九七式手榴弾

 九七式手榴弾は紀元2597年(昭和十二年、西暦1937年)八月に制式化された手榴弾です。これまでの九一式手榴弾が底部に推進用の装薬室を取り付けて擲弾筒での使用も可能であったのに対し、九七式手榴弾ではこれを設けず投擲専用となりました。
 円筒形の本体の上部には、本体内部に埋まるかたちの起爆筒をもつ信管があり、信管筒側面の小さな穴は信管作動中の煙を逃がす為の物です。
 擲弾筒での発射も考慮されていた九一式手榴弾では遅延時間七〜八秒の信管が使用されていたのに対して、九七式手榴弾では四〜五秒の信管(曳火手榴弾九七式信管)が使用されており、九一式手榴弾との誤用を防ぐ意味も含めて本体底部に「延期秒時四・五秒」と書かれた標識紙が張られていました。
 信管内の撃針は、通常は不用意に雷管を叩かぬように信管上部の撃針の覆いと共に安全ピンで固定されていますが、安全ピンを引き抜いただけでは撃針が雷管を叩くことは無く信管は作動しません。作動は安全ピンを引き抜いてから信管上部を硬い物に打ち付けることにより、信管筒内の撃針が雷管を強打して作動、四〜五秒後に起爆剤の着火により本体の炸薬が炸裂となります。

手榴弾上部

手榴弾下部
上部の赤い塗装は実弾を示す。信管筒側面の小さな穴は信管作動中の煙を逃がす為の物。 「延期秒時四・五秒」の識別紙。薄れているが「秒時 ・五秒」の文字が判別できる。(底部の穴は合法処理の加工跡)

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