九九式短小銃

全長

112センチ

口径

7.7ミリ

装弾数

5発

 三十年式歩兵銃、三八式歩兵銃開発当時は初速が早く弾道が安定して命中精度が高い、同じ携行弾数であれば大口径弾に比べ重量が軽く兵の負担が軽いなどの利点により、帝國陸軍では6.5ミリ小銃弾を採用していました。
 しかし、支那事変の頃になると戦術の変化や、諸外国の小銃がより大威力の小銃弾を使用するようになっている事などもあり、6.5ミリ小銃弾では若干威力不足が否めなくなってきました。
 そこでより威力の大きい7.7ミリ小銃弾を使用する小銃の開発が行われ、紀元2599年(昭和十四年、西暦1939年)に制式化されたのが九九式小銃です。
 九九式小銃は採用時、長さが三八式歩兵銃とほぼ変わらない物と15センチほど短い物とがあり、強度や射程距離、命中精度などどちらもほぼ同等であるため、後者が九九式短小銃として制式化されました。そのため、銃身長の長い九九式小銃(長小銃)も存在します。
 三八式歩兵銃では製造に際して、最終的には一丁一丁部品を調整して組み立てていたこともあり、同じ三八式歩兵銃同士でも部品の交換が出来ない場合がありましたが、九九式短小銃はこの点を改善し部品の互換性がはかられています。
 また、銃身命数を延ばすために銃身内にクロームメッキを施し、さらに射撃時の安定性を増すための単脚の装備、航空機の発展を考慮した対空照尺の採用など、当時の水準から見ても優れた小銃でした。
 この対空照尺ですが、小銃での対空射撃は効果が期待できず無駄な装備等といわれることもありますが、実際は小銃を用いた対空射撃は小銃射撃術のひとつとして位置付けられ、各国でさまざまな研究が行われていました。当時だけでなく現在の教本でも小銃射撃の一つとして載せられています。そして対空射撃を行うのであれば、その際の照準が容易であるようにと装備されたものが対空照尺でした。
 通常は複数で同一目標に向かって射撃するため、当時の防弾設備も無く場合によってはまだ布張りの航空機にとっては(すべてが命中するわけではありませんが)機関銃の掃射を受けたのに等しい被害があるとの事で、実際に撃墜例もあります。
 もちろん使用頻度はそれほど多い訳ではなく、後に生産性向上のため対空照尺や単脚を省いた物も生産されています。
 この他、九九式短小銃の派生型には照準眼鏡を装備した九九式狙撃銃や、空艇用に薬室前後で二分割できるようにした二式小銃があります。戦後は、使用弾種を7.62ミリ30−06小銃弾に変更し自衛隊でも使用されました。

刻印

単脚
 菊花御紋章とその下に横に九九式  射撃時の安定性を高めるために単脚を装備しており、これは単脚を展開したところです。

照門

銃口部
 通常はこの状態で照門と照星をあわせ照準をつけます。  銃口上部に照星、下部にクリーニングロッド、着剣装置、その後部の小さい四角の部品がクリーニングロッドの固定ボタン。

照尺

遊底覆い
 遠距離射撃時は照尺を立てます。また、対空射撃時は同様に照尺を立て左右に展開し、目標の速度に応じた目盛りと照星で照準を合わせます。  遊底にかぶせ排夾、装弾時に遊底と共に動作し、機関部を砂塵等から保護します。

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