プリント基板の設計にも高速デジタル信号への対応が、迫られています。ただ、対応すればよいというだけではなく、厳しい設計条件にもかかわらず、層構成もできるだけ少なくし、トータル的にできるだけ安くしなければなりません。そのようなことを踏まえて、このページを作成してみました。なにかの参考になればと思います。
抵抗の小さいところから大きいところに向かって信号が流れたとき一部の信号は、抵抗の大きなところに来たときスムーズに通れずぶつかって戻ってきてしまいます。(反射)そうならないためにあらかじめ最初の抵抗の小さいところも大きいところと同じにしてしまいます。(ダンピング)そうすることによって途中でのつっかえを無くします。また、行ったさきが行き止まりだと信号のすべてが戻って来てしまいます。それも最後に出口を作ります。(終端)こうしてすべての部分を信号がスムーズに流れるようにしてあげることを”整合”するといいます。
●プリント基板上での整合
マイクロストリップ線路 | 構成およびインピーダンス計算式は、プリント基板電気特性のページをご覧ください。 | ||||||||||||||||||
エンベデッド・マイクリストリップ線路 |
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ストリップ線路 | 構成およびインピーダンス計算式は、プリント基板電気特性のページをご覧ください。 | ||||||||||||||||||
コプレーナ線路 |
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●プリント基板の誘電率
NEMA記号 | XPC | XXPC | XXXPC | RF−2 | FR−3 | CEM−1 | CEM−3 | G−10 | FR−4 |
材料構成 | 紙フェノール | 紙フェノール | 紙フェノール | 紙ポリエステル | 紙エポキシ | ガラス補強 紙エポキシ |
ガラス基材 エポキシ |
ガラス布 エポキシ |
ガラス布 エポキシ |
誘電率 | 4.7〜5.2 | 4.5〜5 | 4.2〜4.7 | 4.2〜4.7 | 4〜4.5 | 4.8以下 | 4〜4.5 | 4.5〜5 | 4.5〜5 |
上記のように高速信号の周囲にGNDがある場合とない場合とでは、インピーダンスが異なります。ゆえに設計前にどの構成で設計するかを決めてから作業に取り掛からなければいけません。配線後の空いたスペースへのGNDベタいれはGNDベタの切れた部分でインピーダンスの変動が起きかえってよくありません。
信号線の90°配線は、その部分でインピーダンスが下がり反射が発生してしまいます。導通用スルーホールもまた、基板を断面にしてみれば90°配線と同じ条件になってしまいます。ゆえにスルーホールは、なるべく使わないほうがよいのですが、実際の設計ではそうはいきません。ある文献に載っていたのですが、下記の方法がその対処法として紹介されていました。
同軸型のスルーホール | 説明 |
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左の絵のように信号用TH(白丸)の周りに同軸と同じ考え方でGND用TH(青丸)を配置します。 |
●LVDS
2本の配線パターンを通じて、約350mVの超小振幅の差動信号でデータ通信を行います。差動伝送方式では、2本のワイヤを使用して互いに逆向きの信号(電流・電圧)を送ります。仮に同相ノイズが乗ってしまっても差動方式のレシーバは2つの信号の電位差しか見ていないため同相ノイズの影響はなくなります。また、差動信号では磁界を相殺するためシングルエンド信号に比べてノイズが小さくなります。また、終端のしかたもECLやPECLより容易でレシーバの入力端に2本の信号線を横断する形で接続するだけです。
●LVDS規格
規格 | データレート | |||||||||
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●電力の節約
LVDSの負荷(100Ω終端抵抗)で消費する電力は、わずか1.2mWです。また、LVDSデバイスはCMOSプロセス技術で製造されるため静止時の消費電力も低く抑えています。電源電圧+5Vのような仕様にも依存されないので+3.3V、さらには+2.7Vのような低電圧電源にも移行が可能です。
●LVDSのプリント基板上の配線
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(1) 差動ペア間の配線間隔を最小にしなければならない。(図のC) (2) 隣り合ったLVDS差動ペア同士の距離は、Cの2倍以上とらなければならない。(図の2C) (3) LVDS信号と振幅の大きなTTLまたはCMOS信号は、Cの3倍以上または異なる信号層に配線する。(図の3C) (4) LVDS信号間の電気的長さを合わせる。(等長配線) (5) GND層のパターンには、GNDを分割するようなスリットをいれない。 (6) 極力スルーホールの数を少なくする。 (7) インピーダンスの整合をとる。 |