不器用甘ったれ独占欲旺盛末っ子総司の日常
「・・・でしてね、それで・・・」
「ええ?本当ですか?」
ぷぷーと吹きだす声。
中村は、男にしては高いその声にぴくりと反応し、庭先に視線を転じた。
「やっぱり・・・」
顔を寄せ、内緒話をするかのように小声で話す二人組。
ひょろりと背の高い男が屈みこむようにして、幾分小さな後姿ににこにこと笑いかけている。
「そこで・・・さんが何て言ったと思います?・・・」
「副長が?わ、皆に教えなきゃ!」
「駄目ですよ神谷さん!あの人ときたら・・・・・・なんですから」
中村は溜息を吐いた。仲がよろしくて結構なことですね、てな感じだ。
(あー馬鹿らしい、早く稽古に行こう)
切ない胸の内を抱え、彼が身を返そうとした時。
ふと沖田と視線が合った、気がした。
反射的に少しだけ身構える。どうもあの男は苦手なのだ。
何考えてるか分かんないし、どこかずれてるし。
二人はまだこそこそと話を続けている。気付かれた、と思ったのは気のせいだったか。
ぼりぼりと頭を掻き、溜息を吐きながら中村は二人に背を向けた。
その時。
「うわ、なっ・・・!」
「しーしーしー!神谷さん、静かに!」
「だって何するんですかいきなり!」
神谷の悲鳴とも取れる声に、中村はうっかり振り向いてしまった。
彼だってオトコだ。恋しい相手の危機に飛び出さない程廃れちゃいない。
・・・そしてあわよくば、なんて下心も、なくはないのだ。
しかし。
「ゲッ!」
彼はそのまま立ち去らなかったことを、激しく後悔した。
(なななんであの二人抱き合ってンだよ!!)
ひょろ長い腕に抱え込まれた身体はやっぱり細くて柔らかそうで、ずく、と胸が疼く。
(ああああああんなことあんなこと、俺もしてぇ〜!!)
よく見れば、神谷は必死に逃れようともがいているのだが、そんなところまで気付くことは不可能だ。
ただその細さと、紅潮した頬の鮮やかさだけが目に眩しい。
「は、なしてください沖田先生!」
「嫌ですよぅ。だって内緒話なんですから、ちゃんとくっついてないと」
「くっつく必要なんてないでしょー?!」
笑いながら羽交い絞めにする沖田の目が、ちら、とこちらを見た。
神谷に気付かれないように、彼の背からわざとらしく手を振ってくる。
(か、確信犯かよ・・・!)
そして涙を滲ませる中村の前で、更に沖田は神谷の耳に顔を近づけ、
「・・・・・・舐めるな助平ヒラメ!!」
「あはは!ちょっと近付きすぎましたかね〜」
中村が「うわああぁぁん!」と泣きながら走り去ったことは、言うまでも無い。
「・・・も、ほんと、離して・・・!」
「と、と、大丈夫ですか神谷さん?」
「大丈夫じゃない〜!」
うえぇ、と泣き出したセイに、総司は慌てて腕を緩めた。
覗き込むと、セイは真っ赤な顔をして目を潤ませている。
「なんでいきなり急にあんなことするんですか!」
「いきなり急にって・・・被ってますよ、言葉」
「そんなとこ突っ込んでる場合じゃない!」
本気で怒り出しそうな表情に、総司は「だって、ねえ」と頬を掻いた。
「ほんとは、姿を見られるのだって嫌なんですから・・・」
「はぁ?!何言ってるんですか沖田先生?!」
「まあまあまあ、済んだことじゃないですか」
「済んでないッ!」
そこら辺に転がっていた枝を拾い上げ、セイが総司にゆらりと近付く。
「ぜんっぜん、反省してないようですね沖田先生・・・」
「わわっ堪忍!堪忍どすえ神谷はん!」
「わざとら京弁なんか遣うなー!」
打ちかかる枝を身軽く避けながら、総司は先ほどの中村の顔を思い出していた。
(ちょっと、衝撃が強過ぎましたかね?)
まあいいか、と前を向く。
「逃げるなー!」
「ははっ!神谷さん、こっちですよこっちー」
だって、恋しいこの人の姿を見られるのを我慢してるんだもの。
自分のものだと主張する位は、大目に見て貰わないと。
「神谷さん、このまま壬生寺までかけっこしましょうか?」
「遊んでるんじゃありません!」
そうそう、取り敢えずの問題は。
セイの機嫌をどうやって直すか、ということだ。
ちょっとだけ考えて、総司は後ろへと声を投げてみた。
「神谷さーん、大好きですよー」
「・・・海へ帰れ黒ヒラメ!」
問題を解決するのは、かなり、かなーり難しそうだ。
こんにちは!【ぶきあま総会】(実は言いだしっぺだった)あかるです。
その節は素敵な作品を御投稿いただきまして、誠にありがとうございました!
このたび9/19を以て私ども【ぶきあま総会】は当初の目標(御題完了)を達成し、
閉幕させていただくことと相成りました。
無事終わらせることができたのも、ひとえに皆様方のおかげと感謝いたしております!
そこで、せめてもの御礼にとこちらの作品を奉納にあがりました。
お納めいただけましたら幸いですvv
サイトへのUPも、もしよろしければご自由に・・・!
ちなみに背景も使って下さる方は★こちら★からご利用ください。
総会の展示は10・31までとなっております。
リンク解除ならびに掲載させていただいた作品に関しては、 メールのほうをご参照くださいませ! お手数をおかけします><;
そして不肖の私ではございますが、今後ともよろしくお願い申し上げます。
本当にありがとうございましたv
ぶきあま(コッソリ)発起人兼管理人・あかる (背景担当)
+++++++++++
【ぶきあま総会】への素敵な!本当に素敵な作品のご投稿、誠にありがとうございました!
ぶきあまは無事に9/19に閉会を迎えることができました。
これも偏に、ご投稿頂いた素晴しき作品のお陰だと、感謝しきりでございますvv
拙きものではありますが、こちらの作品を御礼までにて捧げさせて頂きます。
ぶきあま総会は10/31にて解散の予定ではありますが、ぶきあま総司は不滅!
ウキウキとぶきあまを書き続けて行きたいと思いますので、どうぞ今後共々よろしくお願いいたします!
ぶきあま総会管理人その2 清井 拝 (文章担当)
清井様、あかる様、本当に、本当にお疲れ様でした!
清井様からぶきあま総会のお話を聞いた時、「なんつーステキ企画なんですか!」って叫びましたよ。
そして毎週毎週夢の様にぶきあまな(笑)沖田さんに出会えて幸せでした。
ありがとうございました。
10月31日に完全閉鎖とのこと。
桜の如く艶やかに咲いて、潔く散る。
去り際までも見事なお二人にただただ感服すのみの陸海であります。
お二人には心からの感謝致します。
本当にありがとうございました<(_ _)>。
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