拒否可能ですが苦情不可です

当然のお断り
ミントを攻略していないとなにがなんだか解りません。

 早めの海水浴から数ヶ月……、やっぱりまた海岸物語で働いている。
 アニキは相変わらず謎に包まれていけど、それもまた楽しい……。

 そんなある日……。
「お〜い、望月ぃ。 朝飯だぞ」
 そう呼ぶアニキの声でヘラを洗っていた手を止める。
「うぃ〜っす」
 大きく返事をしてやきそば用のヘラを洗い上げアニキのいる本館の前へと向かう。
 若干酔いの残る体で少しふらつきながらもアニキの元へたどり着く。
「特盛カルビでいいんだよな」
 アニキはそういいながらこれまた自作のテーブルに丼を置いた。
「ういっす」
 朝から特盛カルビとはずいぶんヘビーだが極貧生活の俺には貴重な肉だ。
「うわ……」
 今日はアニキの作ったカルビ丼がご飯にいたるまで辛い味付けになっている。
 ……この辛さは、唐辛子系だな。
「アニキこれめちゃくちゃ辛いっすよ」
「そんなわけあるか……うわっ辛!」
 アニキもその辛さに驚く。
「すぐ作り直す!」
 と焦るアニキに、
「この位の辛さ、あんまり気にならないっすよ」
 といいながら丼の中身を口に掻き込んだ。
「望月、すまない」
 なんとなく、アニキの元気が無いかも。


 ライフセーバーたちとの宴会が終わったの朝。
 どんなに飲んでも平気だったアニキが朝になっても起きない。
 揺すってみると目を開いたけどアニキの目がいつもと違う色をしている
 ような気が……?
「ど、どうしたんですかアニキ?」
 アニキはゆっくりと口を開いた。
「省電力モードだ」
 アニキの口から出た言葉だったけど、機械的で無機質な発音からは、
 とてもアニキ自身が喋ったものとは思えない。
 ……そしてしばらくすると、「ピーピーピー」という聞いた事のない
 電子音が部屋に響く。
「自己修復モードを開始する」
 そう、アニキ自身が喋った。
 ……。
 その後、アニキは微動だにしなくなった。
 そう言えばアニキは耳が長かった……。
 アニキもストロベリィーフィールズ製のメイドロボだったんだ。
 いざメイドロボを扱う立場に立って知らないことが多い事に
 気がつかされた……。
 ふと思いつきアニキの部屋に飛び込んだ。
 必ずマニュアルがあるはずだ……。

 飛び込んだアニキの部屋はレースのカーテンと刺繍であふれていた。
 内装自体は木目の野性味あふれる様式なので違和感がすごい。
 テーブルにはヨーロッパ風の茶器と紅茶の葉が置いてあった。
「とにかくマニュアルだ……」
 そうつぶやくと本棚へ向かった。
 ……初めての刺繍
 ……紅茶の歴史
 ……パッチワーク図鑑
 ……マンハッタンの完全攻略
 この事態とは関係のない本が並んでいる。
 下へ下へとあせりながら目線をうつして行くと……あった!
『RMF−12取扱説明書』
 大急ぎで『自己修復モード』の欄を読むと、「身体若しくは
 プログラム部分に重大なエラーが発生した際に、自動的にモードに
 入ります。次の変化が現れるまでしばらく触れたりしないでください。
 としか書いてない。
 何にも出来ない自分に苛立ちながら、アニキの元へともどる。

 するとピピピという音ともにアニキの目に光が戻る。
「も、望月ぃ……俺は」
 そう言って立ちあがろうとするアニキだったがふらついてしまい
 また座り込んでしまった。
「アニキ、無理しないでください」
 望月が支えるしかなかった。
「とりあえずアニキはベットに横になってください」
 そう言ってゆっくりとアニキの部屋へアニキを支えながら歩いた。

「俺ったら、バイトの世話もするはずなのに、バイトに看病されるなんて
 笑っちまうな」
 そんなアニキに
「いやいや、いつも世話になってますし、たまには立場が逆になるのも
 いいんじゃないすか」
「こんなに望月がやさしくしてくれるんなら、ずっと病気でもいいな」
「なに言ってるんですか、俺はアニキのためならなんでもしますぜ」
「はは、冗談だ」
 アニキが力なく笑う。
「……そうだ、病気のときはやきそばって相場が決まってるんすよ」
 とやきそばを作る事にした。
「ちゃんと横になっててくださいね」
「おう」
 ……。
 ………。
 ロボットが病気になったときに、何が効くのかなんて全く分からない。
 だからこそアニキにヘラ捌きを音で感じてほしい。
 最悪の事は考えたくないけど、メイドロボに対する知識がそれを
 否応なく連想させる。
 教えられたことを一つ一つ思いだし、豪快にヘラを振る。
 鉄板に滴り蒸発するソースの音と頬を伝って落ちる涙が
 鉄板を焦がした。

 皿にやきそばを盛りベットの脇まで行ってみると、さっき部屋を出る
 前と違い、アニキが苦しそうにしている。
 どうやら熱が高くなっているらしく、顔色が熱っぽくなっている。
「どうしたんすかアニキっ、大丈夫っすか?」
「うーん……」
 アニキは意識が朦朧としているようだ。 容態が急に悪化してきている。
 話し掛けても、どうやら喋ることさえできなくなっているみたいだ。
 慌ててコンソールであるノートパソコンを立ち上げると、
『システムエラーNo.9999』と表示されている。
 慌てて取説を開いた。
『システムに重大なエラーが発生している恐れがあります。
 サービスセンターに連絡してください。
 根本的な修理が必要になります。修理後、記憶が残っている可能性は
 ほぼありません。
 あと少しでシステム全体が活動を停止しますので、最後の言葉を掛けて
 あげて下さい。 残りのシステムリソースを、すべて会話に充てる
 ための操作は以下の通りです……』
 ……。
 …………。
 なんだって?
 恐れていた最悪の事態になっていた。
 このエラーの意味はもう分かっている。
 もう終わりってことだ。

 俺はアニキとの最後の会話にかけた。
 しゅう、という音とともに、心なしかアニキの苦しそうな表情が和らぐ。
 そのまま待っていると、アニキがぼんやりとまぶたを上げた。
「アニキ、聞こえますか?」
「……ああ」
「このまま、アニキを修理に出すことになっちゃいました。
 だから、少しだけ話をしようと思って」
「やっぱり修理か。……でも、このままよりは早く直ってしまわないと
 シーズン終わっちまうからな」
「そうっすね。アニキのヘラ捌きをもう一度教えてほしいっす。
 それにログハウスも作りかけですしね」
「そうだな……」
 アニキがふと天井に目線を移しつぶやく、
「……たぶん、ヘラ捌きもログハウスも覚えてないだろうけどな」
 ……。
 …………。
「……やっぱり知ってたんすね」
「自分の体のことだからな」
「でも、戻ってきてからもまた、がんばってくださいよ。
 作りかけのログハウスもそのまま雨風にさらしておきますよ」
「ハハッ、それじゃ、また作り直しになるぞ」
「なら早く戻ってきてください。 ……そうだ、さっきのやきそば
 食べられますか?」
 テーブルの上に置いたやきそばを再び手に取り箸を持つ。
「おまえの甘いヘラ捌きで作ったやきそばなんて食えるか……」
 弱々しい声でアニキは言った。
 それが強がりであることは分かっていた。
「やっぱりアニキは厳しいっすね……」
 手に持っているやきそばの皿に涙が落ちる。
「望月ぃ、なくんじゃねぇよ」
 弱々しい声でアニキは言った。
 その言葉がまた涙を誘った。
 ……。
 …………。
 涙でアニキの顔も満足に見れない。
「……望月ぃ…………」
 アニキがふと手を握ってきた。
「さよなら……だ」
 その言葉に手を強く握り返した……。
 喋ることしかできないはずなのに……手を握ってきた。
 そしてそのままシステムダウンした。


 アニキは意外にあっさりと引き取られた。
 慣れた手つきで梱包され、二人掛りで持っていった。
 アニキがいなくなると、このアニキ王国が広く感じられる。
 一人でヘラをさばいてみてもどこかむなしい。
 海岸でのウケはいいけど……、どこか物足りない。
 数日後、アニキが帰ってきた。
 
「はじめまして望月」
「まずは望月の名前を教えてくれ」
「望月だよ」
「普段はどう呼べば…」
「もっちー」
「わかった、望月ぃ。 これからよろしく頼む。
 次に俺の」
「笠原。……あなたの名前は笠原だよ」
「アニキ、ですね。 わかった。 もう決めていてくれたんだな」
 そして初めてになる設定をする。
 アニキの一つ一つの行動を思い出しながら設定していった。
 ……。
「……誰のものとも違う、自分だけのアニキになりましたか?」
「ういっす」
「これで私は、今日になって初めて世界にたった1台のアニキに
 なったわけだ」
 ……。
 メイドロボットとして答えるアニキがどこか寂しかった。

「望月はやきそばが得意なんだ」
「!」
「やきそば用の鉄板とヘラがあるもんな」
 ……。
 そりゃそうか。 それしかないんだから誰でも分かることだもんな。
 俺は……一体何を期待しているんだろう。
「ログハウスがあるな」
「そうっすね、まだ作りかけですけど」
「じゃあ、俺が続きをやって倒壊したらまずいなぁ」
 大丈夫、基礎はあなたが組んだのですから。
「アニキにはここの管理もしてもらうっすよ」
 アニキ王国の説明をはじめる。

 ……。
「離れであってもちゃんと片付けをするんだ、そうしないと……」
「サービス料がぜんぜん違ってくるんだよな」
「…………え?」
「鉄板もちゃんと洗って花火も片付けないとな」
「アニキ……?」
「どうしたんだ、望月ぃ?」
「温泉ってどうやって掘ったか分かる……かな?」
 その問いにアニキはかなりの時間悩み
「……えと……気合…………か?」
「うん」
「……風邪引いた人には?」
「……やきそばだ……よな」
 そう言うとアニキはハッとして、
「あれ、あれ、俺は……?」
「あの縁石は?」
「俺が夜な夜な…………並べ……た……」
 お互い顔を見合わせて止まる。
 お互いの目に涙がたまる。
「アニキは…………、アニキなんすよね」
「も、望月ぃ〜」


「究極のヘラ捌き、教えてやるよ!」

なっがい割にただのパクリデスね(汗)
アクアパターンも作れますが………、やめましょう。

ココまで読んでくれた方に感謝です。
苦情承知で作っているので苦情自体は一切不可ですが、掲示板にでも何か書いてくださいね。