PILOT HI-TEC-C colet(パイロット ハイ−テック−シー コレト)

 
 1.はじめに(ノック式2色ボールペン)

 市販の2色ボールペンには不満な事が1つ有りました。
それは、「黒」と「赤」の2色の組み合わせしか発売していない事です。
3色ボールペンだと「黒」「赤」「青」もしくは「黒」「赤」「緑」の組み合わせです。
4色ボールペンだと「黒」「赤」「青」「緑」の組み合わせです。
最近は「黒」「赤」の2色もしくは「青」を加えた3色にシャープペンシルが入ったものや、線の太さの違う「黒」が複数入っている物もありますが。
 ボールペンの芯(リフィル)は、ほとんどの物で交換が出来ます。(国内メーカー製なら100円未満の単色ボールペンでも交換可能)
ですから「好きな色の組み合わせの芯に入れ替えればいい」そう思われるかもしれません。
しかしながら、芯出しのボタンまでは交換できません。
仮に2色ボールペンでは芯を何色にしようとも「黒」「赤」のままです。
「自分で使うだけですから別にかまわないのでは?」と言われればそれまででしょう。
とは言うものの、なんとなく違和感を感じながら使う事になります。
それに悩まされるのも嫌なので、結局は単色のボールペンを2本持ち歩く事になったりします。
 先日、近所の文房具屋で面白い商品を見つけました。
ボールペンの軸(本体)と芯(リフィル)とが別々に売っているものです。
これだと、自分の好きな色やよく使う色の組み合わせの2色ボールペンを手にする事が出来ます。
そんなボールペンが「PILOT HI-TEC-C coleto」(パイロット ハイテックシー コレト、株式会社パイロットコーポレーション製)です。
この品物、ちょっと名前が長いので以降は「coleto」と言う名称で呼ぶ事にします。
 
 2.coletoの製品仕様

 coletoは、軸(ボディ)と芯(レフィル)とが別売りの2色ボールペンです。
そのため、従来の2色ボールペンとは少し違った特徴を持っています。
 軸、つまり本体についてです。
軸は透明なプラスチック製で中の芯がよく見える構造になっています。
また、持ち手部分は先近くに滑り止めのギザギザが、その上の部分は正六角形にカットされています。
太い鉛筆のような感じです。
また、ペンクリップが装備されており、持ち歩く際に胸などのポケットに差して置く事が出来ます。
一見すると、パイロットが発売している他の2色ボールペンと同じデザインです。
しかしながら、大きな違いが1つあります。
それは「『ペン尻(頭)』の部分が開閉式のキャップである」、という事です。
これはcoletoの最大の特徴で、ここを開けて芯の出し入れを行います。
市販されている2色ボールペンの多くは、芯の交換を行う際には軸の真ん中辺りを外してから芯をひっこ抜き、そこにまた芯を差し込む、と言った手順で行います。
芯の交換に抜き差しをする、と言うのはやってみるとたいした事は無いのですが、手間に感じるものです。
どれか1つの色が書けなくなって、そのままごみ箱行きにしたり、ペン立の肥やしにした、と言う経験のある人は少なくないでしょう。
私なぞ、過去にどれくらいのボールペンをそうやって始末したことやら……。
しかしながらcoletoの場合、ペン尻(頭)の開閉する作業ですから、交換にそれほど手間に感じません。
 coletoの寸法は次の通りです。
全長が約13.855mm(芯を引っ込めた状態)、指がかかる辺りの太さが約10.00mm、重量は約9gです。(未使用芯を2本装着時)
ちなみに、同メーカー発売の類似デザインの2色ボールペン(Pilot FEED・GP2)の寸法は次のとおりです。
全長が約14.400mm(芯を引っ込めた状態)、指がかかる辺りの太さが約11.20mm、重量は約12gです。(未使用芯を2本装着時)
こちらはグリップ部分にすべり止めのゴムがついているので太さと重量にその分だけ加味されている事をお断りしておきます。 数字にすると結構違うように感じますが、実際に並べてみるとそれほど違いはありません。
 coletoの最大の特徴は「自分の好みで芯(リフィル)の色を組み合わせられる」事にあります。
この芯について少し見てみましょう。
まず、採用されているインキの特性です。
これには耐水性と書き味の滑らかさを備えた水性ゲルインク(顔料インク)が採用されています。
このインキは、一般に「中性ボールペン」と言われているものとほぼ同じです。
芯の色は、10色が用意されています。
定番とも言える黒(ブラック)、赤(レッド)、青(ブルー)の他に緑(グリーン)、紫(バイオレット)、ピンク、オレンジ、クリアブルー、ブルーブラック、ブラウンとなっています。
 ここ数年、ボールペンにおいては「線の細さ」を競うような傾向を感じています。
そう言った傾向や売れ筋から決定されたのかもしれませんが、coleto用には0.3mmと0.4mmの2種類の線の太さのものが用意されています。
ですから、10色で太さの2通りと計20種類の芯が用意されている事になります。
それぞれ組み合わせる事により最大190通り(同色同太さの組み合わせを除く)のバリエーションが可能です。
 
 3.使用してみて

 さて、実際に使ってみて、どうでしょう?
感想を大まかに言えば、本体の特徴が「『利点』と『気になる点』を如実に表わしている」となります。
 書き味ですが、ゲルインキの採用で油性ボールペンには無い滑らかな書き味を持っています。
また、顔料を使用した耐水性なので、水濡れによるにじみの心配も有りません。
もちろん、履歴書や役所の書類等の公文書への使用も可能です。
 2色ボールペンにおいては「筆圧を強くすると、ペン先がぶれて書きにくくなる」と言う現象が起こる事が有ります。
この現象に気がついたのは、数年前の事です。
仕事でボールペンが必要になったものの、運悪く忘れてきてしまい慌ててコンビニエンスストアに駆け込んで買った2色ボールペンを使った時に、初めてこの現象にぶつかりました。
後日、手元に有った複数のメーカーの2色ボールペンで確認したところ、大なり少なりこの現象が起こっている事に気がつきました。
しかしながら、coletoについてはこの現象は最小限に押さえられていました。
 ペン尻(頭)の開閉で芯の交換が可能なこの機能、ヒジョーに快適です。
「芯にノックボタンを取り付ける」と言う発想はたいしたものです。
この事で、「軸を1つ用意して必要な色や(ペン先の)太さの芯を差し代えて使う」と言う事が簡単に行えます。
まぁ、こう言う発想は、少々「セコい話」かもしれませんが。
ちなみにノックボタンは芯から取り外せません。
 よく出来ているcoletoですが、気になった部分もあります。
特にその芯についてです。
「好きな色を自由に選んで組み合わせられる」点は、中々のアイデアです。
しかしながら、替え芯の構成には少しばかり不満が有ります。
特に不満な点は「ペン先が細い」事です。
少しくどいですが、ボールペンにおいては、ここ数年「いかに細い線を引けるか」と言う製品の発売競争になっている印象を受けます。
現にボールペンに限らず「細い線の書ける筆記具」は売れ行きも好調の様です。
私も「細い線が書ける」と言う事の恩恵は受けています。
しかしながら「細い線が書ける」つまり「ペン先が細い」と言う事は、状況によっては気を使う事もありました。
私自身、比較的筆圧の強い方です。
そのお陰か、何度かメモを取りながら用紙が切れそうな不安やペン先が折れそうな不安にかられた事が有ります。
また、紙質によっては筆記中に紙が削れてそのくずがペン先についた事もありました。
ボールペンの利点の1つは「筆記に紙質を選ばない」事です。
しかしながら、ペン先が細い事で「紙質を(ある程度)選ぶ」と言うのは皮肉です。
全色とは言いませんが、「黒」「赤」「青」と言った比較的使用頻度の高い色についてはもう少し太目のペン先を用意して欲しいものです。
油性ボールペンでよく用いられる0.5〜7mm程度のものが欲しいところです。
もう1つ気になったことは「芯からペン先の太さの区別が分かりにくい」事です。
ペン先をよく見ればいいではないか、と言われるとそれまででしょう。
もちろん、パッケージの袋にはペン先の太さは書いてあります。
また、軸の刻印からもそれを知ることは可能です。
しかしながら、ペン先を比べたり、芯を外して刻印を見る以外に外観上での確認は不可能です。
軸の中に太さの違う芯を入れてあればペン先を比べれば簡単に分かりますが、そういった比較できるものが無い場合は面倒です。
ノックボタンに印を入れる等と言った気遣いが欲しいところです。
 
 4.おわりに(個人的な要望など)

 2色ボールペンと言うのはボールペンを発売しているほとんどのメーカーに存在します。
そんな中でもcoletoは「コロンブスの卵」の様な製品と言えます。
ノック式の2色ボールペンそのものは、ほぼ完成された商品と言えます。
そのような物を単なる筆記用具としてではなく、「色を自由に選べる」遊び心を加えた点は、ヒジョーに面白いと言えます。
店頭備え付けのパンフレットや芯の色の構成からすれば、女子中高校生辺りがターゲットの製品かと思われます。
しかしながら、使用していて「女子中高校生だけに使わせておくのはもったいない」と言う印象を受けました。
ある程度の年齢の男性が気兼ね無く持ち歩けるように軸の色にも少し黒っぽいのバリエーションが欲しいところです。
軸の色のバリエーション以上に欲しいと思ったのは、やはり「3色用の軸」です。
私自身はメモに使う色の関係で「黒」と「青」の芯を入れていますが、「赤」もしくは別の色も欲しいところです。
また、試験等の学習法や手帳の使い方等のノウハウ書籍では3色ボールペンの使用を推奨したり、それを使用したノウハウが綴られている事が多いようです。
発売元でも3色や4色のボールペンを発売しているのですから、バリエーションとして欲しいものです。
 
株式会社パイロットコーポレーションURL=http://www.pilot.co.jp
 

(−了−)

 


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