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西暦1800年代末期から1900年代初頭にかけて無煙火薬の発明とも相俟って自動式拳銃の開発が盛となり、我が国でも南部麒次郎らがこの研究を行っていました。 当時我が軍が採用していた二十六年式拳銃は回転式拳銃で口径9ミリでしたが、これに使用している拳銃弾は自動拳銃には向かないため、使用する拳銃弾から開発されることになります。 これが8ミリ南部弾で、拳銃弾としては珍しく薬莢先端が細く絞られたボトルネック型となっています。これを使用する南部式自動拳銃は明治三十六年(西暦1903年)に完成し、軍用としては四年式(大正四年制式)として海軍に、これの改良型が十四年式(大正十四年制式)として陸軍にそれぞれ制式化されました。 この南部弾は外見上の特徴としては先述のボトルネック型の薬莢であることと、もう一つ、弾頭のかしめ方があげられます。通常は薬莢の縁を平均して絞るように、あるいは一部を帯状にかしめて弾頭を固定する物が多いのですが、南部弾は薬莢の縁を三箇所で点状にかしめる方法をとっています。また、薬莢底部には特に刻印などは打たれておりません。 なお、同時期に開発された南部式小型拳銃は、8ミリ南部弾ではなくやや小型で7ミリの南部弾を使用しています。 8ミリ南部弾は、南部式自動拳銃、十四年式自動拳銃、九四式自動拳銃、一〇〇式機関短銃、試製二式機関短銃などに使用されました。 |
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