(2002年全日本Mac系大忘年会)

統合型3Dグラフィックソフトウェア

Carrara Studio 2J + Vector Style

carrara_package (画像はcarrara.jpより引用)
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CARRARA日本語版
<販売元> 株式会社イーフロンティア
<発売元> 株式会社ホロン
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このソフトについて全く知らなかったのだが、たまたまジャンケンで勝ってしまったのでレポートを書く事になった。細かい事情を書くと、パッケージはその場に無かったので後日(1月半ば)に届けられたのである。

当初わかっていたのは「HOLONのCARRARAというものらしい」という事のみ。「ホロンと言えば不気味なパッケージのLinuxを売ってた所かなあ…」などと考えつつ、とりあえずgoogleで「holon carrara」と入れて検索。

ZDNetの製品紹介記事を掻い潜って「CARRARA日本語版Webサイト」なるサイトまで辿り着くと様々な機能の事が書かれていたので大雑把に理解できた。

「…これは3DCGソフトだ!」

と。そのページはHOLONによる公式サイトでupdaterなどもここで提供され、またコミュニティページにはユーザー同士の交流の為にメーリングリストが用意されて気軽に質問や情報交換などができるようになっている。

現在、製品のラインナップと価格(*1),(*2)は、
「Carrara Studio 2J + Vector Style」(\59,800)
「Carrara Studio 2J」(\39,800)
「Carrara Studio 3D BASICS」(\9,800)
という3タイプのパッケージがリリースされている。
それらの違いは機能比較ページがあるので参照すれば一目瞭然、何かが違うのだとわかる。

packages basics (画像はcarrara.jpより引用)

ちなみに、いずれもハイブリッド版でMac,Windowsともに同一のパッケージで販売されている。

本レポートのものは「Carrara Studio 2J + Vector Style」で、ようするにFlashやIllustratorなどの形式に書き出せる機能付きのものらしい。 (余談だが、届いてみたら"Vector Style"付だったので、ちょっと驚いた。)

で、忘れかけてた頃にパッケージが届けられた。

さて、3DCGの右も左も分からないが、とにかく使ってみる。インストールした環境は、

PowerMac G4(Gigabit Ethernet)
├MPU:PowerPC7400@400MHz
├RAM:1GB
└OS:MacOS X 10.2.3, MacOS 9.2.2

さっそく起動すると、独自のインターフェイスがフルスクリーンで表示され全くもって意味不明。そこで「ヘルプ」より「クイックツアー」なるものを開いてみると、flashムービーによる解説がwebブラウザで表示された。これがなかなか丁寧に出来ていて、やっと「右と左がどっちなのか」はわかったような気がした。(実は、公式サイトに全く同じ物が公開されていた。)

という事で適当に作ってみた。製品の特長を生かすため、Flash,QuickTimeの書き出し機能を試した。

Flash,QuickTime比較(1)
preview1
Flashの書き出しのデフォルト背景が白なのを見落とした。一見して異なるが、元の3Dデータは同一。(→実際に表示(1)

Flash,QuickTime比較(2)
preview2
Flashの背景色を黒に設定する事を覚えた。(→実際に表示(2)

Flash形式へのエクスポートではテクスチャは非対応のため模様や映り込みが 無くなっているのがわかる。影は設定で選択できる。

まず感想 ・レンダリングには時間がかかる。 (メモリはあまり喰わないものの、CPUの処理能力を要求するようだ。) ・3次元データを平面のディスプレイで見るのは苦しい。

疑問な点
・「Carraraについて...」のスプラッシュスクリーン右下記載のバージョンが2.0になっている。(MacOS X版のみの症状。起動時の表示は2.1)
・MacOS 9版では、オブジェクトを選択していなくてもファイルメニューの「エクスポート」がアクティブになっている。ただし、機能はしない。
・MacOS 9版で保存したCarraraファイルがOS X版で開けない。
・OS XではClassic環境でMacOS 9版を動かした方が挙動がわずかに軽い。

あと要望
・WebXport,ShockXportのプラグインがXと9とで交互に対応・未対応が分かれていて、単一プラットフォームで両エクスポートプラグインが使えないのでなんか気分が悪い。
せっかく独自のユーザーインターフェイスを用意して、プラットフォームの垣根を意識させない環境があるだけにプラグインの対応もOS X,OS 9それぞれがWindowsと同等の機能であるように心掛けてほしい。 ・MacOS X用に128x128pixelのかっこいいアイコンを作ってほしい。

<参考>現在の"かっこよくないアイコン"→ icon

結局、このソフトが本来どのようなユーザーをターゲットにして、どの程度有用なものなのかが判断できないので何ともコメントをしがたいが、使っているとだんだん最新最速のPowerMacが欲しくなってくるという危険な副作用を発見した。この手のソフトは芋づる式に出費が嵩みそうなので要注意。

付録【Carraraに関連する情報】

なにしろ、忘年会当日から配達されるまでの間に三週間もあったので色々と調べた。

このソフトの名称
Carrara(カラーラ)はイタリア北部の都市で、古代より大理石の採掘場として有名。古くから彫刻や建材に用いられてきた歴史があり、地場産業は石彫に明るく国際色も豊かであるという。

このソフトの歴史
RayDreamとInfini-Dを引き継ぐ統合3DCGソフトらしい。平成15年3月末日まで両ソフトの登録ユーザーにはCarrara2の優待販売も用意されている。

CarraraはMetaCreationsの製品としてversion1がリリースされるものの一時はAdobe Systemsに売却、その後再びMetaCreationsの子会社Eoviaが引き継いでversion2がリリースされた。最新バージョンは2.0から無償アップデートできるversion2.1で、日本語版は当初から2.1で販売されている。(2003年1月末日時点)

このソフトの話題
「CARRARA日本語版Webサイト」より、
"メーリングリストの過去のログ"

玉石混合の情報が交錯する巨大掲示板群「2ちゃんねる」のCG板より
"Carrara Studio 2 〜part2〜"スレ(2003年1月末日時点)

…他にもいろいろあるが、とりあえずこの辺で終わりにしたい。

2003年1月末日 [Masuki,帝国新聞社]


*1 標準価格(消費税別)
*2 アカデミック版の価格は、
「Carrara Studio 2J + Vector Style」(\39,800)
「Carrara Studio 2J」(\19,800)
(いずれも消費税別)

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