四四式騎銃は三八式騎銃の後継騎銃として開発されました。
三八式騎銃は騎兵での使用を前提に三八式歩兵銃の銃身長を取り回しの利くように短くしたもので、着剣の際はこれまでの小銃同様に銃先に銃剣を装着しましたが、この方式だと騎兵装備の他に銃剣も所持しなければならず、その携行や着脱が馬上では不便という声が上がりました。そのため新たに騎兵用として開発されたものがこの四四式騎銃です。
基本的な構造、特にその機関部においては同じ6.5ミリの小銃弾を使用する三八式歩兵銃・騎銃から大きな変更や新基軸の採用はありませんが、着剣装置まわりを一新しているため銃前部が独特の形状となりました。
明治四十四年(紀元2571年、西暦1911年)付けで制式化されたこの騎銃は名が示す通り騎兵用に開発されたもので、その特徴は銃剣にあります。白兵戦において威力を発揮する着脱式の銃剣も騎兵戦闘ではその取扱が不便なため、この騎銃では銃先に折畳式の銃剣が装備されることになりました。
この折畳式銃剣は、展開・格納は銃剣基部左側のボタンを押しながら行い、展開時・格納時ともそれぞれ鉤爪で固定されます。
剣身は通常の着脱式のものとは異なり、その形状は刃のついた剣ではなくピック式あるいはスパイク式と呼ばれる棒状の銃剣となっています。その刃長は約35センチほどあり格納時その先端は銃中央付近、固定式弾倉直前にまで達するため、銃の操作時の障害とならないように銃床につけられた溝に納まる構造となりました。このため、通常銃先下部から格納していたクリーニングロッドは、床尾板から銃床内に格納することとし、分解式となっています。
本来は騎兵用に開発されたものですが、後にその取り回しの良さから砲兵科や挺身落下傘部隊など騎兵科以外でも使用されています。
なお、(四四式騎銃に限ったことではありませんが)製造時期や製造所によって細部に差異があり、四四式騎銃では主に銃剣基部などの形状で前期・中期・後期にわけられ、型が新しくなるにしたがって銃剣基部の取り付け箇所が強固になっていきます。
|