三八式実包6.5ミリ小銃弾

 日清戦争時に我が国は十八年式及び二十二年式村田銃を装備していましたが、この時の戦訓により新型小銃の開発が行われることとなり、これに使用する小銃弾の開発に入りました。
 当時は特にモーゼル小銃の影響が強くその多くは口径7ミリ強の小銃弾が採用されていましたが、我が国では新型小銃に使用する小銃弾を口径6.5ミリとすることに決定しました。
 6.5ミリ小銃弾は初速が早く弾道が安定して命中精度が高い上に射撃時の反動が少なく、さらに、大口径弾に比べその重量が軽く多数を携行できるなどの利点が多いこともあり、また、たとえ戦争といえども過度の殺傷を行う必要は無いという当時の武士道的な発想とも相俟って決定されたものでした。
 6.5ミリ小銃弾は三十年式歩兵銃と共に三十年式実包として制式化され、当初は銃弾先端が丸みを帯びていました。
 その後、小銃弾の研究のひとつとして、明治四十年に陸軍技術審査部(後の陸軍技術研究所)がS弾(鉛に被甲を施した尖弾で主にドイツで使用)とD弾(単一金属の流線型弾で主にフランスで使用)を研究した結果、S弾の有効性が確認されます。
 これを6.5ミリ小銃弾にも適用し、改めて制式化されたものが三八式実包です。以降、三八式歩兵銃、三八式騎銃(騎兵銃)、四四式騎銃(騎兵銃)、十一年式軽機関銃、九六式軽機関銃、九七式狙撃銃など、各種小銃・機関銃に広く使用されました。
 また、精密射撃を要する狙撃銃や連続射撃が必要な軽機関銃など、使用銃種により射撃時の反動をより押さえる為に、通常より装薬を減らした減装薬を使用する場合もありました。
 小銃への装填は填弾子を使用します。

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