信毎タイトル
信毎フロント
長野冬季五輪へ
主なニュース
信州の求人へ
写真グラフへ
市町村の話題へ
信州のインターネットへ
長野市ガイドへ
出版案内へ
花だより

1週間のニュース
10月28日(木)
10月27日(水)
10月26日(火)
10月25日(月)
10月24日(日)
10月23日(土)
10月22日(金)
 
信濃毎日新聞社案内
会社案内
購読案内
広告案内

信毎オンライン
What's New
利用案内

主なニュース|ダイジェスト長野県国内外コラム・社説

10月29日(金)


大桑村に縄文のストーンサークル 環状の住居跡も


 木曽郡大桑村長野の大野遺跡で、約四千年前の縄文時代中期後半から後期初めにかけてのものとみられるストーンサークル(環状配石遺構)が二十八日までに見つかった。ストーンサークルを囲む同心円状に同時代と推定される住居跡も確認。専門家は「これだけはっきりとストーンサークルが確認できる遺跡は県内初。住居跡とセットで見つかったのは全国的にも珍しく、縄文人の精神世界を解き明かす貴重な発見」としている。

 同遺跡は木曽川支流の伊奈川沿いの山間部にある丘陵地帯。ほ場整備事業に伴い、村教委と木曽広域連合埋蔵文化財係が九月末から約二千五百平方メートルで発掘調査をしていた。

 調査区域外のため未発掘の部分もあるが、発掘部分の円弧の状況から、内径約十八メートル、外径約二十メートルのストーンサークルと推定した。サークルの幅は平均約二メートル。この中に三十―五十センチ大の石を中心に、八十センチ大の石までが置かれ、部分的に組み石状態になっていた。数カ所には、石のない開口部のような空白部分があった。石は花こう岩などで、伊奈川周辺から運ばれたとみられる。

 ストーンサークルを取り囲むように、竪穴式住居跡が九カ所あり、サークルの北側には、長さ約十二メートルの直線状列石遺構も見つかった。サークルの内側からは今のところ、数個の石が見つかっただけだが、さらに発掘を進め、埋蔵物を確認する。

 ストーンサークルは、東日本を中心に見つかっているが、時期や地域によってタイプが異なり、祭祀(し)の場や墓地、聖なる中央空間だったなどと考えられている。大野遺跡では、土器や石器は出土しているが、副葬品などの発見は今のところなく、遺跡の性格は明らかではない。

 二十八日に現地を訪れた県文化財保護審議会、県遺跡調査指導委員会の樋口昇一委員は「一部分がストーンサークルと思われる遺跡は県内にも二、三あったが、半分以上出たのは初めて。縄文中期後半という年代のものも東日本初ではないか。環状の住居跡も珍しい」と説明。「こうした遺構が山間地にあるのも驚きで、これだけの石を運ぶだけでも大変な労力だっただろう。何代かにわたり、みんなで守ってきたという感じを受ける」と話した。

 また、県考古学会の桐原健会長は「ストーンサークルを囲む集落は、『死者と生者によってつくられた集落』とも推察できる。縄文時代の精神的な世界を解明する手掛かりになりそうだ」と指摘している。

 調査は十一月下旬ころまで続ける予定。村教委は同月六日に一般を対象にした現地見学会を開く。


主なニュース|ダイジェスト長野県国内外コラム・社説

掲載中の記事・写真・イラストの無断掲載・転用を禁じます。
Copyright 1999 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun