麗らかな春の日の午後。
貴重な貴重なオレのオフ。
たった半日だけど、はじめちゃんと一緒に居たかったから、無理を言ってはじめちゃんに来てもらった。
進級に伴って新しく買い揃えなきゃいけない教材の為に近頃M2の他のバイトにも勤しんでるはじめちゃん。
今日も朝早くから働いてたみたいで、オレのお願いにブチブチ文句を言ってた。
だけど、オレが諦めの言葉を言うよりも早く「しょうがないわね」と言ってくれた。
いつもより遅めのお昼を食べて、それから借りていたビデオを見る。照れるはじめちゃんを説き伏せてオレははじめちゃんを自分の前に座らせて、後ろから抱きしめてビデオを見ていた。
それは古いイタリア映画で───とても綺麗な映像だった。話の内容はよく判らなかったけど、とにかく綺麗な映像だった。
パタン
「?」
オレの手に添えられていたはじめちゃんの手が床に落ちた。と、思ったらカクンと首がぐらついた。
「はじめちゃん?」
小さな問い掛けの返答は微かな寝息。
「……ごめんね、疲れてたんだよね」
小さく耳元で謝っても返って来るのは穏やかな寝息。
オレもつられて大きなあくびをした。
ビデオを消して、テレビを消して、その場にゴロンと横たわる。勿論、はじめちゃんも一緒に。
「おやすみなさい」
言ってあどけなく眠る眠り姫のおでこにキスを1つ。
麗らかな春の日の午後。
貴重な貴重なオレのオフ。
大好きな人と過ごす贅沢で幸せな時間。
おわり
春のうちに書かねばと思っていたSSSです。
大好きな人に抱っこされて眠るもよし。
大好きな人を抱っこして眠るもまたよし。
穏やかな気持ちで春を満喫してみたいです。