二式飛行艇

 昭和十三年に九七式飛行艇が制式化となると、海軍は配備と平行してすぐに後継機の開発を川西航空機に指示します。
 試作機の名称は十三試大型飛行艇とされ、昭和十五年には試作機が完成、そして昭和十七年二月に「二式飛行艇」として制式化されました。
 完成した二式飛行艇は飛行艇でありながら大型爆撃機に匹敵するほどの性能を持ち、制式化直後の昭和十七年三月四日に行われた「第二次ハワイ夜間爆撃」では、マーシャル諸島から出撃し途中で伊号潜から給油を受けハワイの米軍基地を攻撃、無事帰還するという初陣を飾ります。また、本来の哨戒をはじめとした各任務でも活躍、その防御性能や速度性能で敵大型機との遭遇戦でも引けをとらず、逆にアメリカの重爆撃機であるB17を撃墜するという武勇伝も残しています。
 この写真では尾翼の記号が「61−085」と判別できます。
 「61」とは海軍第三六一航空隊を示し、本機は鹿児島にあった361空所属機ではないかと思います。

 ちなみに、現存する二式飛行艇は世界中でただ一機、わが国にしか存在しません。
 平成十五年までは船の科学館で屋外展示されていましたが、保存・整備等の問題から防衛庁へ移譲が決まり、平成十五年十二月十七日に譲渡式が行われました。そして、整備を受けながら一般公開が可能な海上自衛隊鹿屋基地の史料館へ移され、永久保存されることになりました。

二式飛行艇一二型
全長28.13m
全高9.15m
全幅38.00m
最高速度465km/h(高度5000m)
航続距離最大7200km
武装7.7ミリ機銃×4、20ミリ機関砲×5、航空魚雷×2 あるいは爆弾最大2000kg

■閉じる■