| 育まれる想い |
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『俺が好きな人は、そこに映っている人です。』 −告白。− 何時も弟のように思っていた存在。 大志君のお友達。 でも、私の中で、彼の割合はどんどん大きくなっていく。 あの人のことを思うと苦しい。 でもそれは決して不快な気持ちじゃない。 しばらく忘れていた。 人を好きになると言う気持ち。 それを思い出させてくれたあの人。 私はその想いに応えようと思う。 『こうやって来てくれたから。』 −雪。− ずっと待っていてくれた。 クリスマスイヴの夜、1人ここで。 覆い隠してしまうほど雪が積もったのに。 この凍えるような寒さの中なのに。 愛されている。 そして私も彼が愛おしい。 この気持ちをあなたに。 あなたから貰った気持ちをあなたに。 私は彼の想いに応える。 私は彼にキスをした。 『いつもは帰ってるんですよね、何かあったんですか?』 −彼の部屋。− 私は鈍いって良く言われるけれど。 彼も相当鈍い。 何であんな事言うのだろう? 私がここにいる理由なんてたった一つしかないのに。 何でこんな鈍い人を好きになったんだろう。 でも。 好きになったことに理由はない。 好きになったから好きになった。 愛したいから愛する。 彼と二人でこの想いを育てる。 何より自分の抱く不安を消して貰うために。 『お帰り、南さん』 −秘密。− 言わなくちゃいけない。 でも言うことが出来ない。 私は彼を抱きしめる。 人がどれだけ見ていても恥ずかしいと思わない。 今こうやっているときが幸せなのだから。 彼と触れ合っているこの時が大事なのだから。 彼のぬくもり。 彼の鼓動。 全てが愛おしい。 そして。 それが悲しい。 『バレンタインのお返しなんだけど』 −指輪。− 私の指より一回り大きいこの指輪。 でも私の一番の宝物。 彼に全てを言いたい。 でも、言ってしまえばそれは最後となってしまうから。 何でここまで愛しちゃったんだろう。 愛していなければ苦しまなくてもすむのに。 でも、今の私はあの人を愛せないで居ることは出来ない。 だから、私が居たという形を残す。 雪のクリスマス、寒い思いをさせたお詫びも含めて。 私が私の体で測った大きさを元に。 一編み一編みに想いを込める。 『だったら迎えに行く!卒業したら必ず、必ず南さんを迎えに行く!!』 −別れ。− 最後まで言えなかった。 でもこれでいい。 私にはあの人の可能性を潰す権利はないのだから。 あの人のことは私が一番よく知っている。 でも、彼は来た。 たぶん期待もしていたんだと思う。 そうでなきゃ大志君に教える意味はないから。 最後に一目会いたかったから。 そして交差する想い。 私はこの想いを胸に、彼を待つ。 そして月日は流れる。
彼からの電話をとる度に会いたいという衝動が走る。 |
| あとがき |
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南さんのSSです。 |
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