陸軍 精密時計

 陸軍の精密時計は、機械に昭和初期に製造が開始された19型・いわゆる19セイコーが用いられ、機械サイズより大型の24型のケースに収められています。
 19セイコーは鉄道時計や交換時計などのほかに、軍用としても陸海軍を問わず航空機や車両等の計器や各種の計測用に用いられていました。
 軍用に用いられている19型の機械で最も多く見られるのは7石型で、時折15石のものが確認できます。
 ただし、15石型が確認できるのは精密時計でも少数で、懐中型や計器時計も含めて通常は7石のものが使用されていました。これは、7石型と15石型では当時の市販価格でもおよそ1.5倍ほどの差があり、また、通常は整備や補給を考え仕様を統一する必要があることからこのようになったのではないかと思われます。

 精密時計は、営内や各部隊で使用している時計の時刻調整を行なうために、標準時刻を測る目的で用いられていたようです。
 陸軍では「精密時計」、海軍では「甲板時計」と呼ばれていました。
 ちなみに、15石型は戦後も何度か改良されながら時刻を測る標準時計として各省庁や時計店などで昭和40〜50年頃まで使用されていました。

裏盤刻印

機械
刻印は「陸軍」および管理番号。竜頭下部の首の部分にも刻印がある。 24型のケースに、19型の機械が用いられている。石数は7石のものが多く用いられているが、15石のものもある。紹介のものは15石の機械が用いられている。

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