海軍士官候補生短剣

 

 明治の建軍時期に帝國海軍が制定した短剣は少尉試補、士官候補生、准士官用のもの(以下、候補生用短剣と呼称)と下士官用のものがあり、基本的に士官は帯刀しませんでした。
 明治十六年(西暦1883年)十月に帝國海軍は士官用短剣を制定、候補生用短剣も改定され、一部の意匠が変更となりました。
 続く、大正三年(西暦1914年)に、帝國海軍は将官から候補生までの短剣の意匠を統一、以降終戦まで続くものとなります。
 ここで紹介しているものは、候補生用の短剣で、大正三年に士官用と候補生用を統一する以前のものです。
 外見上、士官用の短剣と異なる点は、柄に兜金に続く背金があるということ、吊輪が吊帯についていることです。なお、士官用には桜と桜葉に加えつぼみも意匠されているのに対し、候補生用にはつぼみは見られません。
 柄は白鮫皮巻きで金線が巻かれ、目釘は桜花がデザインされています。また、鞘は鮫皮漆塗り研ぎ出しで、刀身は無名のものが仕込まれています。  

桜と桜葉がデザインされており、吊輪は吊帯につく。 柄は、兜金に続く背金があり、兜金付近の背に桜と桜葉がデザインされている。

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