基本の赤梅干しは、塩分18%(梅:2kg、粗塩:360g)です。 減塩ギリギリが塩分10%です(梅:2kg、粗塩:200g)、塩分を減らした分カビのはえる確率は高くなります。 低塩分ソルトで漬ける場合は、塩分50%カットソルトで基本の18%で漬ければ塩分は9%の梅干しになりますが、精製塩のため梅に絡みにくいので焼酎で湿らせてよく絡ましてください。粗塩タイプ塩分40%カットソルトは18%で漬ければ塩分11%の梅干しになります、粗塩のため従来方法で漬けても梅酢はうまくあがります。 ここではカビ対策を考え減塩梅干し13%タイプを紹介いたします。梅干しの起源は平安時代と言われています、当時は赤紫蘇を入れない白い梅干し「関東干し」で、赤紫蘇を加えるようになったのは江戸末期ごろといわれています。
材料: 容器下ごしらえ
梅(南高梅) 2kg 重石
粗塩 260g 竹串
焼酎 1/2C 霧吹き
梅2kg以上で漬ける場合は梅、粗塩を同じ比で増量してください。
◎カビ防止に霧吹きに入れた焼酎で容器、重石を消毒「紫蘇(しそ)入り梅干し」
◎重石は重すぎると梅がつぶれ、軽すぎると梅が梅酢を吸い込んで膨れます
◎万が一カビは発生したらその部分を焼酎で洗い直す。
◎塩の量が少ないとカビが発生しやすいです、カビ防止するには梅酢が出たら上から1/2カップ
程度の酢か焼酎(霧吹きで噴霧する)を加える
◎梅干しは小梅、南高梅が最適です黄色く少し柔らかくなった時がつけどきです
◎土用干しの1日目は梅酢に漬け戻しをして下さい、乾燥してヒカラビ(乾涸らび)ます、 2日目は紫蘇は取り込みますが梅はそのまま夜露にあてますと、シワシワの梅干しになります(梅酢に戻してもかまいませんシワが少ないだけです)。
材料:
紫蘇の葉 2杷(梅1Kgに紫蘇葉100g)
塩 40g
◎少量の塩をまぶしてアク抜きをする
◎紫蘇(しそ)は梅酢が十分上がってから入れて下さい
- 1.どんな容器を使うか:
- 梅干しは強い酸と塩分を伴うので金属素材は避けてください。梅干しの容器としては、ホウロウ容器、漬物用プラスチック容器です、容器の大きさは漬ける梅の量の1.5〜2倍のもの、重石が平均的にかかるもの。中ぶたは平らなもので容器よりひとまわり小さいもの、木製の場合金属の釘を打ってあるものは避けてください錆がでます。
- 2.どんな塩を使うか:
- 自然塩というニガリ(苦塩)を含んだ粗塩を使用します。粗塩は粒子が粗くしとりして梅に絡みやすく、早く梅酢が上がりカビが生えにくく、ニガリが梅の味をまろやかにします。精製塩は、ニガリを含まないのでサラサラして漬け物には不向きです。
- 3.容器や道具はどう消毒するか:
- 容器や道具はそれぞれの方法で熱湯消毒して、乾いてから焼酎を霧吹きでかけて 消毒します。大きめの鍋にはいるガラスビンは金属とゴムを外してタップリの水に入れて沸騰後5分ほど煮立てて消毒し清潔なふきんに伏せて乾かします。鍋に入らない容器は熱湯消毒を、タップリの熱湯をかけて(ガラス容器は温めておく急激な温度差は割れる)ふきんに伏せて乾かす、重石や中ぶたも。
- 4.3日以上たつが梅酢が上がってこない:
- 梅と塩の分量が正確で手順通りなら必ず梅酢は上がってきます。塩の振り方がまずく底に塩が貯まっている、塩は上に行くほど多くふるのがこつです。重石が軽かったり、中央に乗っていない、重石は梅の重さと同量です。
- 5.赤紫蘇を漬ける前にカビが生えた:
- カビが発生するパターンは三つに分類されそれぞれのカビに応じた処置をします。
a.白い膜が張ったようなカビは、先ず梅を取り出して、梅酢は清潔なふきんを二重にして静かに濾してから、煮立て沸騰させて冷まします。梅は熱湯できれいに洗い、日光に当てて乾かし、熱湯と焼酎で、消毒した容器に梅と梅酢を戻し重石を乗せます。もちろん、ふたも重石も消毒します。
b.梅の一部にだけ生えるカビは、梅酢がタップリ上がらず梅酢に浸らなかった部分にカビが発生します。カビた梅は取り出して棄ててください、梅酢が澄んでいれば大丈夫ですが、念のため焼酎を霧吹きで梅酢の表面、ふた、重石にかけてください。
c.梅酢の表面に小さなかたまりで浮くカビは、梅酢も梅も異常なければカビをそっと取り除くだけで大丈夫ですが、念のため焼酎を霧吹きで、梅酢の表面、容器やふた、重石にかけてください、原因の分からない不思議なカビです。
- 6.赤紫蘇漬けをし土用を待つ間にカビが発生した:
- 赤紫蘇が柔らかく煮えた感じになっています、カビが散らないように注意して赤紫蘇は棄てます。カビが梅酢に及んでいるときは、2−aカビと同じ処置をしてください。
- 7.土用干し中に雨に当たってしまった:
- すぐに、水か、お湯で洗い流して、ざるにあげて水を切り、日光に当てて乾かしてから梅酢に戻し、干し直して下さい。土用干しの時は雨が降りそうだったらすぐに取り込んでください。
- 8.土用干しが完了し保存中にカビが発生した:
- 少ない塩分で漬けた場合に発生します。塩分13%以上ですと発生しないはずですが、カビの原因は色々ありますから特定出来ません、カビた梅は全て棄ててください。よい梅は消毒した容器に移して冷蔵保存してください。
- 9.梅干しが出来上がったが思ったように仕上がらない:
- a.柔らかく仕上げるには、完熟梅を使用、土用干で太陽と夜露にタップリと当てる、皮や果肉が堅仕上がりは熟度と土用干し不足です。
b.色よく仕上げるには、赤紫蘇のアク抜きが十分でないと色よくそまりません、赤紫蘇の分量で色の濃さが変わります。
c.しっとり仕上げるには、夜露を含んだ早朝に取り込み保存してください、カッラと仕上げるには夕方取り込んで保存してください。
薬用には、「梅実」、「烏梅」、「白梅」の3種類です。 漢方処方は烏梅(ウバイ)Mume Fructusが配合され、 烏梅は半黄色の実を煙りで燻したものをいいますが、最近の国産品烏梅は品質が劣品のものがありますので要注意。成分:
インスタント烏梅は、家庭で作る”梅干しの黒焼き”です、梅干しをアルミホイルに包み種の中まで真っ黒になるくらいまで ガスの火で直火焼きしたものです。カゼの特効薬として愛用されています。
梅実は民間薬として用いられています、梅肉エキスは青梅をすり下ろしてコトコト煮詰めたものです、 青梅1Kgで盃(サカズキ)一杯分ていど出来ます。
果実にはコハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸が含まれています。薬理作用:
その他β-sitosterol、oleanolic、acidがあるといわれています。
未成熟の青梅には、青酸配糖体(アミグダリン、プルナシン)がふくまれています。果肉にはプルナシンのみで、成熟に伴い減少します、種子にはプルナシンとアミグダリンを含んでいます、種子は果肉の数百倍の青酸配糖体を含んでいます、青梅の種子や柔らかい核を食べると食中毒の恐れがあります。
「アミグダリン」と言われる青酸配合体は青酸(シアン)と糖が結び付いた物質で安定しているうちは人体に害はありません、ところが酵素の作用により配糖体が壊れてシアンが独立しますと食中毒の恐れがあります。未成熟の青梅の実には配糖体に作用する酵素が同居して配糖体を壊す可能性があるからです。
この酵素は40度位の加熱で活性がなくなります。梅肉エキスは加熱により酵素の活性をなくして、無害にしています。シアン配糖体とシアンとを混同して考え心配する人がいますが誤解です。パキスタンの地方では梅よりシアンの含有量の多いアンズの実と種を常食として健康食品にしています。その成分がシアン配糖体ではないかと考えられています。
試験管内での実験により下記のような試験結果が得られたという試験報告書があります。 グラム陽性菌、グラム陰性菌の腸内細菌に対して顕著な抑制作用があり。 抗菌と抗真菌作用:ジフテリア菌、ブドウ球菌、肺炎球菌、綿毛状表皮菌を抑制する。 これらの作用は有機酸によるものとなっています。また ヒスタミン誘導性喘息には無効である。(参考:新訂生薬学・・南江堂)薬能:
烏梅は酸と渋です、清涼、収斂作用があり、漢方での効能は、肺を斂、腸を渋し、胃を養い、虫を殺す、それ故 鎮咳、止瀉、津液分泌促進、回虫の駆除作用があり、久瀉、久痢、煩熱口渇、胃酸欠乏、食欲不振、虚咳久瘧、 虫積腹痛の諸症状に用いるとあります。また烏梅肉には擦傷、切傷などの肉芽形成促進作用があるとあります。用途:
ようは、鎮咳、去痰、止瀉、駆虫、収斂薬ということです。
参考:掌中妙薬集、懐中妙薬集、諸国古伝秘宝、妙薬博物筌、和方一万方、秘方録
- 1.梅干しの利用:
- 口内腫瘍、舌の荒れ、歯痛などに梅干しの黒焼きを粉にして、ときにはミョウバンを混ぜて、つける
腹痛、下痢に古い梅干しと塩、蜜を混ぜ、煎じて飲む
風邪に梅干しの黒焼きを白湯で飲む
船酔い、車酔いに梅干しまたは梅の肉を口に含むと良い- 2.青梅及び種子:
- 青梅の絞り汁を乾かして練薬のようにし、甘草を入れて、慢性胃カタル、熱病、喘息に応用する
諸々の毒消しに、青梅の肉をすり、その汁を煎じつめて用いる
梅の仁(種子)を子供の夜泣きに、2〜3粒煎じて用いる
- 3.花や樹皮:
- 食中毒に紅梅花、萵苣(ワキョ)、藍藻(ランソウ)、各等分を別々に黒焼きにして調合して用いる
吐乳に梅花、辰砂各等分を細末にして乳の先につけ乳児に吸わす
子供の頭瘡に、アカザ、松の木の皮、梅の木の皮、杉の木の皮を黒焼きにしてつける
- 4.梅酢を用いる:
- 脚気に鬱金(ウコン)の粉を梅干しの酢でのばしてつける
なまず(白斑)に知母(チモ)、シノネ(ギシギシの根)を粉にして梅干しの酢を少し入れつける
火傷に梅酢を早速つけるとよい
梅肉エキスの作り方
梅肉エキスは青梅1Kgから20gほどです、クエン酸をはじめとする梅の有効成分が濃縮されています。 その酸っぱさは強烈です。100g中...クエン酸(47.5)、リンゴ酸(14.2)、シュウ酸(2.6)、フマル酸(0.1)単位g
有機酸の作用により防腐・殺菌作用で、腸ビブリオやサルモネラ菌という食中毒菌や、 コレラ菌、チフス菌、赤痢菌の増殖を押さえます。コレラ菌は酸に弱ことがわかっています●整腸作用
梅肉エキスに含まれていますカテキンには優れた整腸作用があります、また有機酸が腸のぜん動運動 を正常に保ちます●鎮静作用
梅肉エキスには精神を安定させる働きがあり、ストレスを和らげます●カルシュウムの吸収を助ける
梅肉エキスのクエン酸はカルシュウムの吸収性を高めます、カルシュウムは吸収率が50%以下ですが クエン酸により吸収率がたかまります。●強アルカリ食品
梅肉エキスは強力なアルカリ食品です、酸性になりがちな食のバランスをとります。 血液が酸性になりますと尿酸は水に溶けにくくなり痛風になりやすいです。●肝機能を高める
梅肉エキスに含まれている、ピルビン酸は肝機能をたかめます。梅肉エキスの解毒作用とで 肝機能を活発かさせます。梅は昔から三毒を断つといわれています、三毒とは、食べ物の毒、血の毒、 水の毒を言います●海外旅行には必需品です