明治十九年制定兵用軍衣袴

 下士兵卒の軍衣袴は、明治三年に制定されたのを初めとして幾度かの改正がありますが、日露戦争を契機としたカーキ色の軍服制定までは、冬用の衣袴を紺絨としていました。

 これは明治十九年制定の冬用の衣袴で、騎兵科を除き下士兵卒まで同一のデザインとなっています。
 肩章や袖章、記名布から、これは歩兵第十七連隊第一中隊所属の歩兵一等卒のものであることが分かります。
 また、検査(記名)印には、製作年のほかにも連隊及び中隊番号、氏名欄があり、この軍衣は明治二十六年製であることが分かります。

 なお、歩兵第十七連隊は明治十九年に秋田に編成された部隊で、歩兵第四・五・十六連隊および野砲兵第二連隊、騎兵第二大隊、工兵第二大隊、輜重兵第二大隊とともに第二師団を編成(明治二十一年五月十四日)していました。

肩章

袖章
 歩兵科は緋絨の地に白色で連隊番号が入る。肩章自体は付け根が上衣に縫い込み式で上部はボタン止め、連隊番号も縫い付け式になっている。
 これは歩兵第十七連隊の所属であることを示す。
 色は兵科を示し、階級は線の幅及び本数で示す。
 これは歩兵一等卒であることを示す。

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