったく見当たりません。 ちなみに、当該記事は死者に鞭打つことを目的で書かれたわけではありませ ん。中宮氏の記事が執筆されたのは松井氏が逝去する以前のことだからです。 しかし、批評・批判の対象が生者であれ死者であれ、功罪とりまぜ社会に影 響を与えた人物の言動について精査する行為は、正当な言論活動であります。 なお、事実関係について是正すべき点については、中宮氏と編集部の間で協 議し、検討・決定します。 以上、「抗議文」の内容を精査したところ、貴団体の抗議は、「女性の人権 問題」を騙った出版妨害活動としか考えられません。現に「抗議文」は、当 編集部に着信するより以前、1月31日の段階で、マスコミ各社に、またメー リングリストを経由してネット内にばら撒かれていた事実を確認しています。 「暴力」「セクハラ」という誹謗中傷表現の意図を精査すると、「抗議文」 は当初から、出版妨害、あるいは一民間団体の売名行為等も視野に入れて作 成されたものと理解しています。 よって当編集部は、小誌への誹謗中傷行為に対する「謝罪文」の提示とその 配布(ML内、マスコミ各社)を要求します。 なお貴団体には、かつて筆者の中宮崇氏が政治的な理由で個人情報を漏洩さ れ、暴力(テロ)の被害(刑事事件の被害)にあった際、それをネット内で 肯定した不遜な人物も含まれていると聞き及んでいます。中宮氏に対するこ れ以上の暴力を阻止する意味でも、当編集部の「回答書」、中宮氏の「抗議 文」の品位ある取り扱いを要請します。 以上 平成15年2月10日 東京都渋谷区桜丘14-10-311 アジア女性資料センター、VAWW-NETジャパン御中 東京都千代田区一番町25 株式会社宝島社 4局別冊宝島第3編集部気付 中宮崇 「抗議」と称する悪質な脅迫に抗議いたします 貴結社の「抗議文」と称する、独善的かつ二枚舌に満ちたハレンチなアジ文 を拝見させていただきました。その盗人猛々しい、あまりにも破綻した内容 に微笑をもって一瞥させていただきましたが、盗人にも一分の理、当方にも わずかながら事実誤認があったようですので、その点につきましては後ほど 誠意を持って回答させていただくとして、まずは貴結社の、「抗議」に名を 借りた悪質な脅迫に対して抗議いたします。 貴結社は今回の脅迫文を、常日頃テロ行為を呼びかけている某インターネッ ト団体内部(AML)において公表いたしました。しかも、我々に抗議文が届け られる前に、です。 その某インターネット団体は、私こと中宮崇の住所を含む個人情報を詐取し た経緯があり、それを利用してテロ行為を誘発する可能性は否定できません。 現に1997年には、その団体に属する某大学教授(東京経済大学教授山崎カヲ ル)により、私こと中宮の名を騙った悪質な文書をインターネット上にばら 撒くという、信じられない事件が発生しており、同年12月には、それと関連 していると思われる、暴行事件に巻き込まれております。 さらに驚くべきことに、今回の貴結社の連名人の中には、明白な虚偽の言説 をもって当時のこの嫌がらせ及び暴行行為を肯定し、当時一学生にすぎなかっ た私こと中宮に圧力をかけた加賀谷いそみなる厚顔無恥な族が存在します。 これは、貴結社が、我々に対してテロ行為を呼びかけ、恐怖と暴力をもって 自らの主張を通そうとしているとしか思えない行為であり、貴結社の本質的 な犯罪性を示すものであると考え厳重に抗議し、2月20日までに誠意ある回答 を要求いたします。 なお、貴結社が私こと中宮の記事に関して「事実関係において明らかに誤っ ている」と称している点については、以上のような悪質な脅迫行為にひるま ず、誠意をもって回答させていただきます。 1.「わざわざ海外まで被害者を探しに行き」 −「慰安婦」制度の被害者、サバイバーの女性たちは、自らの意思で名乗り 出て告発されてきました。 回答:貴結社が後の指摘5番で主張しておりますように、「被害者」の中に は2名の北朝鮮在住の女性がおります。貴結社が、北朝鮮拉致事件の前後に おいてどのよう立場をとっておられるかは詮索いたしませんが、「北朝鮮在 住の女性」が「自らの意思で名乗り出て告発」し、しかも支弁して日本にやっ てきて貴結社の集会に出席したなどということを信じる人間は、非常識な私 的リンチ活動がご趣味の貴結社の方々ならともかく、常識をわきまえた日本 国民の中にはおりますまい。 2.「VAWW-NETジャパンが中心になって勝手に開いたもの」 −女性国際戦犯法廷の主催団体はVAWW−NETジャパンだけではありま せん。日本、被害国(6カ国)、国際諮問委員会(現在の武力紛争下の女性 への暴力に取り組んでいる世界各地の女性たち)の三者で構成されています。 回答:当方は「主催団体はVAWW−NETジャパンだけ」などと書いた憶 えはなく、抗議の意図が不明であります。 3.「裁判官役や検事役もみな、松井から金をもらって招待された方々」 −事実無根の捏造です。このようなことを書いた根拠を明らかにしてくだ さい。 回答:「交通費」「食費」という名目で、多額の金を受け取ったとの証言が あります。もし事実無根の捏造であると主張されるのであれば、貴結社の不 明朗な会計を公開し、疑惑を払拭されることをお勧めいたします。 4.「被告である天皇と日本政府を弁護することはいっさい許されず」 −被告人については、反論権を保障するため、日本政府に招請状を送りま した。更に「法廷」ではアミカス・キュリーが被告人の立場に立って弁論し ました。こうした事実関係をきちんと調べたのですか? 回答:まったく驚くべき主張で、常識人には理解できない珍論であります。 そもそも、何ら法的根拠を持たない私的リンチ集会に、「反論権」もなにも あったものではないというのが常識的理解でありましょう。また、アミカ ス・キュリーなる、貴結社の御用「参考人」の出席をもって、「反論権」が 保障されたというのは、笑止以外の何ものでもありません。 5.「北朝鮮から送り込まれた十人もの元慰安婦が加わっている」 −「法廷」に参加された北朝鮮在住の被害女性は二人です。 回答:またもや意味不明の抗議でありますが、私こと中宮は「北朝鮮在住 の元慰安婦が十人」などとは書いておりません。昨今の北朝鮮拉致事件に 関して明らかになったことから、北朝鮮在住ではない在日朝鮮人などにも工 作員が多数存在していたことは明らかであり、それこそが私こと中宮が、 北朝鮮籍の10人を問題にした理由であります。 6.「元慰安婦どころか現工作員」 −根拠を示してください。 回答:1に対しての回答でもかきましたが、理性と常識をもって考えれば明 白なことであります。むしろ、「現工作員ではない根拠を示してください」 と、逆にお尋ねさせていただきたいところです。 7.「松井は辻元清美のピースボートで北朝鮮を訪れた経験もあり」 −松井さんはピースボートで北朝鮮に行ったことはありません。 回答:失礼いたしました。ピースボートでは行かなかったが、わざわざ独自 に行かれて被害者探しをされたということでよろしかったでしょうか。 8.「内容が気に入らないからと、NHKを訴える裁判を起こしている」 −何を根拠にこのような誤報を垂れ流すのでしょうか? この裁判は右翼を はじめとする外部からの圧力と自己規制によって、無残な改竄番組を放送し たNHKに対し、報道機関としての責任を果たし、被取材者に対する誠実な対 応と事実を報道するよう求めた裁判です。 回答:貴結社の独善的な見解は承りました。 最後に、死者である天皇やもと兵士を法に拠らず「犯罪者」と冒涜し、他 者に対しては「死者の名誉を毀損する記事に厳重に抗議し」などと臆面も なくまくしたてられる、そのようなうすら寒い怨念を集めて多数の本を作 る貴結社に対しては、売れればなんでもいいのですかと、最低限のモラル も守れないのですかと問わずにはおられません。 また、松井やより氏の父君平山照次氏に対して謝罪せよとのことでありま すが、親族でもなんでもない第三者である貴結社がいったい何の権利を持っ てして、そのようなことを強弁なさるのか、まったくもって理解不能であり ます。 被害者をわざわざ探し出してきて商いの種にする貴結社の性質が自然に現れ たものだとは思いますが、いま少し良識を持って行動なさることを学ばれ てはいかがでしょうか。 「女性の人権」を擁護するための不買運動も辞さないとのことでありますが、 むしろ自立した女性を冒涜する、貴結社のそのような破綻した脅迫に乗る愚 者が一体どれだけこの世に存在するか、乏しい良識をかき集めて話し合っ てみてはいかがでしょうか。 以上