'98 Athlete of The Year Japan
 
 
1998年で一番活躍した!と思う選手は、
 
 
その選手の名は・・・
 
 
伊東浩司選手(富士通)です!
 
99年度記録
 
男子100m = 10”00(アジア新記録、黒人以外の世界最高記録タイ)
 
男子200m = 20”16(アジア新記録)
 
 

 
【 寸評 】
 
98年のMVPをただ一人選ぶ、という作業は非常に困難だった。
 
記録の相対的価値から考えれば、世界歴代27位タイの伊東選手よりも、
世界歴代5位を記録した高橋尚子選手(積水化学)の方がはるかに上である。
しかし、である。
日本人、いやアジア人、いや非アフリカ系人類にとっての悲願を
一瞬ではあるが達成して見せた伊東選手の輝きは
高橋選手の魅力的な笑顔を消し去ってしまうに十分だ。
陸上競技を愛し続けてきた者として
夢、だったのだ。
100mで9秒の数字を見ることなど・・・
 
 
(すいません、ニッカンスポーツさん。勝手に載せてしまいました)
 
以下、日本人選手による「100m 9秒台」への憧憬を示す資料として、
私がさる項目で批判してしまっている某「陸上競技マガジン」さんの95年6月号から
記事を抜粋させて頂きます。
 
時は3年前。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった伊藤喜剛選手(当時.水戸市スポーツ振興協会)
が追い風参考記録ながら好記録をマークした時のコメントです。
では、以下原文ママ
 

 
今月のMIP
(モスト・インプレッシブ・パフォーマンス)
 
 
編集部が選んだ1番印象的な記録
日立市記録会男子100m◎9秒8
 
伊藤喜剛
水戸市スポーツ振興協会
 
日本人選手初の100m9秒台
 
Yoshitaka Ito
 
4月23日の日立市記録会で伊藤喜剛が日本人初の100m「9秒台」をアナウンスさせた。
9.3mの追い風を受け、しかも計時は手動。当然のことながら参考記録扱いである。
 
手動計時と電動計時では約0秒2の差がある。
電動計時なら10秒0台あたりの記録であったろう。
そして、追い風9.3mの影響力は過去の研究者(ハイデンストレム:1980年)の
データによると0秒457とされている。
「追い風9.3mの9秒8」を
「無風状態の電動計時」の記録に換算すると
せいぜい10秒4台あたりということになってしまう。
「なぁーんだ」と思うかもしれない。だが、こんな野暮な計算はするまい。
 
何といっても「9秒台」のインパクトは強烈である。
9秒8の「きゅうびょう」という部分が鼓膜に伝わった時のその響きが
何とも耳にここちよいではないか。
 
人類初の9秒台は1963年4月27日、
アメリカのボブ・ヘイズ(1964年の東京五輪100m優勝者)によって
マークされた。マウント・サンアントニオ大学リレー競技会で、
追い風4.74mのもと9秒9(手動)で走った。
それから、31年と361日の歳月を経て日本人も10秒の壁を
突破することができたのだ。
 
追い風であろうが何であろうが、
今はただ日本人初の「9秒台」を大いに称えたい。
恐らく21世紀のいつの日にか、電動計時の公認日本記録が
9秒台に突入するであろうその日が
1日も早くやって来ることを祈りながら・・・。