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(000323)五輪代表、犬伏がシドニーマラソン出場へ

(000323)マラソンの世界最高記録保持者ハヌーシ、五輪出場微妙

(000322)小出監督、五輪コース視察は10回予定

(000314)マラソン五輪代表選考方法で陸連が意図説明

(000314)マラソン五輪代表決定、陸連へ女子選考について抗議電話

(000313)弘山1万メートルで五輪目指す

(000313)シドニー五輪、マラソン代表決定

(000312)高橋、名古屋国際で五輪切符引き寄せる圧勝

(000309)元男子やり投げ五輪代表選手の吉田雅美氏死去

(000306)佐藤清治、五輪A標準突破を目指してメキシコ合宿

(000305)びわ湖全日本女子競歩、二階堂香織が初優勝

(000305)福岡国際クロスカントリー結果

(000305)びわ湖毎日マラソンでフィスが連覇。日本人最高は川嶋の2位

(000304)市橋、精神面鍛え今年初レース前の会見

(000301)サニックス女子陸上部副監督に佐々木精一郎氏就任


- Contents -

◆五輪代表、犬伏がシドニーマラソン出場へ

大塚製薬の河野匡監督が23日、明らかにしたところによると、シドニー五輪男子マラソン代表で、日本最高記録保持者の犬伏孝行(大塚製薬)が、4月30日に行われるシドニーマラソンに出場する計画を進めていることが分かった。起伏の多い五輪コースを本番前に体験するのが目的で、レース後いったん帰国し、5月末に再びシドニー入りして現地合宿も行う予定。
シドニーマラソンには女子代表の山口衛里(天満屋)も出場する。




◆マラソンの世界最高記録保持者ハヌーシ、五輪出場微妙

男子マラソンで2時間5分42秒の世界最高記録を持つ、ハリド・ハヌーシ(28=モロッコ)が今年のシドニー五輪を欠場する可能性が高まっている。
ハヌーシは98年12月に、米国内の居住や労働を認められる永住権を取得、現在、米ニューヨーク州に在住している。さらに米国国籍を得るために市民権取得を申請中だが、米移民法では原則的に永住権取得後、3年後でなければ市民権を取得出来ない。ハヌーシの場合、移民帰化局では「2002年初めまでは、市民権取得の資格が得られないだろう」との見解を示していた。
これについてハヌーシは、「私をサポートしてくれた人々、米国に恩返しをするためにも、米国代表として走りたい。モロッコ代表としては出場しない。もし、市民権が取れなければ、(次の五輪まで)あと4年待つ」と語り、あくまでも米国代表にこだわる意思を明らかにした。
またモロッコからも代表入りの打診はあることを認めたが、「気持ちのうえでは、私はすでに米国人」としてモロッコ代表としての出場は否定した。
ただ、ハヌーシの場合は永住権取得の際に面接を担当した移民帰化局のケースワーカーのミスで発行が1年以上遅れた経緯があり、地元の上院議員らが支援、特例を認めるように働きかけている。
ハヌーシは4月16日のロンドンマラソンに出場の予定。だが、レースまでに市民権取得のメドが立てば、ロンドンをキャンセルして5月7日の米国代表予選会に臨む。
ハヌーシは93年に米国へ移住、97年のシカゴマラソンで2時間7分10秒の初マラソン世界最高記録(当時)で優勝、一躍トップ選手の仲間入りを果たし、昨年10月のシカゴで男子史上初の2時間5分台となる2時間5分42秒の世界最高記録をマークした。



◆小出監督、五輪コース視察は10回予定

女子マラソンの金メダル候補・高橋尚子(27)をシドニー五輪に送り出す積水化学の小出義雄監督(60)が22日、練習拠点となる米ボルダー視察を終え帰国した。滞在した1週間で、5月上旬から第1次合宿を張る現地の新たな住居や練習環境などを徹底的にチェック。「今度は大勝負。ジックリ時間をかけて練習できる」と指揮官は手ごたえ十分。
また五輪コース視察は、ボルダーを拠点に米豪間を往復する形を取り、視察回数も「アトランタのときの有森は7回だったけど今回はもっとやる」と、10回を予定していることも明言した。シドニー合宿も1週間単位で数回行うなど、金メダルどり計画を着々と構築していく。


◆マラソン五輪代表選考方法で陸連が意図説明

日本陸連の桜井孝次シドニー五輪強化特別委員長は、マラソン代表発表の会見の中で「選考基準が分かりづらい」と批判の声が上がっている選考方法についての陸連側の考えを説明した。
選考会を一発勝負にせず、複数対象にしていることについては「一本化は分かりやすいが、メダルを狙えるマラソンになるべくいい選手を送りたいと検討した結果」。世界選手権メダリストに対し、大会前の事前の告知がなく早々と内定を出したことには「厳しいレースの世界選手権を重視する考えがある。その中で活躍した選手に対し、早期内定を出すことが五輪への準備面で有利に働くと判断した。が、今後は選考方法をはっきりとした形で示していく必要もある」と話した。


◆マラソン五輪代表決定、陸連へ女子選考について抗議電話

シドニー五輪のマラソン代表を決めた日本陸連には13日、女子の選考方法について抗議する電話が約50本かかった。
陸連によると代表選手名を発表した午後3時以降に電話が殺到。「選考方法が不透明」「一部の選手に早々に内定を出したことがおかしい」といった内容で、中には声を荒らげる人もいた。陸連のホームページにも同様の意見が多く寄せられた。このところ代表選考を巡る抗議や意見の電話が連日10本近くあったが、13日は特に多かった。


◆弘山1万メートルで五輪目指す

山口と代表を争った弘山晴美(31=資生堂)は、滞在していた都内のホテルで、テレビのニュース速報を見て落選を知った。知人との電話では涙を流したが、夕方には夫でコーチの勉氏(33)と東京・渋谷の岸記念体育会館で記者会見。「(過去の五輪で)代表になれなかった松野(明美)さん、鈴木(博美)さんも同じ年の生まれで…。選考には何も言えない。マラソンでの五輪出場を最大の目標に置いていたので、そのスタートラインに並ぶことができなくて残念」とうつむいた。
今後は1万メートルの五輪代表を目指す。


◆シドニー五輪、マラソン代表決定

日本陸上競技連盟は13日、東京都内で理事会、評議員会などを開き、シドニー五輪のマラソン代表を決定し、発表した
女子は市橋有里(住友VISA)=昨年11月に内定済み▽高橋尚子(積水化学)▽山口衛里(天満屋)の3人
男子は佐藤信之(旭化成)=昨年11月に内定済み▽犬伏孝行(大塚製薬)▽川嶋伸次(旭化成)の3人
注目の女子では3人目の座に弘山晴美(資生堂)を強く推す意見もあったが、最終的には選考レースでの順位・タイムが決め手となり、山口がキップをつかんだ。6人はいずれも初めての五輪代表入り。補欠は、女子が小幡佳代子(営団地下鉄)、男子が小島宗幸(旭化成)。

◆高橋、名古屋国際で五輪切符引き寄せる圧勝

シドニー五輪への最終選考レースを兼ねた名古屋国際女子マラソンは12日、名古屋市の瑞穂公園陸上競技場を発着点とする42・195キロで行われ、高橋尚子(27=積水化学)が、20キロから40キロまでの5キロごとをいずれも16分台で走る“後半型”のレース運びを披露し、2時間22分19秒の大会最高記録で圧勝した。このタイムは弘山晴美(31=資生堂)が大阪国際で出した2時間22分56秒を37秒上回るもので、五輪代表の座へ大きく前進した。
2位には23歳の新鋭、土佐礼子(三井海上)が2度目のマラソンで2時間24分36秒の好タイムをマークして食い込み、3位は大南姉妹の妹、敬美(東海銀行)、ベテランの麓みどり(デオデオ)は最後まで高橋に食い下がる健闘を見せ2時間27分55秒で4位に入る殊勲だった。
(スタート時、晴れ、12度、湿度43%、北東の風2・3メートル)
◆高橋、中間点以降前半を3分以上上回るハイペースでゴール◆
前半は、5キロのスプリットが16分51秒から17分台と、東京、大阪に比べると最も遅いペース。先頭集団の6人は1時間12分40秒で中間点を通過した。
レースが動いたのは22キロすぎ。高橋が一気にペースを上げると、集団にいた選手は次々に脱落。最後まで粘った麓も23キロすぎに遅れ、あとは独走となった。高橋は5キロ16分台のスピードを保ったままゴール。中間点以降は1時間9分39秒と、前半を3分以上上回るハイペースだった。
2位に入った土佐は前半のペースを守り続け、2時間24分台の好タイムをマーク。大南敬も5キロ17分台のペースを保ち、3位に入った。
◆驚異的なロングスパート◆
先頭集団の中で走りながら、高橋は必死に自分にブレーキをかけていた。「これじゃタイムが出ないかな。いや、まだばん回できる。我慢、我慢」。
どうしても2時間22分台でゴールしたかった。五輪代表に選ばれるためには、まずタイムで山口、弘山に並ぶ必要がある。ただし、秒速6―7メートルの強い風が吹いている。向かい風となる前半から全力でいくと、最後までもたないと考えた。終盤になれば、追い風に乗っていける。
22キロ過ぎ。伏し目がちだった目を上げて、しっかりと前を見た。そのタイミングは「体と相談しながら決めた」。ストライドも、腕を振るスピードも、一変した。驚異的なロングスパートが始まった。
17分28秒まで落ちていた5キロのラップタイムが25キロで16分51秒、30キロでは16分16秒まで跳ね上がる。男子選手顔負けのスピードで、最後まで走りきった。
後半のスピード、切り替えの見事さは、とても15か月ぶりのマラソンとは思えなかった。しかも、小出監督によると体調は「一番いい時の8割」だったという。2月下旬には、あまりにも体が重そうなので、1週間ほど練習を半分に減らしたほどだ。
相次ぐ足の故障や左手首の骨折。好記録の続出する代表選考レース。トラブルや重圧と戦いながら、「自分自身とおれを信じろ」という小出監督の言葉だけを頼りに、高橋は走ってきた。その精神力。
もともと日本の女子マラソンに高速化の時代を切り開いたのは、高橋だった。その2度の日本最高記録の更新が、すべての選手を刺激し、勇気を与えてきた。高橋は、だれもが認める、そして待ち望んだ五輪代表だった。
[順位/氏名/タイム]
1位:高橋尚子(積水化学)2時間22分19秒
2位:土佐礼子(三井海上)2時間24分36秒
3位:大南敬美(東海銀行)2時間26分58秒
4位:麓みどり(デオデオ)2時間27分55秒
5位:大南博美(東海銀行)2時間28分32秒

◆元男子やり投げ五輪代表選手の吉田雅美氏死去

吉田雅美氏(よしだ・まさみ=元陸上やり投げ五輪代表選手)7日午後4時ごろ、急性心不全のため東京都の自宅で死去、41歳。葬儀・告別式は10日正午から生家である和歌山県の実弟吉田静夫(しずお)氏宅で。喪主は静夫氏。
84年ロサンゼルス五輪で同種目日本人初の入賞となる五位に入ったほか、88年ソウル、92年バルセロナと五輪三大会連続出場。90年北京アジア大会では金メダルを獲得した。引退後は指導者となり、日本陸連強化委員会投てき部長を務めていた。
私がバリバリで競技をしていた頃に、全盛期から、引退、という方でした。非常に惜しい方をなくしました。

◆佐藤清治、五輪A標準突破を目指してメキシコ合宿

中距離界のホープ佐藤清治(18=佐久長聖高)が、シドニー五輪代表権獲得へ16日からメキシコで高地練習に入る。進学する順大の合宿に帯同するもので「スピードと基礎体力、心肺機能を高めたい」と、6日の卒業式後に話した。昨年5月に日本歴代2位の3分38秒49をマークし、五輪B標準(3分39秒50)は突破したが、A標準3分36秒80はクリアしていない。日本陸連は将来性を買って五輪に派遣する意向を示しているが、佐藤自身の目標は違う。
「(予選落ちした)世界陸上のこともあるので、A標準を切って出たい。海外で活躍できるランナーになりたい」
世界で勝負できる体をメキシコでつくる。

◆びわ湖全日本女子競歩、二階堂香織が初優勝

第17回びわ湖全日本女子競歩大会は5日、大津市の皇子山陸上競技場で行われた。トラック五千メートルに35選手が出場し、2回目出場の二階堂香織(サニーマート)が日本記録保持者の三森由佳(綜合警備保障)をかわし、22分53秒01で初優勝した。3位には上川亜矢(東京女体大AC)が入った。
(1)二階堂香織(サニーマート)22分53秒01(2)三森由佳(綜合警備保障)23分01秒57(3)上川亜矢(東女体大AC)23分19秒21(4)小西祥子(初芝高)23分22秒55(5)森彩子(国士大)23分45秒88(6)川津登志枝(九州女学院高)23分47秒60(7)栗原美香(大教大)23分53秒64(8)宇井菜那(千葉大)24分15秒45

◆福岡国際クロスカントリー結果

福岡国際クロスカントリー(5日・福岡海の中道海浜公園)
注目の一般女子(5キロ)は、ユーリア・オルテアヌ(ルーマニア)が16分19秒で初優勝。最後まで競り合った川上優子(沖電気宮崎)は最後1秒差で競り負けての2位だった。女子マラソンでシドニー五輪代表に内定している市橋有里(22=住友VISA)は、昨年8月の世界陸上以来189日ぶりのレースとなったが、浜田安則コーチ(53)の設定タイム通りの16分40秒で走りきり7位に入った。昨年末から取り組んだ下半身強化により、走りにも力強さが出てきた。
ジュニア女子(4キロ)は藤永佳子(長崎・諫早高3)が終盤追込まれたものの、田顔朋美(須磨学園高1)、阪田直子(立命館宇治高2)らを降して13分00秒で独走の2連覇を達成した。
一般男子(10キロ)は瀬戸智弘(鐘紡)が29分33秒で後半独走のV。日本人選手としては12年ぶりの優勝となった。ジュニア男子(8キロ)は村田義広(鎮西高)が制した。
◇市橋、189日ぶりのレース
「今まで少し、のんびりやりすぎちゃって……」
昨年8月の世界選手権マラソン以来のレースだった市橋が、久しぶりに笑顔を見せた。左足甲に違和感を覚え、先月の千葉国際クロカンを直前になって辞退。周囲を不安がらせた五輪代表が、189日ぶりの実戦で復調を印象づけた。
「久しぶりに緊張した」らしく、スタートで集団をうまく抜け出せなかった。
だが、ゴール時の16分40秒は、設定していたタイムとぴったり。「上出来。今の力では十分に走れたと思う」と納得顔で、15日から約1か月の中国・昆明合宿での走り込みに、意欲を見せていた。
◇藤永、高校最後に有終の美
筑波大に今春進学する藤永は「高校最後のレースに、有終の美で終わりたかった」としんみり。終始独走で、昨年のインタハイ、国体とタイトルを奪われた阪田(立命館宇治高)に借りを返したが、本人は「最後に自分らしい走りをアピールしたかっただけ」という。地方の県立高校から、挑戦し続けた3年間を振り返り
「母校は誇り。将来は先生(松元利弘監督)のような指導者になります」。
[レース結果]
▽一般男子(=10キロ)(1)瀬戸智弘(鐘紡)29分33秒(2)山口(NEC)29分55秒(3)岩佐(大塚製薬)30分4秒(4)河野(スズキ)30分15秒(5)榊枝(順大)30分22秒(6)カビル(仙台育英高)30分23秒
▽一般女子(=5キロ)(1)ユーリア・オルテアヌ(ルーマニア)16分19秒(2)川上(沖電気宮崎)16分20秒(3)市川(JAL・AC)16分29秒(4)渋井(三井海上)16分30秒(5)熊坂(第一生命)16分31秒(6)吉松(東京陸協)16分33秒
▽ジュニア男子(=8キロ)(1)村田義広(鎮西高)24分35秒(2)加藤(土岐商高)24分38秒(3)高見沢(佐久長聖高)24分39秒
▽ジュニア女子(=4キロ)(1)藤永佳子(諌早高)13分00秒(2)田顔(須磨学園高)13分07秒(3)阪田(立命館宇治高)13分10秒

◆びわ湖毎日マラソンでフィスが連覇。日本人最高は川嶋の2位

シドニー五輪男子マラソン代表の最終選考レースとなる第55回びわ湖毎日マラソンが5日午後0時30分から、大津市の皇子山陸上競技場を発着点とする42・195キロのコースで行われた。昨年優勝のマルティン・フィス(スペイン)が2時間8分14秒で連続優勝したが、五輪切符を目指す日本選手では、川嶋伸次(旭化成)が2時間9分4秒で2位に入り、昨年の福岡国際で小島宗幸(同)がマークした2時間9分9秒の記録を上回った。また、初マラソンの佐藤敦之(早大)が昨年の大会で藤田敦史(駒大、現富士通)がつくった学生日本最高記録を17秒短縮する2時間9分50秒をマークし、学生として初のサブテンを達成して4位に入賞した。佐藤は新人賞を獲得した。
前半からハイペースの展開になったレースは、30キロ過ぎから川嶋・フィスの小刻みなスパート合戦となり、33キロ過ぎからフィスと川嶋の一騎打ちになった。38キロ付近でフィスが川嶋を突き放し、以後は独走で連覇のゴールに飛び込んだ。川嶋は粘り強い走りで突き放された後も大崩れせず、自己記録と小島が福岡で出した記録の更新を共にやってのけた。佐藤は学生としては史上初めて2時間10分を切り、マラソン界の新星誕生を印象づけた。
男子のマラソン五輪代表には、すでに昨年の世界選手権銅メダルの佐藤信之(旭化成)が内定しており、残る枠は2つ。2月の東京国際で犬伏孝行(大塚製薬)が2時間8分16秒の好タイムで4位に入って、ほぼ“当確”の状態にある。三人目として、小島に代わって川島がにわかに注目されてきた。
男女のシドニー五輪マラソン代表は今月13日に、日本陸連の理事会、評議員会で決まる。
ちなみに、Wackyの後輩−旭化成の佐々 勤選手(旭化成)−は2時間13分14秒で11位。惜しくも自己記録の更新は逃しましたが本当に良く頑張ってくれました。
○川嶋−最後の挑戦で結果を残す
「最後の挑戦」で、シドニーへの道が見えてきた。
五輪代表選考会を兼ねた5日のびわ湖毎日マラソン大会で、川嶋伸次選手(33=旭化成)が2時間9分4秒の好記録で2位に入り、代表の有力候補に名乗りを上げた。男子マラソン界では世代交代が進み、チームでも川嶋選手は「おやじ」と呼ばれる。だが引退の危機を何度も乗り越え、「最後のレース」の覚悟で臨んだこの日は自己ベストを1分3秒も縮めた。「おれはまだ成長している」と自分の力に驚き、「もう、おやじとは呼ばせない」と笑顔を見せた。
初めてのマラソン五輪代表を目指す川嶋選手が仕掛けたのは30キロ過ぎ。優勝候補のフィス選手の機先を制するように前へ。36キロを過ぎてフィス選手に離されたが、「オリンピック、オリンピックとつぶやいて自らを励まし続けた」という。そしてゴール。気合の走りは最後まで衰えなかった。
日体大卒業後、入社した旭化成の宗茂監督から「2時間9分台を最初に出すのはこいつ」と期待されながら、伸び悩んだ。1993年夏には引退を決意。埼玉の大学の女子陸上部監督に再就職を決めたものの、あきらめ切れずに撤回した。
96年のアトランタ五輪では代表の補欠。調子が上向くとアクシデントが襲う。昨年2月に交通事故、同10月には練習で痛めた足首を手術。手術後の練習ではスピードが戻らず、「このまま終わるのでは、と落ち込んだこともありました」。
バルセロナ、アトランタ五輪で銀、銅メダルに輝いた女子マラソンの有森裕子選手(リクルートAC)は大学時代の同級生。交通事故の後、「お互い頑張りましょう」と手紙を送ってくれた。温かい気配りも川嶋選手を奮い立たせた。
チームで最年長の川嶋選手だが、後輩から教えられることが多い。「若手は常に考え方が前向き。調子が悪いと練習を切り上げ、無駄な事をしない姿勢を盗みました」。後輩の練習方法でも、メンツにこだわらずに取り入れた。大会2週間前には妻ちはるさん(33)に「自分勝手にさせてもらう」と告げ、自宅を出た。会社の独身寮に泊り込み、調整を続けた。
今回のタイムで、シドニー五輪の「代表候補レース」では同僚の小島宗幸選手(24)と肩を並べた。だれが選ばれるかは13日に決まる。「帰ったら(小島選手に)『譲ってくれよ』と言おうかな」。川嶋選手はさわやかに笑いながら、冗談を飛ばした。

◆市橋、精神面鍛え今年初レース前の会見

女子マラソンでシドニー五輪代表に内定している市橋有里(22=住友VISA)が、行き先を当日に決める「ぶっつけ本番」合宿で精神面を鍛え、今年の初レースに臨む。今日5日、昨年8月の世界陸上以来189日ぶりのレースとなる福岡国際クロカン(国営海の中道海浜公園)の一般女子(5キロ)に出場。4日、福岡市内での記者会見に出席した。
左足甲の違和感で欠場した先月20日の千葉国際クロカン後、市橋は同24−29日まで屋久島で合宿を行った。
浜田安則コーチ(53)によると、合宿地は当日に決定。羽田空港で空席のあった函館と屋久島のうち、浜田コーチが屋久島を選び、宿泊先も現地に到着してから予約した。緊張感あふれる合宿に市橋は「(12月6日−1月7日の)ニュージーランド(合宿)も同じでした。最初は戸惑いましたけど、慣れました。大会前に何かあっても大丈夫ですね」とメンタル面のプラスを強調した。左足甲に違和感はない。
「力まずに走りたい」
久しぶりのレースに目を輝かせていた。

◆サニックス女子陸上部副監督に佐々木精一郎氏就任

サニックス女子陸上部(福岡、重松森雄監督)は1日、男子マラソン元日本最高記録保持者の佐々木精一郎氏(54)が、4月から同部副監督に就任することを明らかにした。佐々木氏が現在総監督を務めている天満屋女子陸上競技部(岡山)からは、1995年世界選手権女子マラソン代表の小松ゆかりなど3選手も移籍する。