三八式短小銃

 三八式小銃には歩兵銃・騎銃がありますが、実はもう一つのバリエーションとして、短小銃型があります。短小銃型の全長は三八式歩兵銃と三八式騎銃の中間の長さで、九九式短小銃とほぼ同じ長さとなっています。
 形状は三八式歩兵銃の銃身・銃床の先端を短くした印象を受けます。また、照尺は騎銃では小型のものが採用されていましたが、短小銃は歩兵銃と同じものが使用されています。このほかは機関部をはじめ三八式歩兵銃と同じ仕様となっています。
 この短小銃型は、一説には、歩兵銃と騎銃の一本化のために試作された短小銃型とも言われ、あるいは、三八式から九九式への移行期に特定の部隊あるいは特定の作戦用に製造されたとも言われています。
 なお、戦後、終戦に伴って中国大陸に残された三八式歩兵銃の銃身長を切り詰めて中国軍閥が使用した例があり、短小銃型と混同されたりしますが、大抵のものは切り詰めたことによる工作跡などにより区別することができます。

 ちなみに、この短小銃は菊花御紋章が削られており、これは国内で終戦を迎え接収を受けたことを意味します。
 菊花御紋章は、軍の備品から廃品とする場合には削除するように規定があり、終戦時も可能な限りこれに沿った措置がとられました。
 確認できた短小銃型は全て御紋章が削られているため、外地の部隊では使用されていないのかもしれません。

機関部

刻印
 全長が短くなったほかは機関部をはじめ歩兵銃型と変わりはありません。  三八式の文字は残っていますが、その上は表面が削られています。本来はここに菊花御紋章が入ります。

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