携帯風速計改一

 風速計には、風を受けて回転する箇所の回転速度を利用して計る風杯型、風圧を利用して計るピトー管型風速計、加熱体が風を受けて冷却することを利用した熱線風速計などがあり、この携帯風速計は風杯型と呼ばれるものです。
 陸上に限らず、艦船においても大気の状態や雲量、風向や風速などの気象状況を観測するために、目的に合わせそれぞれ必要な観測機材が用意あるいは設置されていますが、小型舟艇では全てに搭載されているわけではなく、また、潜航を前提とした潜水艦などではこれらの機材を艦上へ常設することが出来ないため、簡易式のものや格納可能なものが使用されました。
 風速の計測に関して持ち運びが容易なように作られたものがこの携帯風速計です。大正期にはすでに採用されており、「改」はその改良型であることを示します。
 展示の物は海軍で使用されたもので、文字盤に製造会社名と製造年月が刻印されております。計測単位はメートル/秒で目盛は50と2目盛りまであり風速52メートルまでの計測が可能となっています。また、針と目盛数字には夜光塗料が塗られており夜間の計測でもその視認が容易なようになっています。主に、潜水艦の浮上中に行われる気象観測などに用いられました。

風杯部

風速計文字盤
上部風杯で風を受け、この回転により風速を計る。 上部に「風速計改一」および風速単位、下部に製造会社名と製造年月の刻印。

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