(1999/03/28)

多摩ロードレース参戦記

第18回 多摩ロードレース
種目=男子 一般 20km
手元計時=1:12’13”
途中経過
5km−10km−15km−20km
距離表示なし−36'10"-54'05"(17'55")-1:12'13"(18'08")


1.最初のごたく
 

京都シティハーフ参戦記でも書いたが、このロードレースシーズンは京都ハーフでおしまいにするつもりだった。
しかし、@京都ハーフで残念な結果に終わってしまって不完全燃焼だったこと、A仕事が忙しくなって平日の練習時間が減ってきたという所に、アンビバレンス事務局長をされている森さんから
「多摩ロードレースに申し込んでいたのだけれど、所要で出場できなくなってしまった。代わりに出場しないか?」
と打診があり、丁度良い練習になるし、調子が良ければ結構いいタイムで走れるかも?と二つ返事でOKしたのだった。
−−−
しかし、代理出走は違法行為です。本当は、ね。(よい子は真似をしないで下さい)
なので、森さんと相談の上、「絶対に入賞しない」ことを条件に出場することになりました。
単に出場するだけであれば、個人が楽しむ範囲としてさほど罪深くもないが、入賞してしまえば、正規に出場されている選手に迷惑がかかる、という理解です。かなり勝手な解釈ではあるものの、まぁ大目に見て下さい。


2.スタートまで

さて、レース当日。
スタートが午前9時30分と早いので、やはり6時前には起床して朝食をとる。天気予報を見ていると、「今日は一日中曇りで気温は真冬並みまでしか上がらないでしょう。」と長距離レースには絶好(?)なコメントを連発している。ちょっといい気になって寮を出発した。
会場に着いて、最初の印象は
アップダウン、ありまくりやなぁ〜


であった。最寄り駅からバスで10分ほど揺られて会場に着くまでの間ずーっと坂だったのだから、ちょっとイヤになった。まぁ、青梅マラソンも平坦なのは市街地だけだし、今年の青梅はそこそこいい記録で走れているから、いいや!なんて思っていたが、いざ大会プログラムを見るとちょっと驚いてしまった。
多摩ロードレースは昨年まで5kmの部と10kmの部で開催されており、20kmの部は4年前までしか開催されていなかったのだが、20kmの上位入賞者がレベルの低い年には1時間18分位だったりするのだ。
「えー、そんなに遅く走ったんじゃ、練習にならないよ。困ったな。」
正直、困ってしまいました。
【最初は5km18分のペースで走って、最後で気持ちよくペースアップして終わろう】
昨日まで描いていた計画がガラガラ壊れる気がした。
しかし、NEC所属の実業団選手が招待選手で出場するくらいやし、最近は長距離も人気がそこそこあるから1時間12分で入賞することは無いんとちゃうかな?
希望的観測を胸に抱いてスタートラインへ。


3.スタートして、前半

いざスタートすると、結構皆さんダッシュ鮮やかである。
私は最初から「練習」と思っているから気楽なもの。気持ちよく18分ペースで走る、走る。走るのだけど、3〜4kmも行く内になんか結構前にいた選手を抜いてしまった。こら、まずい! f(#^ ^#;; ということで、その時一緒に走っていた一般男子の部の選手2人のペースメーカー&風除けをしばらく勤めることにした。5kmの距離表示が無かったので自分のペースが正確には分からないが、感覚から言って18分前後であることに間違いない。
こうして10km過ぎまでおふたりさんのペースメーカー役を一生懸命勤めたのだが、後続の片割れがえらくしんどそうである。
腕は巻き込んでいるし、息は上がりまくっている。
「肩をリラックスして、腕の力を抜くと楽ですよ。」「上りになったら重心を前にかけて走ると楽ですよ」・・・いろいろ言いたいのはヤマヤマだが、おせっかい兄ちゃんになることがミエミエなので、まだ元気な方を引っ張ることにする。10km通過が36分10秒なので、ちょっとペースダウンしたろうか?
しかし、多摩ロードのコース設定は非常にタフだ。
冒頭にも書いたが、そもそも近隣の地形がアップダウンばかりだし、無理矢理バスターミナル内で給水させるために下り坂から左270度の急カーブをさせてみたり、脚にかかる負担は青梅以上かも知れない。
上り下りぐるっと曲がって上りはい下り
こんな感じっす。はい。
そんなこんなで、5km過ぎから先週痛めた右臀筋が痛み出し、結構気になる。これはもしかしたら苦しむ兆候かも!?
4.レース中盤
10kmを通過するまでは、2人のペースメーカー役だったが、気づくと1人しんどそうにしていたおじさまが脱落しそうになっている。
頑張れ、頑張れ!
時折後ろを振り返って、リラックスせぇ、とばかりに ”手 だら〜ん” とかしながら奮起を促す − もう完全におせっかい兄ちゃんである。
我々のすぐ100m程前に4人位の集団が見えるのだが、この集団とはペースがほぼ同じなのか、近づきもせず、遠ざかりもしない。だがこれ以上選手をパスすると本当に入賞しそうで恐いので、ペースが落ちているのを実感しているが、まだしばらくは今のまま、と思って走る。
コースは益々タフになり、500m程の厳しい上りが延々と続いたり、その直後に下ったり。とうとう折り返し地点に到着しそうなので、先頭からどれだけ選手が居るのかを確認した。1人、2人、・・・ 途中、コースの段差で選手を確認できなかったりするが、確実に前に7−8人は選手がいることは確認できた。あとは確認できなかった間にどれだけ選手がいたか?このまま行けば6位に入賞してしまうことはなさそうだ。(ちょっと安心)

折り返し地点へ向う間、コースはストレートで見通しは良いのだが、相変わらず高低差の激しい状態が続いている。 右臀筋が痛い。 痛い痛い!しかし、選手の数を確認してちょっと安心したこともあり、無意識の内にペースが上がっていたみたいだ。後ろを振り返ると折角ここまで引っ張って来た選手が − ?? − いない。いや、ずいぶん引き離してしまったみたいだ。あーあ、しゃーないなー、もうー。

「仕方ない。取りあえず、前に追いつこう。」
前に見えていた集団も、先ほどから比べるとばらけている。順位を上げることはしないまでも、取りあえず追いつこう。方針転換だ。
5.レース終盤
ペースを上げて、前から落ちてくる選手に追いついて来た。一般の部の選手が1人と年齢別で別クラスの選手が2人。しばらくこの選手達と一緒に行こう、そう思いつつ15kmを通過した。時間は54分05秒でそれまでと比べてちょっとペースが上がっている。意識的にペース上げているから、当然か。
あれ?こいつら落ちていくぞ。おーい。
・・・追いついてから、しばらく一緒に走ろうと思っていた選手達がひどく ぜいぜい 呼吸しながら落ちていく。確かにここまでのコースがあれだけタフだと心肺機能・脚力ともにダメージを受けていて当然だが、こちらも臀筋痛をこらえながら走っているのだから「おまえらも、もっと頑張れよ」と思ってしまう。順位がひとつ上がってしまった。やっべー
右臀筋の痛みをこらえつつ、急激な下りを駆け下りると前の選手にまた追いついた。
4001番?50才台の選手だ。
あれ?宮さんやん! − 筆者が良く練習をしている井の頭公園の競技場で時折一緒になるおじさまである。さっすが、宮さん。こんな前にいるなんて。
「ふぁいと!」
一声かけて抜き去る。宮さんを抜いても自分の順位に影響は無い。宮さん、しばらく付いてくるも500m位で離れる。残りも少し。頑張って下さい。
宮さんを抜いてすぐ、また2人ほどパスするが、年齢別のクラスの選手で自分の順位には関係ない。気にせず抜き去るが、臀筋が痛い、痛いなぁもお! ・・・ てな訳で思った程にはペースアップ出来ていない。せいぜい維持という感じか。しかし周囲は自分以上に疲労困ぱいしているのか、それでも後方に落ちていく。
ラスト2kmで一般の部の選手が続けて2人射程圏内に入った。すぐ前は高校生。一旦前に出るが、一声かける。
「ここで頑張れ!ついて来い!」
 − さすが高校生。これで付いて来てくれるんですね。ちょっと嬉しい。
高校生の前は、敢えてそのまま行かせて、最後まで彼を引っ張ることにした。さぁ、30mほどの急な下りを駆け下りて競技場。高校生の背中をぽん、と押して「こっからや、行け!」と声を掛ける。彼もその声に応じて、ラストスパート。
自分は、彼を抜かすつもりが毛頭ないので、余裕で後ろからプレッシャーを与えるのだけれど、今から考えると本当にイヤなおっさんだったかも。
スタンドからは「抜かれるぞ〜、ファイトー」とか言われるし、アナウンスで「○×高校の△▽君、続いてアンビバレンスの森君」とか言われてるし。
結局、彼のケツに最後まで付いてゴール。
ゴール後、高校生からは
「ありがとうございました」
なんて頭を下げられて、嬉しいような 困ったような ・・・


こうして、多摩ロードは終わった。けれど、最後に二言。

1.多摩ロード、コースきつすぎやで
2.代理出走は、ほどほどに