海軍軍刀

昭和十二年制定

 

 海軍の新型軍刀はこれまでのサーベル拵の軍刀にかわって昭和十二年(紀元2597年、西暦1937年)十月に制定されたもので、太刀拵となっています。
 この拵の仕上げは黒革漆塗から鮫皮黒漆塗研ぎ出しまで士官の好みによっていくつかの仕上げ方がありました。
 使用される金具類には桜花葉が意匠されています。また、足・帯留(佩環)は通常は2つですが、中期から後期頃のものには1つのものも多く見られます。なお、鞘走り防止の鉤爪はやはり後期頃のものになるとほとんど付けられていませんが、これは必要に応じてあるいは好みにもよるようで、初期の頃のものでも付いているものは比較的少数です。
 形式については上記のほかに、長さ(刃長)52センチ以上、柄17センチ以上、鞘55センチ以上と定められていました。
 これまでのサーベル拵の軍刀に対して太刀型軍刀とも呼ばれています。
 展示のものは、柄は黒漆塗り鮫着、柄巻は菱紙入りで糸巻き太刀等に多く見られる平巻、拵は大粒の鮫皮黒漆塗研ぎ出し仕上げとなっています。金具類は猿手や目貫など上等品が使われており、切羽は大切羽(旭日)、小切羽(菊座・立刻・小刻)で太刀の基本通り四種計八枚です。また、鞘走り防止の駐爪が使用されています。
 刀身は古刀で銘は打刀銘で表に備洲長船祐定、裏には年号干支が入り永正六年(西暦1509年)の作刀となっています。
 全体として、大粒の鮫皮を用いた研ぎ出しの鞘に、刀身の反りとも相俟って豪壮な感じに仕上げられています。

柄は鮫皮黒漆塗りで柄巻きは菱紙入り平巻き、また、鞘走り防止の鉤爪がある。 鞘は鮫皮黒漆磨ぎ出し仕上げで、大粒の鮫皮が用いられている。

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