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航空機の発展に伴い、単機や少数機で行われていた偵察や戦闘も次第に多数機で行われるようになり、さらに各機・各編隊の合流や航続力の増大などにより航法に複雑な計算が要求されるようになると、当然ながら時間を正確に把握する必要があり、操縦者や空中勤務者は早くから腕時計や懐中時計を持ち込んでこれを行っていました。 帝國海軍ではロンジン社のウィットナーという腕式の時計を採用しこれを航空兵(パイロット)に支給していましたが、これは米国製でありまた国産の時計の精度も向上していることから、昭和十六年にこの国産の航空時計を採用、航空兵に支給を開始しました。 この航空時計は海軍航空兵専用に精工舎(現セイコー)によって製造されたもので、機械は主に懐中時計や計器時計に用いられていた定評のある19セイコーの中3針型が用いられています。 視認性を優先した大きな文字盤には数字と針に夜光塗料が塗られ、夜間でも時刻が読み取りやすいようになっており、文字盤外周は回転するようにできています。 裏蓋には「空兵」と管理番号が、裏蓋の内側には海軍の官給品を示す錨のマークが刻印されています。 航空兵によっては長めのベルトを用いて飛行服の袖の上や飛行手袋の上から、あるいは太腿に巻きつけて使用していたそうです。 |
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機械は19型、出車式中三針 | 裏蓋表には「空兵」及び管理番号が刻印されている。 | 裏蓋内側には海軍を示す錨の刻印。 |