Subject: [aml 31952] Fw: [vaww-net-jm 4010]抗議文・『別冊宝島』松井さん誹謗中傷記事 From: MUTO Ichiyo Date: Sat, 01 Feb 2003 10:16:52 +0900 Seq: 31952 Forwarded by MUTO Ichiyo ----------------------- Original Message ----------------------- From: VAWW-NET Japan To: vaww-net-jm@jca.apc.org Date: Fri, 31 Jan 2003 17:43:10 +0900 Subject: [vaww-net-jm 4010] 抗議文・『別冊宝島』松井さん誹謗中傷記事 ---- VAWW-NETジャパン会員の皆様  宝島社発行の別冊「宝島」で、『まれに見るバカ女』という最悪、最低の特集 が組まれました。この中で書かれた松井やよりさんの記事「『現代の魔女狩り裁 判』の罪と罰」は事実誤認が多いだけでなく、死者の人権を冒涜する、女性蔑視 に満ち溢れた悪辣なものであり、バウネットジャパン運営委員会は宝島社に対し て怒りを持って以下の抗議文を送りました。なお、抗議文はアジア女性資料セン ターも連名して送付いたしました。                          西野瑠美子 ****************** 以下、抗議文******************* 『別冊宝島』での故松井やよりさんへの誹謗中傷記事に抗議します 『別冊宝島』編集部御中 女性がさまざまな場で活躍し始めたことに対して、脅威を覚える男性たちが、自分た ちの自信のなさを隠すためか、品性を疑う誹謗中傷を行う光景は、怒りを超えて悲哀 さえ感じさせます。しかしながら、そのような男性たちのうすら寒い怨念を集めて一 冊の本を作る出版社に対しては、売れればなんでもいいのですかと、最低限のモラル も守れないのですかと問わずにはおられません。これは形を変えた女性に対する暴力 に他なりません。平時・戦時を問わず「女性の人権」侵害問題に対して闘う「戦争と 女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)は、2003年1月に『別冊宝島  まれに見るバカ女』を出版された宝島社・『別冊宝島』編集部ならびに筆者中宮崇氏 に対して、厳重に抗議します。  なかでも、私たちの大切な友人で、昨年12月27日に逝去された松井やよりさんに対 する誹謗中傷記事は、もはや反論する機会をもてない人の名誉を冒涜するものとし て、卑劣きわまりないものと言えます。  松井さんは10月にアフガニスタンで倒れ、肝臓ガンで数ヶ月の生命であることを知 らされた時、毅然とした態度でこれを受け止め、多くの友人たちに別れを告げる会を 開かれました。彼女は「闘い半ばで倒れなければならない」という突然の、天災のよ うな悲運を、「68年間の人生を激しく生きた私に早めの休息を与えて下さった神様の 摂理かも知れない」と、平静に受け止められました。そして「皆様の支えもあって充 実した人生を送ることができた」と感謝の言葉を述べられましたが、特に2000年12月 に日本軍性奴隷制を裁く「女性国際戦犯法廷」を提唱して実現させ、未来に開かれた 国際法に基づいて、素晴らしいハーグ判決を得ることができたことを最大の慰めとさ れています。  松井さんの生涯にわたる行動は、弱い立場にある人のために、特に男性中心社会の 中で暴力の被害を受け、そのトラウマに苦しむ女性たちの「ジェンダー正義」の回復 に向けて闘い続けた軌跡であり、その私心のなさが際だっています。死を迎えるに当 たって彼女が企画したのは、私財を投げ打って「女たちの戦争と平和資料館」の建設 を実現することであり、「松井さんの健康回復を願う友人の会」において同会実行委 員会は建設実現のためのカンパを呼びかけました。資料館建設を願う松井さんと友人 たちの誠実な思いを、当記事が「自らの病気までネタに使うとは、実に商売がお上 手」と、自分たちの卑しい解釈で歪曲し、彼女の人間としての尊厳を侵犯したこと は、決して許されるものではありません。  また、松井やよりさんが文字通り生命を燃やして尽力された「女性国際戦犯法廷」 に関しても、事実と全く異なる歪曲した記事を繰り返していますが、この法廷が世界 的な国際法の専門家によって開かれ、一年をかけた綿密な審理によって判決文が作成 され、その内容がグローバルな市民社会によって高く評価されていることは否定しよ うがないのです。この法廷における松井さんの役割を高く評価して、法廷参加国の新 聞をはじめ、ニューヨーク・タイムズにおいても丁重な訃報記事が掲載されました。 この法廷の国際的な意義とハーグ判決の高い思想性を全く理解できない人たちが、 「魔女狩り」や「罪と罰」といった宗教的な言葉を意図的に悪用して、クリスチャン の松井さんを攻撃する様は、悪辣きわまりないものです。  また、「裁判よりも先に神様が、この厚顔無恥で罪深き女に天罰を下してくださる ことを切にお祈りいたします」とはどういうことでしょうか? お応えください。  当記事には、松井さんのみならず、戦争中に殺人や女性を強かんすることを断固と して拒絶する姿勢を貫かれた松井さんの父、96歳の平山照次さんに対する揶揄・嘲笑 も書かれています。今静かに余生を送っておられる方の人間性を誹謗中傷することは 「表現の自由」とは言えず、それは暴力以外の何ものでもありません。  私たちは、貴社の松井さんに対する悪意に満ちた文、死者の名誉を毀損する記事に 厳重に抗議し、即時撤回を求めます。またVAWW-NETジャパン並びに平山さんに対する 謝罪を強く要求します。 出版セクシュアル・ハラスメントともいえるこのような誹謗中傷記事に満ちた本 を、貴社が出版したことに、断固として抗議します。貴社がそのような姿勢を続けら れるならば、「女性の人権」を擁護するための不買運動も辞さないことを言明しま す。  以下は、事実関係において明らかに誤っている箇所です。 1.「わざわざ海外まで被害者を探しに行き」 −「慰安婦」制度の被害者、サバイバーの女性たちは、自らの意思で名乗り出て告発 されてきました。 2.「VAWW-NETジャパンが中心になって勝手に開いたもの」 −女性国際戦犯法廷の主催団体はVAWW−NETジャパンだけではありません。日 本、被害国(6カ国)、国際諮問委員会(現在の武力紛争下の女性への暴力に取り組 んでいる世界各地の女性たち)の三者で構成されています。 3.「裁判官役や検事役もみな、松井から金をもらって招待された方々」 −事実無根の捏造です。このようなことを書いた根拠を明らかにしてください。 4.「被告である天皇と日本政府を弁護することはいっさい許されず」 −被告人については、反論権を保障するため、日本政府に招請状を送りました。更に 「法廷」ではアミカスキュリーが被告人の立場に立って弁論しました。こうした事実 関係をきちんと調べたのですか? 5.「北朝鮮から送り込まれた十人もの元慰安婦が加わっている」 −「法廷」に参加された北朝鮮在住の被害女性は二人です。 6.「元慰安婦どころか現工作員」 −根拠を示してください。 7.「松井は辻元清美のピースボートで北朝鮮を訪れた経験もあり」 −松井さんはピースボートで北朝鮮に行ったことはありません。 8.「内容が気に入らないからと、NHKを訴える裁判を起こしている」 −何を根拠にこのような誤報を垂れ流すのでしょうか? この裁判は右翼をはじめとす る外部からの圧力と自己規制によって、無残な改竄番組を放送したNHKに対し、報道 機関としての責任を果たし、被取材者に対する誠実な対応と事実を報道するよう求め た裁判です。  以上について、2003年2月10日(月)までに誠意ある回答を求めます。又、 VAWW-NETジャパンと遺族に対して謝罪・訂正文を送付すると共に、次号「別冊宝島」 並びにWebにおいて謝罪、訂正記事の掲載を求めます。 2003年1月31日 「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン) 西野瑠美子・東海林路得子・中原道子・池田恵理子・渡辺美奈・山口明子・田場祥子・ 上田佐知子・金富子・鈴木香織・伊従直子・宋連玉・柳本祐加子・山野和子・山下英 愛・ 加賀谷いそみ・高里鈴代・関典子・野口弥 アジア女性資料センター 青木玲子・有村順子・兼永典子・久保田真紀子・竹信三重子・丹羽雅代・本山央子 -- ******************************************** 戦争と女性への暴力日本ネットワーク     (VAWW-NET Japan) Violence against Women in War-Network Japan 112-0003 東京都文京区文京春日郵便局局留 TEL/FAX 03-38187-5903 E-mail vaww-net-japan@jca.apc.org ********************************************