陸軍サーベル型軍刀

 

 帝国陸軍は昭和九年(紀元2594年、西暦1934年)二月に太刀拵の軍刀を制定しますが、それまではサーベル拵の軍刀を使用していました。
 このサーベル型軍刀は指揮刀とは違い、拵がサーベル形状でもその刀身は日本刀となっています。
 鞘の外装は鉄でメッキ仕上げで、柄は白鮫皮巻きで金線が巻かれ、御拳・柄の背には桜花が意匠されています。
 この柄は初期の頃のものはサーベルに準じて片手握り用に短い物がありますが、抜刀した際の使いやすさが考慮され次第に長めのものが多くなりました。
 昭和九年制式以降の太刀型軍刀に対して一般にサーベル型軍刀あるいは旧型軍刀と呼ばれています。
 展示のものは尉官用で、柄背面の彫刻は将官や佐官用は全体的に高彫が施されているのに対し、全体ではなく柄頭にあたる箇所に桜花葉の高彫となっています。
 刀身は古刀で銘は打刀銘で則光、はばきは金鍍金銅はばきとなっています。
 ちなみに、サーベル型軍刀の目釘には黒色、あるいは黒漆仕上げのものが多く見られます。

尉官用は柄背面の彫刻が柄頭にあたる箇所に桜花葉の高彫となる。御拳は桜花紋様透かし、柄は白鮫皮巻きに金線巻きとなっている。 鞘走り防止は鉤爪式、はばきは金鍍金、展示のものは刀身に古刀が用いられている。

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