タイトル |
: Re: サービサー |
記事No |
: 40
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投稿日 |
: 2004/03/24(Wed) 16:50 |
投稿者 |
: 山岡 [ID:IA68IesgwsE] |
当初私が申し上げたのは「少なくとも業として譲受・回収はできない」ということです。譲り受けること自体に何等規制がないということも申し上げました。
> 特定金銭債権を譲受しその権利を行使 (支払いを要求) し、その過程において生じた紛争 (払ってくれない)
を訴訟等で解決する。
「支払要求」というのは履行請求ということでしょうか。
お金の貸し借りで考えればよくわかりますが、貸主が支払を請求するということは既に返済に滞りがあるということになります。一般に、遅滞なく返済されている貸金について「返せ」などと請求されることはありません。
よって「返せ」との請求が必要であるということは既に何らかの紛争などの「困難」(事件性)が生じていることになります。
他人から委託を受けて、このような債権(事件性のある債権・事故債権)について「返せ」などという請求をすることは法律事務であり、弁護士以外の者が業としてこれをすることは明らかに弁護士法72条に抵触する行為です。
よって、このような債権(事件性のある債権・事故債権)を他人から譲り受けて「返せ」と請求することは弁護士法72条の潜脱行為であり、これを禁止するのが弁護士法73条です。ご指摘の最高裁判例でも弁護士法72条の潜脱行為については最高裁もこれを問題にしています。
また、貸金を返せと請求(履行催告)したり、債務者と交渉したり、債権に変更を加えたり(リスケジューリング等)、訴訟、強制執行をしたりすることを債権の管理回収といいます。
よって、弁護士でなければ他人の債権について委託を受けて管理回収できないということになります。
またこれにより、弁護士でないものが他人の債権を譲り受けて管理回収することを業とするのは弁護士法72条の潜脱行為であり、弁護士法73条に違反すると言うことになります。
よって、事件性のある債権・事故債権については譲渡を受けることはそれが業であっても誰でも可能ですが、それを業として管理回収することはサービサー以外不可能ですから、サービサー以外が譲渡を受けることは意味がありません。
また、管理回収が必要な債権は原則的に事件性のある債権・事故債権ですから、正常債権については管理回収行為はできないということになります。
以上を踏まえて、サービサーでないものは少なくとも業として譲受・回収はできないと申し上げたものです。
ご指摘の最高裁判例は、上告人であるゴルフ会員権売買業者がその業として正常に買い入れたゴルフ会員権所有者としての正当かつ正常な権利行使として預託金の返還を求めたものであり、言ってみれば、ゴルフコースでプレイする権利と何等変わりのないものです。後にゴルフ場経営会社が預託金の返還を拒否したために訴訟となりましたが、上告人がゴルフ会員権の譲渡を受けた時点では何等紛争はなく、事件性のない債権であり、上告人は訴訟等で解決することを念頭において譲渡を受けたものではない点が弁護士法73条に違反しないと判断された最大の理由と考えます。
荒木さんが例にあげられた特許権の問題も、特許権は債権ではないと思いますが、特許権が移転した段階でなんら紛争がなく、譲受人は特許権に基づき製品を製造する目的で譲渡を受け、その後紛争が生じた場合であれば、当然同様の結果となると考えます。
要は権利の移転時に紛争等困難のあるなしが一番の問題であり、紛争等がある場合でも譲渡を受けることは自由ですが、紛争等を解決する手段は実質的にありませんので、再譲渡若しくは債務者の任意の債務履行以外どうしようもないのではないでしょうか。
ここから、アダルトサイトの債権譲渡を考えてみると結構面白そうですね。
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