『堕ちよ! 日本経済』 (商品番号 29)
副島隆彦著 2000年8月 刊
★本文(P.18)より抜粋
「金融債」という特殊な資金の取り入れ口を失ってしまった日本興業銀行は、実質的につぶれていたのである。興銀がいくら超一流銀行のふりをして、外に向かって威張ってみせても、この銀行は実質的に倒れていた。
なぜなら、あのとき、「取り付け」が起きていた。あのとき、長銀、日債銀と全く同じく金融債の解約を要求して、現金で持ち去る日本の大金持ちたちの「隠れた取り付け騒ぎ」が起こっていたからである。これが、日本の九九年の金融危機の中で起きていた最大の事件だったのである。
しかし、この事件は、日本政府の厳しい言論(マスコミ)統制のために、全く報道されなかった。日本には、真の取り付け騒ぎが、あのとき起きていたのだ。これに比べれば、山一證券の倒産ドラマなどは、その陽動作戦ともいう言うべき、ほんの小規模の見せかけの倒産劇であった。
★参考図表
長銀買収をめぐる人脈相関図(本書未掲載)
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